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晏陰  作者: 水嶋
晏陰

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麻由の理想の世界

「ははぁー…」


麻由は壁に掛けた額縁に入っている紙切れに頭を下げて手を合わせて拝んでいた


「何してるの?」


「見りゃわかるでしょ。拝んでるのよ、手の皺と皺を合わせて…しあわせ…なむー…」


「それを言うなら『しわあわせ』だよね。これ昭和に散々コスり倒されたボケツッコミだよ。なに?今なら逆に新しい訳?」


「なんでそんな事まで知ってんのよ…」


「今はネットで大概の歴史は流れて来るんだよ」


「やっぱりアンタは人生3周はしてるでしょ…」



そこへ仕事から帰って来た韻がまっしぐらに麻由の元へやって来た


「マユー!良かったね!夢が叶って!」


「まあね、今日は神々の宴だったわ…畏れ多くも末席に連ねられただけでも後世に語り継げるわ…今でも夢現よ…」


うっとりした表情の麻由は今日、出版社の創立記念パーティーに出席していた


「俺は語り継がないからね、マユの代でこの話は打ち切りだね」


「打ち切りなんて縁起の悪いワード言わないでよ!」


「どんなだった?」


「もう正直浮かれて誰と何話したか記憶に無いわ…」


「大好きな先生とお話し出来た?」


「ええ…そのご尊顔は…まるで女優ライトに照らされた様に四方八方に光を放っていたわ…余りの眩さに直視出来ない程にね…」


「まあ良い歳して緊張して目を合わせられずに俯いてたって事だよね」


「うっさいセイヤ、黙れ」


「はいはい」


「そっかあ、でも会えたんだね!良かったね!」


「ええ…お名刺ゲットだぜ!」


「それ額縁に入れてさっきまで拝んでたよ」


「へえ!見に行こ!」



『咲穂ペロリ』


「名前とQRコードだけ?」


「まあ、下々の者に与える物には個人情報は載せないわよね」


「それ名刺の意味有るの?何かキャバ嬢とかの営業ショップカードみたい…」


「セイヤはどこでそんな事を知るのかしら…」


「SiriとAIは何でも教えてくれるんだよ」


「咲穂先生が今回新たに別ジャンルの作品をこの会社で出版する事なって、たまたま同じ出版社で私がお世話になる事になったこのタイミングでお会い出来るなんて…持ってるわ私!」


「そうだね、良かったね、マユ!」


麻由は育児と仕事の合間に密かに執筆していた


元々は韻の話を書いていた


『実録!妻は見た!ドクズなダメ医者夫の破天荒生活と乱れた性活』


だったらしいが、あらゆる出版社に持ち込みした時にこの出版社の編集者の目に留まった

色々話し合って持ち込んだ作品はとっ散らかった内容だったのでBL部分をピックアップして漫画の原作にしようとなったらしい


一応登場人物の名前は変えてある…らしいが知る人が見れば分かるだろう



「まさかBLが書けるなんて…遂に読み手から作者へ…我を忘れて色々好みのシチュエーションをぶっ込んで書いて…正に夢の様だったわ」


「でもピアノはやめないよね!?僕マユのピアノずっと聴いてたい!」


「勿論やめないわよ」


「マユは一体どこに向かってるんだろう…」


「それはねセイヤ、宇宙の彼方…イスカンダルよ…」


「コスモクリーナーでも探しに行く訳?」


「運命背負い今飛び立って…銀河を離れるのよ…」


「僕意味が分からない…」


「まだまだインには分からない世界よ…麻由2ndシーズンは…」


「まあ、まだまだインのネタを飯の種にするって事じゃない?多分…」


「よし!まだまだ僕も頑張らなきゃ!」



「咲穂先生が…お声を掛けて下さったわ…」


「なんて?」


「貴方が兪摩魅(ユマミ)カヤさんね、頑張ってねって…」


「良かったね!長年大好きだった先生に応援して貰えて!」


「完全に大人の社交辞令だね…てかユマミカヤって…下から読んだだけとか…もう少し捻れなかったのかね」


「うっさいセイヤ、黙れ、もう風呂入れ」


「はいはい」


「じゃあ一緒に入ろ!セイヤ」


「やだ。一人で入る」


「えー!何でー?」


「イン俺のチンコ突っついたり弄ったりして来てウザいから。」


「コラっ!イン!まだそんな事してんの!?」


「だって可愛いもん…早い内から刺激に慣れさせとかないとだし…」


「これはいよいよ杉田弁護士に相談案件か?家庭内淫行、セクハラ…」


「セクハラじゃないよ?ねー、セイヤ?」


「パワハラ、セクハラかどうかはされた方が決めるんだよ。加害者インが決める事じゃない」


そう言って星夜は風呂場へ行った



「むう!」


「そろそろ私も口では敵わなくなってるんだけど…7歳にして恐ろしいポテンシャルだわ…」


「セイヤは将来どうなるんだろうなあ?」


「前にね、将来どうなりたいって聞いたら医者とピアニスト以外って言いやがったわよ、アイツ…」


「そうなんだー…まあ医者を目指すとなると順調に行っても30歳位までかかるしなあ…ピアニストも実力も運も必要なシビアな世界だしなあ…」


「そこは真面目に答えるな、もっと怒れインよ…」


「そう?」


「セイヤは単に私らを見下してるだけだから」


「まあ仕方ないかなあ…僕親としてはダメだからなあ…」


「その自覚は有るのね…まあウチらはセイヤの反面教師なんでしょ。こうならない様にってね」


「そっかあ!じゃあ僕もセイヤの役に立ってるんだ!良かった」


「そこは喜ぶな、インよ…」




「でも、凄い偶然だよね!マユを担当してくれる編集者がシンヤの奥さんの恋人って!」


「そうそう、何かこの間榎本先生と会って話した後に思い出したらしいわよ、私の書いた話を」


「へえ!」


「そのおかげで榎本先生とニチカのその後を教えて貰ったから…この話は完結出来たわ」


「そっか!じゃあマユはまた新しいお話を書かなきゃだよね?」


「まあ、そうね…」


「任せて!僕また新しいお話聞かせてあげられそう!」


「そうなんだ…で、どこのどんな人?」





「それはね…」


夢に向かって、夢も叶って麻由2ndシーズンは開幕してる様です


そして韻は相変わらずです…

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