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晏陰  作者: 水嶋
晏陰

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友晴の理想の世界

「わあ!凄い!綺麗!」


「危ないからあんまり暴れるなよ!」



照陽は俺に肩車をされてはしゃいでいた


「今年も凄い人だね」


「そうだなあ。照陽が迷子になったら困るからこのまま肩車してようかな…」


「わあ!やったあ!」


「こらこら、だから暴れるなって…」


「ふふ、帰ったら肩揉んであげる」


「頼む…」


今年も杏と照陽と花火を見に来ていた


「お父さんはここでお母さんに告白したんでしょ?」


「そうだよ…プロポーズもな」


「へえ!素敵!」


「そうだろ?この花火は俺とアンの縁結びなんだぞ!凄いだろ」


「子供に自慢してどうするのよトモハル…」


「ははは」


「じゃあお父さんとお母さんは初恋で結婚したの?」


「…そうだよ、テルヒもいつか…好きな人が出来て結婚するのかなあ…想像したく無い…俺多分結婚式で泣いちゃう…」


「ふふ、まだまだ先よ」


「もーいーくつねーるーとーおかあさんー」


「それを言うならお正月よ、テルヒ」


「テルヒはお嫁さんじゃなくてお母さんになりたいんだな」


「うん!」


初恋…


お母さん…


俺と杏は…


俺は…


夢を叶えてる…





○○○○○○○○○○





「あら、友晴、来てたのね…」


「うん、母さん…」


「命日に毎年ちゃんと会いに来て…相変わらず真面目な子ね」


「そうかな…」


実家に帰ってお墓参りをして来て仏壇に手を合わせていた


「美香は…生きていたら52歳か…ホント時が経つのは早いね」


「そうだね…」



今の母親の美樹は血の繋がりは無かった


俺の実の母親の美香の6つ下の妹で後妻だった


美香は俺が8歳の時に亡くなった


当時妹の美樹は大学を卒業してこれから…と言う時に俺の家族から結婚する様に言われてそのまま親父の嫁となった


まだ俺が小さかった事や、独身でいる事の親父の体裁を気にしてなどの下らない理由で美樹の人生は決められてしまった


「杏さんと仲良くやってる?」


「うん。やってるよ」


「そう、良かった…友晴は…仕事も好きな人と結婚も出来て自由に生きられて…」


「母さんは…夢は有ったの?」


「まあね、本当は…大学を卒業した後留学して外交官になりたかったのよ」


「そっか…」


美樹は真面目でしっかりしていて頭も良かったので、親父と結婚させられなければきっとキャリアウーマンになって活躍していただろう


色々諦めたのだろう…

それ位俺の家系は力が強かった


実の母親の美香も20歳で親父と結婚して次の歳には俺を産んだ

美香の実家の祖父は政界の重鎮でお見合いと言う名の政略結婚だった


「母さんは…好きな人とか居なかったの?」


「まあ…それなりにね…」


「そっか…」


好きな人…


美樹は俺にとっては叔母に当たる人だったが、美香と年も離れていて当時は学生だったので俺が小さい頃から良く遊んでくれたり勉強を見てくれたりしていた俺のお姉さんみたいな人だった



そして俺が初めて好きになった人だった…



そしてその初恋は俺の『お母さん』となった時から終わった


杏は…


真面目でしっかりしていて頭も良くて…美樹に似ていた


そんな杏に惹かれた俺はまるで叶わなかった初恋を杏に重ねているのかも知れない


「杏は夢を叶えて産婦人科医になって今は叔父の病院を継いで院長先生だよ」


「そっか、杏さんには活躍して欲しいな。私の分まで…杉田の家に縛られずに」


「そうだね、まあ優秀な甥っ子も居るし杉田の家は続いていくよ」


親父の兄弟の息子は今年帝京大に入ったので、いずれキャリア官僚となって其方が杉田の家を継いで行くだろう


「あら、友晴だって十分すぎる程優秀よ?」


「まあ、うちの家系は警察官僚以外は認められないでしょ」


「そうねえ…変な家系よね」


「あはは、全く」


「友晴は…杏さんと照陽ちゃんの幸せだけを考えてれば良いのよ」


「そうだね…」


「母さんには感謝してる。俺が本当の子供じゃ無いのにここまで育ててくれて…」


「私はずっと自分の子供だと思っているわよ?昔も今もこの先も…」


「そっか…」


「友晴が…最初私の事お母さんって呼んでくれないんじゃ無いかって心配してたのよ?」


「そうなの?」


「私は美香の妹だったし友晴とはきょうだいみたいに過ごしてたからね…」


「まあ…そうだね」


「友晴がすんなり呼んでくれて拍子抜けしたわ」


「あはは、反抗したり駄々をこねた方が良かった?」


「そんな事は無いわよ。友晴はまだ小さかったのに物分かりが良くて賢い優しい子だなって思ったわ。私が傷つかないように気遣えるね」


「そっか」


俺は美樹を気遣ってた訳じゃなかった


ただ、子供の俺にはどうにもならない事だと諦めただけだった


態度には出さない様に気を使っていたが、美樹の事を本当の母親だと思った事は無かった



俺は多分昔も今もこの先も…


美樹を母親とは思えないだろう




俺も杏もお互いに誰かを中に入れている…


俺は『初恋』を実らせて結婚して子供も授かった


それが例え形だけだとしても…


杏が他の誰かに取られない様に…もう2度と俺の『初恋』を手放さない様に早々に手を打って手中に収めた


俺は中の人ごとこの先も『初恋』を愛して、この先ずっと俺に振り向かせて行く為だけに杏を愛して生きていくんだろう


そして照陽を愛してちゃんと育てて行く


美樹が俺にしてくれた様に…






いつか杏とも中にいる美樹とも…『初恋』が実った穏やかで幸せな…お互い心から愛し合える世界を信じて…



ここに来て友晴の爆弾炸裂です…


やはり腹に一物抱えてる、唯のお人好しでは無かった様です


まあ杏も友晴も歪んでましたな…


友晴も誰にも言えない秘密を抱えて20年以上何食わぬ顔でいられるので杏とはお似合いかもです


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