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迫り来る脅威

そして数日後。


遥か遠くの地平線が、黒く波打った。


それは風ではない──

帝国の大軍勢だった。


騎兵、歩兵、工兵、荷車、投石機、弩弓機──

数千の兵と、鋼鉄の武器を引き連れた鉄の進軍が、荒野を揺らす。


まるで、地平が動いているかのような錯覚。


旗が翻り、号令が響く。


「この地を焼け。神を潰せ!」


セリオ王子の怒声が、軍の先頭に轟いた。


巨大な戦のうねりが、いま翔の残した地を目指していた──。


誰もが思ったことだろう。この軍勢阻む者はこの世には存在しないと。



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