第一話 小さな村の姫騎士と魔術師
パーティを追放されて酒場で酔いつぶれたまま朝を迎えたシュユ。目を覚ましたシュユを待っていたのは謎のオネエ!?
謎のオネエとのやり取りの末、シュユはパーティ追放について話すことにしたのだった。
小さな村で育った、姫騎士と魔術師の卵。
俺とローズは幼馴染だった。何をするのも一緒の、そんな関係だった。子供の頃から村の大人たちには「騎士様と魔術師様のお似合いカップルだ」なんてからかわれたっけな。
ローズの両親はかつては冒険者だった。ローズが生まれたのをきっかけに冒険者を引退した後、父親は村で護衛の仕事をしていた。俺から見たローズの父親はどんな危険にも臆さずに立ち向かって村を守るかっこいい人だった。そして、それはローズにとっても誇りだったらしい。そんな両親のもとで育てられたローズは父親の背に憧れて父親から剣術を学んだ。さすが冒険者のサラブレッドと言うべきか、彼女は父親の指導を受けて、みるみると剣術を上達させた。それはみんなが口を揃えて「ローズがいれば村の平和は安泰だな」と言うほどだ。
一方俺の両親はと言うと農家の長男と村娘が結婚した、ちょっと裕福なだけの平凡な家だった。ローズの家みたいにどこか遠くで見つけてきた不思議な品々はうちにはなかったが、その代わり両親は「頭の良さは誰にも奪えない財産だ」といって俺にたくさん本を買い与えてくれた。ローズが村を守る騎士になるなら俺はそんなローズを助けられる魔術師になろう。俺は両親が買い与えてくれた本で魔術を学んだ。
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「ちょちょ、ちょっと待ってもらえるかしらん?いや、別にダメってことはないわよん?ダメってことはないんだけど、アタシはてっきり昨日何があったかを話すもんだと思ってたのよん。まさかあなたの生い立ちの話から始まるとは思わなかったわん。
えっと、とりあえずそのローズちゃん?って子があなた……えっと、名前がわかんないからあれだけれど、昨日あなたが泣き喚いてたことと関係があるのねん?」
酒場の床で転がってた傭兵をようやく店の外に引っ張り出した頃、オネエが話に割って入った。
「えっと、ああ、ごめん……俺の名前はシュユで、ローズは俺が所属してた冒険者パーティのリーダーなんだ。昨日追放されたけど……」
「ってことはパーティから追放されてメソメソしてたわけね?とりあえずここまではわかったわん。話遮っちゃってごめんなさいねん。続けてもらって大丈夫よん。」
続けてもらって大丈夫って……
一気に話しづらくなってしまった。止められて冷静になると自分でも話の切り口を完全に間違えているのがわかってものすごく恥ずかしいのだが。だが目の前のオネエ、なぜかキラキラした目で話の続きを催促してくるのだ。適当に話を切り上げてこの場から逃げ出してやろうかとも思ったが、せっかく親身になってくれてる人にそれはできない。
観念して俺は咳払いの後続きを話すことにした。それを見たのかオネエが扇を口元でパタパタとさせながらニヤニヤと俺の顔を見る。
「なんだかんだ続きが気になってきてはいるのよん?楽しみねん。」
「わざとやってる!?」
……また出鼻をくじかれた気分だ。




