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残された者に祝福を  作者: 鳥居之イチ
第二章 それは自殺かそれとも他殺か

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【前書き】

開いてくださりありがとうございます。

そしていつも、リアクション・ブックマーク・コメントをいただきありがとうございます。

少しでもこの小説を楽しんでくださいませ。





 訓練は至って簡単・・・なんてことはなかった。

 感覚を掴むのが異常なほど難しい。と、いうか全く持って意味がわからない。





 『なんかこう、ぐわぁーって来るものがあるでしょ!それはキュキュキュって固めるイメージ!その固めたものを手に纏わせて・・・・って、つばめん聞いてる?』


 「聞いてますよ!もうちょっとオノマトペを使わずに説明してくれませんか?」


 『オノマトペ?』


 「擬音のことですよ。もうちょっと感覚とかを言葉で表現するように教えてほしいです!」


 『でも私感覚タイプだからなぁ。』


 「先生向いてないじゃないですか!」


 『こうなったら奥の手だね。』





 そういうと宇田津さんはロングスカートを上げて、アンクレットを外した。

 てゆうか最初にアンクレット見せられたときも思ったけど、何の恥じらいもなくスカートめくるのは辞めてほしい。こっちは健全な男子学生だぞ。

 てか、女性警察って私服でも即行動できるようにスカートとかじゃなくて、パンツだと思ってた。

 ハッ!実は水面さんにまだ未練があって、少しでもかわいい姿を見せようと・・・。

 納得がいく。





 『ちなみにスカートなのは、つばめんのご飯をたくさん食べるためだよ。水面さんがいっつも「つばめくんのご飯は本当に美味しんだ!宇田津くんは食べたことないんだろ?もったいないもったいない。でも残念だね〜、彼は”僕”の助手だからね」とか言われ、聞かされ少々苛ついていてね。つばめんのメリデメの先生をやる代わりに、つばめんは私にご飯を作って約束を取り付けたってわけ。パンツだときつくなるかもしれないからね。珍しくスカートを履いているの。気があるわけじゃないから勝手に勘違いしないでね。』


 「待ってください。ご飯作るの初耳なんですけど!!てか、心読めるんですか?俺の考えてること、なんでわかるんですか?まさかメリデメ?」


 『今のはメリデメを使わなくてもわかるよ。つばめんは表情が豊かだし、あとは目線かな?』


 「目線?」


 『そ、目は口ほどに物を言うって言うでしょ。そして私はこれでも警察なの。こういうことには慣れているの。』


 「やっぱすごい人なんですね・・・。感動します。」


 『尊敬じゃないのね。まあいいよ。よし、これから私はメリットを何回か使う。その間ずっと手を握っててもらうわ。』


 「そんなことしたら、俺のメリットの強制力でっ」




 俺が言い終わる前に遮られた。




 『私が使う時に思うことは、メリットを発動させる。もしくは止める。ってだけ。それならいくら強制力が働いたところで私がメリットを使うだけで終わるでしょ。』


 「それは・・・・そうかも知れない?ですね。」


 『ま、何かあったらこのアンクレットを私につけてね。そうすれば大丈夫だから。』


 「それ発動後でも効力あるんですか?」


 『あるよ。精神干渉系限定だけど、メリデメの無効化があるからね。すごいのよ水面さんが作るものは。』





 まぁ、水面さんのメリデメはチートだしな・・・。

 実際に見たことがあるのはアクリル板とそのアンクレット。

 他にどんなものがあるのか気になる・・・・。





 『とりあえず、やろうか。』


 「・・・・はい。」





 そこからはひたすら、宇田津さんがメリットの発動と停止を繰り返した。

 その結果か、なんとなくではあるがぐわぁーってきて、それをキュキュキュって固めて、それを手に広げる感覚が掴めてきた気がする。

 あのオノマトペあってたんだ・・・。

 そう言えば、集中していて時間を気にしていなかったが、開始からすでに2時間近くが経過していた。あと気になるのは宇田津さんのデメリットだ。メリットを使い続けていることになる。デメリットは大丈夫なのだろうか?

 先ほど水面さんにデメリットを聞くのはご法度である旨注意されたばかり。その手前聞くのは憚られる。でも・・・・





 「あの宇田津さん。2時間近くメリットを使用している状態ですよね。その・・・だ、大丈夫なんですか?」


 『ん?デメリットの心配してくれてるんでしょ。ありがとうね。水面さんに言われた手前言い出しづらかったでしょ。そうだね、そろそろしんどいから、今日は終わりにしようか。』




 やっぱりデメリットでしんどかったのか。

 申し訳ないことをしてしまった。





 「あ、はい!じゃあ俺、ご飯作ってきますね!何食べたいですか?」


 『いいのかい?とりあえず水面さんが自慢してきた、オムライスが食べたいかな。』


 「わかりました!腕によりをかけて作りますね!」


 「終わったかい?つばめくん、お腹すいちゃった。今日は何を作ってくれるのかな?」





 水面さんがタイミングよく部屋に入ってきた。

 おそらく聞いていたのだろう。なら今日作るのはオムライスだって知っているのでは?

 まさか・・・





 「水面さん、もしかしてオムライス以外のものを食べたいんですか?」


 「ち、違うよ!つばめくんが作ってくれるならなんだって美味しいよ。オムライス楽しみだな〜。」


 「オムライス以外も作りますよ。何がいいですか?」


 「い、いいのかい?そしたらね〜、カレーに、豚汁に、焼き魚。あ!チャーハンとか、餃子も食べたいなぁ〜。」


 『ちょっと頼み過ぎじゃない?ちょっとは加減を』


 「わかりました!材料が無いので買ってきますね!」


 『いいの?断ってもいいのよ?』


 「宇田津さん大丈夫ですよ。いつもはこれにデザートとかも依頼いただくので!」


 『水面さん!ちょっと話があります。』


 「えぇ?」


 「お、俺は先に買い出し行ってきますね!」





 俺は部屋から逃げた。

 たぶん。いや絶対に水面さんに対する説教が始まる。

 女って怖い。。。。。。






 「それで宇田津くん、大丈夫かい?」


 『正直しんどいわ。それにしてもつばめんの集中力すごすぎるよ。2時間もぶっつづけでメリットを使ったのは初めてよ。』


 「そうだよね。僕も研究で連続使用したときには、2時間で倒れてたよ。それでつばめくんの制御の進捗はどうだい?」


 『悪くはないと思う・・・としか言えないね。水面さんも知っての通り、メリットは本来発動して、それを維持するのが難しいの。それを発動しないように制御するって言うのは、全く逆のことを教えないといけないの。そもそも精神干渉系の制御はかなり難しいの。義務教育期間中の開発期間でやっと制御が可能になるのよ。水面さんが制御できる物質を作っていなければ簡単だったのにね。』


 「アハハッ。そうだよね〜。制御できる物質どこに行ったんだろうね。」


 『こっちでも探りを入れてるところよ。そう言えば聖女の殺人事件のことだけど、あの説明で良かったの?』


 「うん、まだ彼の決心が固まってないからね。ちょっと勘付かれてたけど。それにいつまで助手でいてくれるか・・・」


 『そっ。つばめんが水面さんから離れたら、私達警察が貰うからね。』


 「あげる気はないけど?」


 『怖いね〜。これで本当に付き合ってないの?まぁいいわ。しんどくなってきたからつばめんがご飯作り終わるまで寝させてもらうわ。』


 「わかったよ。この部屋そのまま使ってもらっていいから寝てていいよ。ご飯ができたらつばめくんにお越しに越させるよ。」


 『・・・・・そうしてほしいね。』





【後書き】

そんなに食べれるんでしょうか・・・

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