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晏陰  作者: 水嶋
晏陰

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麻由と友晴

「ゴメンな無理言って…」


「別に構わないわよ。子供に教えるのは慣れてるから」


「セイヤと同じの弾くんだって頑張ってみようとしたみたいなんだが…」


今日は私の家に杉田が照陽を連れて来ていた


「ねこふんじゃったーねこふんじゃったー」


照陽はピアノを夢中で弾きながら歌っていた


「貸して貰った楽譜は一応開いて見てはいたんだぞ?」


「そう。テルヒには楽譜は読めるように一応教えたからね…」


「途中まで眺めててな、そっと楽譜を閉じていた。あはは」


「成る程ね。自分の現状の能力を把握して早々に手を引く…冷静で物分かりが早いのは感心ね」


「でも何か他にも弾けるようになるんだって聞かなくてな…」


「まあ諦めない心も肝心よ。諦め癖がついてしまうとこの先色んな人に都合良く上手く利用されてしまって疲弊してしまうわ…」


マコトさんの様に…


「そうだな…あんまり頑固で人の意見を聞けない子にはさせたくは無いから…程々にする様に教えていかないとかもな」


「でも、飲み込みは早いわよ。今弾いてる曲も少し教えたらすぐ弾けるようになったから。子供はやっぱり素直で純粋で真っ白だから上達も早いわね…」


「そうだなあ…最近は家でずっとこれ弾いてる。ピアニカで…」


「成る程ね…自分の事を冷静に判断出来て自分の達成出来そうな目標を立てて気持ちを切り替えて取り組む…諦めない所は…杉田に似たのかしら?」


「どうだろうなあ…どっちかと言えば…アンだろうなあ、持って生まれた。俺には…似て無いと思う」


「そう…でもね、子供ってね」


「?」


「生まれ持った性質よりも子供の頃に育った環境の影響の方が大きいと思うわ」


「そっか…」


「テルヒはきっと杉田の影響を受けてるのね。負けず嫌いな所とか特にね」


「確かにな…」


杉田は何となく杏の事や照陽の出生に勘づいているのかも知れない…



「俺は…分かってるんだ…」


「何を?」


「アンは俺の事を見てないって…」


「どう言う事?」


「正しくは…俺を通して…俺の中に誰かを入れてその人を見てるってな」


「そうなんだ…」


「多分…初恋の人なんだろうな…」


「そう…」


「それでも俺はアンが好きだし、愛してる。しぶとくて粘り強くて諦めは早く無いからな。一生をかけて振り向かせて見せるさ。ははは」


「まあ気のせいだと思うけど、例えその話が本当だとしても…あの冷静沈着現実主義のアンが杉田を誰かの身代わりとして見立てて結婚して子供まで作るなんてしないと思うわよ?」


「そうかな…」


「杉田と結婚する為にマコトさんの事件の事もあなたに相談して解決させたんでしょ?好きでも無い人にそこまで秘密主義のアンはしないと思うわ。ちゃんと杉田とテルヒの事を大切に思ってると思うわよ」


「そうだな…」


「この間も忙しくて疲れてる中テルヒをここに連れて来てたし…まあ、あなたもだけど。アンはこの間テルヒは杉田に似たんだなって言ってたわよ?」


「そっか…」


「まあインもそうだけど…八神家の人間はどこかぶっ壊れてる所が有るから…単にアンは愛情表現が下手なんでしょ」


「あはは、そうかも知れないな…」


「テルヒはその点素直で分かりやすくて可愛げがあるわよ。やっぱり杉田に似たのね。良かったわねアンに似なくて」


「ははは、相変わらず酷いなあ。でも…まあ…」


「?」


「俺はテルヒは自分の子だと思ってるから…例え…別の人の子だったとしても…」


「そうなの?」


「例え…だよ」


「そう…」


もしかして…

杉田は照陽の事を調べたのだろうか…


もしそうだとして、それでも尚杏と照陽を愛せるのなら、やはり警察一家の親譲りの強靭な精神を持っているのだろうか…


それとも単に杏に盲目なアホなんだろうか…



「俺はアンと違って物分かりも諦めも悪いからね」


「そうみたいね。流石しぶとさと粘り強さを柔道で鍛えて来ただけの事はあるわね。無駄にはならなかったみたいで良かったわね」


「相変わらず厳しいね、マユは…」


「その挫けない心で末長くお幸せに」


「あはは、有難う。マユはインと仲良くやってる?」


「まあ、あのインだからね…私の方は夫婦円満は諦めが肝心って精神でやってるわよ」


「まあ、そうなるか…インの心配となると…浮気とか大丈夫?もし必要になったら力貸すけど…」


「何だか物騒な話になりそうだから今の所そのお力は遠慮しとくわ。まあインは相変わらずね。浮気とは違うけど…お友達は居たわよ?身体だけの」


「えぇっ!?それを浮気と言わずして何と言うのか…」


「強いて言えばセフレってのかしら?」


「うわっ!俺なら耐えられない…」


「まあ、あの精力絶倫モンスターをマトモに相手してたら私の身体が壊れるから…」


「何か…あのクラス委員長のマユからそんな生々しい発言が飛び出すとは…時間は残酷だな…」


「言っとくけど、私もう子供まで産んでるし。夢見る少女じゃいられないのよ。まあインに捕獲されてしまった時点で夢見る余裕もへったくれも無かったけどね」


「確かになあ…でもそれで良いの?マユは」


「一応条件は付けてるわよ。相手は男のみ、致した内容は詳細に報告する事ってね」


「うわぁ…更にエグい内容だった…」


「それでインが他に本気で好きになって離れていったとしても私は構わないと思っていたのよ?」


「そうなんだ…」


「まあ、今の所は他には眼中無しみたいだけど」


「なんだ、結局惚気か…」


「本当に好きな人には…幸せでいて欲しいって思う物でしょ?」


「…そうだな。でもやっぱり…」


「?」


「マユは歪んでるな」


「それはお互い様でしょ」


「まあな…」


「それに…私はただNTR話を黙って聞いてる様なお人好しじゃないわよ?」


「そうなの?」


「楽しませて貰ってるから。YO SAY!達が刺激する生足魅惑のマーメイドね」


「意味が分からん…」


「私の為にも、もっとインの下半身には暴れて貰わないと…」


「益々意味が分からん…」


「まあ、何だかんだで上手くやってるって事よ。需要と供給、それで世界の経済は回ってるのよ」


「はあ…」


「行く行くはSDGsへと繋がるのよ」


「マユは経済学者か環境保護にでも取り組むのか?」


「さあ?」


「さあって…」


「巡り巡って、結局は自分の利益に繋がるって事ね」


「始終さっぱり意味が分からなかった…」


「杉田は人の心配してる暇があったらもっと頑張りなさい。人生をかけてアンを振り向かせるんでしょ?」


「はいはい、そうですね…何かマユと話してると壮大すぎて俺の悩みはちっぽけなんだなって気付かされるわ…」


「お互い八神家の人間に関わってしまった言わば被害者…親類になってしまったんだから仲良くやって行きましょう」


「そうだね…被害者の会だね…」


「気が向いたら愚痴くらいは聞いてあげるわよ。手土産持参ならね」


「手土産…マユは甘い物としょっぱい物はどっちが好みなの?」


「まあどっちもそれなりにね。私の好みは切ない年下攻めよ」


「多分…俺にはその手土産は持参出来ないと思う…」


「あっそ」




「お父さーん!お腹空いたー!」


「テルヒ、頑張って弾いてたなあ。楽しかったか?」


「うん!」


「はいはい、閉店ガラガラ、お腹を空かせた可愛い我が子を連れて、さあ帰った帰った」


「マユ、有難うな色々」


「どういたしまして」


「それじゃあまたな」


「お土産楽しみにしてるわ」


「だから俺にはその手の話は無理だって…周りにもそう言う奴とか居ないし…」


「あっそ、じゃあね」



そう言って手を繋いで帰る杉田と照陽を見送った


私と杉田は…


八神の人間に出会い関わってしまった


私は墓場まで持ち込まなければならない事も色々知ってしまっていた


八神の人間に魅了されて魅入られてしまった






言わば被害者だろう


友晴は色々勘づいていたみたいです


流石万年学年3位、ただのお人好しではなかったみたいですね


そしてやはり麻由は男前みたいです


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