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異世界未転生  作者: ハタケ


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 果たして村はいつの間にか魔物の群れに囲まれていた。その群れの中の大きめのサイズの魔物が、こいつが勇者です、和平交渉するならこいつとしてください、と村人に突き出された僕と対面することになった。

「なんのようだ」と僕は適当に言った。

「俺ら近くの洞窟に住む魔物なんだけどさ」と魔物のボスは言った。「あそこの洞窟も年季が入ってそろそろガタきてんだよなぁ。だから俺ら、この村に引っ越したいと思ってるんだけど」

「そんなこと僕に言われましてもね……」

 ボスが背後に従えている魔物の数は優に百体を超える。そのような大所帯を養うキャパシティーはこの簡素な村にはないだろうから、

「でもあなた方の希望が叶う可能性は限りなく低いと思われ」と僕は緊張をほぐすために古の2ちゃん用語を交えて答えた。

「なんだと」

 だが魔物のボスは一気に不機嫌になった。

「希望が叶わないなら侵略戦争を始めるまでだ」

 武器を構える『チャキッ』とかいう効果音がめっさ響き渡った。そりゃ百体の魔物が一斉に武器を構えたからね、しょうがないね。それにしても……こりはまずい(リナ・インバース並感)。この村に来るまでに戦った魔物は皆ザコだったからいいものの(城の兵士は全員死んだけど)、まだレベル1の僕がこの屈強な体格の魔物共とTAITO、じゃなくて対等に戦えるとは思えない。このブロンズソードで斬りかかったとしても簡単に剣を弾かれ、そして魔物に体を引き裂かれた上に内臓を引きずり出され、物理的な意味でキャッチ・ザ・ハートされかねないので、僕は上級神官のエルフに助けを求めることにした。有名人が自殺した報道の後には、一人で悩まないでしかるべき機関に相談するようにした方がいいと思いますよ的なアドバイスをキャスターが必ずするし、それに則って僕は一人でなんとか解決しようとはしないようにしようと思いながら思ったのだった。

「ひいいいぃぃっ! 勇者様! あのような醜い化け物は私では絶対に叶いません! なんとかしてください勇者様!」

 ところがあのバカ女――ではなくエルフちゃんは、宿から出てきて魔物の群れを目の当たりにするなり鼻水を垂らしながらビビり散らかしていた。それがわざとらしく見えたので、

「いや、お前がなんとかしてください、お願いします」と僕は頭を下げた。

「いやです」とエルフは急に冷静になって答えた。

 なんかキャラブレしてんなこいつ。

「なんでや! まだ最弱のワイが一人でこんな奴らと戦えるわけないやろ! いい加減にしろ!」

 そしていきなり猛虎弁になった僕のキャラもブレまくっていた。

「じゃあこうしましょうか」

 するとエルフはボスの前に立って言った。

「お手数おかけしますがあなたがた全員はもう一度魔物の洞窟に戻ってください。そして後日勇者様が魔物の討伐のためにそちらに赴きますのでそのときに勇者様と正々堂々と対決し、あなたが勝ったら村を征服、勇者様が勝ったら無条件降伏してください。それでどうでしょうか」

「いやどうでしょうかと言われてもな」とボスは頭をポリポリ掻いた。

 しかしボスの爪はひどく鋭く、しかも頭髪がなかったので鋭い爪で頭皮を直に裂く結果となり、緑色の血液が飛散してしまった。だがボスは感覚が鈍いのか、頭頂部に痛々しい傷跡を自ら付けたというのに平気そうに話を続けた。多分バカなのだろう。

「なんで俺らがそんな面倒なことしないとダメなの? もしかしてあれかな、このガキみたいな外見の勇者様はまだ未熟で今この場で俺らと対決しても即負けちまうから俺らと勝負するのは魔物の洞窟を攻略してレベリングした後にして欲しい、って感じなのかな?」

「そうです」とエルフは言った。「というかそんな知能指数が壊滅的に低い外見の醜い化け物のくせにどうしてそのように察しがいいのですか? まるで誰かが考えた考えを教えてもらったみたいですね。あなた方魔王軍の魔物達はすべからく低能というイメージが我々エルフ族の間では常識なのですけど」そして突然辛辣な物言いになった。そしてそのすべからくの使い方はおそらく誤用だった。

「いきなり差別かよ……エルフッパリらしいな」とボスは極めて危険なパロネタを口にした。やめてくれよ……(怯え)。

「まあしかし、俺らも暇してたところだし、お前らの挑戦、受けてやんよ」

「本当ですか? ありがとうございます! これでガッツリレベルを上げてボスに挑む派のこちらの(ヘタレ)勇者様が報われます!」

 エルフは頭を下げた。しかしなんか僕の悪口が小声で聞こえたような気がするんですけど。

「感謝しろよ。だがもしそのひよっこ勇者様が負けた暁にはお前には薄い本を厚くさせてもらうぜ」とボスはじゅるり。

「いいですとも!」

 それに対してなぜか張り切るエルフちゃん。もしかしてそういう願望でもあるんですかね……。まあ何も考えてないんだろうな。


 とにかく魔物共は洞窟に帰っていった。そして生臭い体臭漂わせる魔物共に村が征服されるのではないかとビクンビクンしていた村人達の口からも吐息が漏れた。ところでずっと歯を磨いていない僕の漏らした吐息はあの魔物達の体臭並みに生臭いに違いない。ところで僕の口内には既に三本の虫歯が存在しているが、その歯達をいつも通っている歯医者の美人歯科衛生士さんに見てもらって今度どのようにそれら異分子的歯を治療していくかの計画を衛生士さんのはち切れそうな胸元をチラ見しながら話し合うことはこの異世界を救って現代に戻らない限り叶うことはなさそうなのでそれを考えると早く魔王勢を殲滅させねばならぬという焦燥感に駆られますね……つまり全ての行動の原動力は性欲である(黴の生えた解釈)。ついでに言うと芸術の創作のモチベーションの源泉は性欲の昇華である(もはや誰も唱えないオワコン解釈)。それにしても僕が定期検診で通っていた歯医者の歯科衛生士さんは美人で性格もよくて、その上横溢する劣情を日々抑制する中学生の僕へのちょっとしたサービスのつもりなのか椅子を倒して歯を見る際僕の頭に柔らかい何かを半ばわざとのようにして触れさせてたんだよなあああああ……。あの人も自身のパイが患者の頭にタッチしていることに気付いているはずのなのになぜ改めようとしなかったのか、コレガワカラナイ。どう考えても陰キャで一生童貞確定のこの僕を慰めるためにあのようなサービスをしたとしか思えない。つまり未成年への合法風俗である。そんなお優しい衛生士さんにボ、ボボボボキは将来結婚を申し込みたい所存であったが、ある日彼女の名札の名字が変わったのを見て、あ……(察し)と軽く絶望したのだった。こんな美人で良性格の女性を男がほっとくわけないしね、仕方ないね(レ)。ちな、新しく変わった彼女の名字はその歯医者の若いイケメン歯科医と同じだった。ふざけるな!(魂レベルの迫真)。そうして僕らは魔物の洞窟でレベリングすることになった(文章構成破綻)。要するに僕は経験値を得ることに加えて失恋したショックを紛らわす目的も兼ねて魔物達を惨殺しようと決めたのだった。


 そして僕とエルフは武器一本だけ携えて村の近くの岩山の洞窟に入った。

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