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残された者に祝福を  作者: 鳥居之イチ
第一章 俺は母を殺してしまったのだろうか。
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【前書き】

開いてくださりありがとうございます。

そしていつも、リアクション・ブックマーク・コメントをいただきありがとうございます。

少しでもこの小説を楽しんでくださいませ。





 「・・・・・・すごいね。」


 「水面さんがいくらでも食べていいって言ったんじゃないですか。」


 「そうなんだけど、、、そうじゃなくて!君の胃袋はどうなってるの?こんなに食べられるの?」




 俺の目の前には、ファミレスでテーブルを埋め尽くすほどの料理が運ばれてきている。ぶっちゃけ俺も驚いている。こんなに注文してしまって食べ切れるのか?と。しかしそんな心配も杞憂に終わりそうだ。



 「どういうわけか、今までにないくらいお腹空いているので、多分食べ切れます。でもこんなに食べるのは初めてかもしれません。外食が久々なのが原因か、人とご飯を食べるのが久々なのが原因かわかりませんが、ここのご飯はめちゃくちゃ美味しく感じます。」


 「それは口説かれているのかい?」


 「あ、さっきの仕返しですか?違いますよ。口説いてません。」


 「だろうね。仕返しがてら、誂っただけだよ。」


 「でも、本当にこんなに注文しても大丈夫なんですか?」


 「あぁ、大丈夫だよ。こう見えて自営業は多忙を極めていてね。そのおかげか稼いだお金を使う機会が少ないのさ。こういった機会を逃すと本当に使い道がないんでね。まだ食べられるのであれば追加注文してもらって構わないからね。」


 「ありがとうございます。でも失礼ですが身なりが整っているように見受けられます。稼がれていることに疑問は抱きませんが、使う機会がないと言うのは嘘じゃないですか?」


 「ん?あぁこれは”制服”だよ。」


 「制服?自営業で制服があるのは珍しいですね。料理屋がエプロンとかしているならまだわかるのですが。」


 「確かに、一般的な自営業で制服があるのは珍しいかもしれないね。これはそうだね、例えるなら弁護士が弁護士バッチを身につけていたり、医者が白衣を来ていたりするのと一緒だよ。」


 「また微妙な例え話ですね。つまり自身の職業を証明する服装が制服ってことですか?」


 「その通り!これは確認屋として国に認められた者だけが羽織ることを許される国から支給される制服だよ。これを羽織っていれば警察とともに事件の調査を行うことができたり、現場に動向できたりもするんだよ。」


 「つまり、水面さんはすごい人ってことですか?」


 「あははっ。そうだね。自分で言うのは少し恥ずかしいけど、この業界では名が通っている方かもしれないね。」


 「そうなんですね。」




 あれは制服だったのか。言われてみれば中学のときに学校に来ていた確認屋が同じ服を来ていたような気もしてきた。メリデメが発現しなかった俺はほとんど確認屋と接点がなかったため、あまり記憶に残っていない。あ、メリデメ・・・




 「すみません、ご飯ずっと食べてて。俺のこと聞きに来たんですよね。ご飯のお礼じゃないですけど、なるべく答えるようにしますので、何でも質問してください。」




 少し忘れていた。水面さんとの関係性を。この人は俺が母親を生き返らせたメリデメの保有者かどうかを確かめるために俺を訪ねてきたんだ。




 「そんなに急がなくて大丈夫だよ。君はまだ僕に対して警戒しているようだし。僕自身も対等な立場で話をしたいと考えている。君の家に上がったとき、質問は君がご飯を食べてからと言ったのを覚えているかい?君が僕への警戒心を解ききるまで質問してもらって構わないよ。警戒心が解けたら、僕の質問に答えてほしい。」


 「変というか、律儀というか。変わった人ですよね。」


 「え!!」


 「ごめんなさい。変な意味ではなく。水面さんは俺が居留守使ってるのわかっててインターホンをずっと鳴らしたり、出会ってすぐ母親を生き返らせたのは君かい?なんて言ってきたじゃないですか。おそらくそれは理性が好奇心に負けているようにも見えました。俺が発現したかもしれないメリデメに対して今すぐ調べたいのに、警戒心を解くことを優先している点を見ると、今は理性のほうが勝っていて、冷静さを取り戻そうとしているように思えたので、優しい方だなって思っただけです。」


 「は、恥ずかしいね。」




 水面さんは照れているかのように、手を後頭部に当てて、頬を赤らめている。表情は申し訳無さそうにも見えるし、恥ずかしさを隠しているようにも見える。出会ってすぐに失礼な言動をしたことへの感情と、それでもなお優しいと言われたことへの感情が入り混じっているのだろう。なんだか憎めない人だ。




 「では、お言葉に甘えていくつか質問をさせていただきます。」


 「うん、どうぞ。基本的には何でも答えるよ。でもこれだけは先に。僕のはいいけど、お客様の個人情報に関することは言えない。具体的に言えばこのメリットにはどんなデメリットが付くかなどはお答えできない可能性があるから、そこは理解してほしい。」


 「わかりました。でも安心してください。そんな質問はもともとする気はありませんでした。更に加えて言えば、今の発現でお客様を大事にしていることが伝わったので多少は警戒が解けてきたようにも思えます。」


 「それは良かったよ。」


 「では、最初の質問です。俺の家を出る前に、確認屋の自営業をやっていて業務内容は探偵や何でも屋、メリデメ保有者の保護などと言っていましたね。具体的にはどのようなことをしているんですか?」


 「まず一番多い業務というか依頼内容は、メリデメの成長に伴う抑制方法や扱うためのカリキュラムを組んでほしいと言ったものだよ。」


 「メリデメの成長ですか?」


 「そう。自身の成長につれて、メリデメも同じく成長するんだよ。具体的に言えば火を吹けるメリットの場合、火力の最大値が徐々に上昇していくんだよ。そうなった場合自身が経験するいつも通りの制御では制御しきれないことが多いんだ。こういった時に対処するのが僕のお仕事。」


 「なるほど、そうなんですね。俺メリデメ発現してないんで知らなかったです。すみません、一般常識でしたかね?」


 「いやいや、メリデメの成長と言っても保有者全員が全員、制御できなくなるわけじゃないよ。使っていくにつれて慣れも生じるからね。基本的には再制御なんて不要なんだよ。再制御が必要なのは、メリデメを普段使用しない保有者が使用したときとかかな?」


 「保有者なのに、使わない人がいるんですか?」


 「結構いるよ。火気系のメリデメ保有者の勤務先がガス会社とかガソリンスタンドとかだったら使わないし、使えないでしょ?」


 「それ、そもそも採用されないんじゃ?」


 「例えばだよ。」


 「でも確かにそれだったら使わないですね。」


 「そう、そんな感じで保有者でも使わない人は少なくはないんだよ。例えば移動系のメリデメ保有者なんて滅多に使わないんじゃないかな?」


 「え?移動系?なんでですか?移動系って瞬間移動とかってことですよね。毎日使い道しかないじゃないですか。」


 「ん?あぁそれはデメリットが重いからだよ。」


 「そうなんですか?」


 「そう。移動系のデメリットは基本的に頭痛や吐き気、めまいなどの症状が出るんだよ。いわゆる乗り物酔い見ないな感じだね。」


 「え、あ、え?それって本当ですか?」


 「うん、そうだけど、なにかあったの?」


 「いや俺の父親、座標指定型瞬間移動のメリットなんです。それで運送系の会社に勤めてるって聞いてたんですけど、さぞ有能社員で出世待ったなしって思ってたので。」


 「あれ?君は確か母子家庭じゃなかったかい?」


 「母子家庭でも父親はいますよ。」


 「それもそうか。ごめんね、失礼なことを言ってしまったね。」


 「いえ、それよりなんで俺が母子家庭だって知ってるんですか?」


 「あーっ。それは僕が確認屋だからだよ。」


 「それ理由になってます?」


 「職業柄メリデメ保有者の情報は手に入りやすいんだ。君に会いに来たのも君のメリデメの噂を聞いたからと言ったのは覚えているかい?それで家を調べて訪ねたわけだ。家や家族構成や名前とかも調べられるくらいにはね。」


 「さすがは国家資格保有者の自営業ってわけですか。」


 「あ、余計に警戒したかい?」


 「いや警戒度を高めようかと思いましたが、すぐに理由を説明してくださいましたし、それで逆に警戒心は話を聞く前よりかは下がってます。」


 「そうか、よかった。それで君の父親の話だったね。おそらくだが平社員だよ。メリットは限りなく優秀でどの企業や組織でもほしい人材だろうよ。でもデメリットのせいでメリットを使用しようとしない保有者も少なくない。さらに言えば一日の使用回数が決まっているはずだよ。」


 「メリットに一日の使用上限数なんてものがあるんですか?」


 「正確にいえば、体力の問題だよ。デメリットにカウントはしないけど、メリットを使えばそれだけで体力を消耗するんだ。座標指定型瞬間移動だったかな。かなり強力なメリットだとは思うけど、その反面かなりの体力が削られると予想される。移動距離によるかもしれないけど、回数はかなり少ないと思うよ。」




 そうなのか・・・ずっと優秀な男で引く手あまたで、それでメリデメが発現しない俺に愛想つかして浮気したと思ってた。母の葬式にすら来ないクズで俺や母を捨てた父親を恨んでいたけど、今の話を聞いて、すこしスッキリした。





 「ん?どうした?いいことでも聞けたかい?」


 「今、表情に出てました?」


 「ホッとしたような表情だったよ。」


 「そうですか・・・いえ、たしかに安心したかもしれません。」




 このあとも水面さんには様々な質問に答えてもらった。


 普段は探偵業兼何でも屋を営んでおり、業務は聞いた通りメリデメの成長に合わせた保有者への再制御のカリキュラム作成がメインであること。

 メリデメが関わるような事件や事故があった際には警察とともに事件を解決する手伝いをすること。

 警察とは密に連絡を取っており、様々な情報交換をしているということ。

 確認屋には警察のような階級が存在しており、意外と位が高いと言うこと。

 

 他にも様々なことを聞いて、ほぼすべてに回答いただけた。




 「ありがとうございます。俺からの質問は以上です。現状水面さんに対する警戒心はほとんどありません。」


 「それは良かった。では次は僕から質問してもいいかな。」


 「はい、お願いします。」





【後書き】

会話ばっかりで話が進んでいなくてごめんなさい。

でも連日投稿できて偉いと思ってます。

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