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残された者に祝福を  作者: 鳥居之イチ
第二章 それは自殺かそれとも他殺か

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【前書き】

開いてくださりありがとうございます。

そしていつも、リアクション・ブックマーク・コメントをいただきありがとうございます。

少しでもこの小説を楽しんでくださいませ。





 『名前は南城 あずさ(なんじょうあずさ)。24歳で警備会社の事務員をしているとのことです。データ上のメリデメですが、メリットは体温を一定に保てるもの。デメリットが・・・これは本当か?』


 「なんと書かれてるんですか?」


 『チョ、チョコレートを摂取する・・・と書いてあります。』


 「それは正しいよ。合ってる。」


 『水面さんが言うならそうなんでしょう。はい、続いて死亡推定時刻ですが昨夜0時から2時の間で、死亡原因は肺が液状のようなもので満たされ呼吸ができなかったことによる溺死であると我々(警察側)は推測しているよ。』


 「なるほどねー。今回はその溺死の原因を探ることが依頼内容ってことであっているかい?」


 『そうです。』


 「あ、あの、質問してもいいですか?」


 「どうした、つばめくん。」


 「その南城さんが亡くなったのは昨夜なんですよね?死亡原因の詳細がわかるまでが早すぎませんか?」


 『それは私から説明させていただきましょう。それは透視に近いメリデメ保有者が我々警察にはいるからですよ。』




 話を聞く限り、警察には様々なメリデメ保有者がいるらしい。透視、暗視、鑑定から、任意の姿に変装したり、弾丸を生成してほぼ無限に打ち続けることのできるものなど、多種多少らしい。





 「透視はどの系統にあたるんですか?」


 「透視は能力強化系に分類されるよ。ま、簡潔にいうと視力強化になるからね。」


 「なるほど・・・。え、視力強化しただけで透視できるものなんですか?ええ?」


 「透視とは言っても、カバンの中身を見ずに当てたり、壁の向こう側にあるものを当てたりするものではないよ。ここでいう透視は、視覚から得られる情報を極限まで引き出せるものだよ。」


 「どういうことですか?」


 『ではそれも私から。透視の保有者は、扉を見ただけで扉のドアノブに付いている指紋を認識したり、扉付近にある足跡を認識したりすることで、扉の先にいる人の性別・身長・体重・年齢・身体状態などを把握できるんだよ。これを透視と呼んでるんだよ。』


 「へー、なるほど。面白いですね。つまり透視しているかのようなメリデメ。と言うことですね。」


 「その通り!さすがつばめくん!優秀だねぇ。」


 「あ、ありがとうございます。」


 「でも確かに、不思議だね。彼女のメリデメでは溺死は不可能だね。」


 『透視では、肺が液状のもので満たされた痕跡があったとのことでした。』


 「つまり、発見時には肺の中に液状のものはなかったと。」


 『ご明察です。』


 「では、簡単じゃないのかい?他殺だったんだよ。」


 『ま、そうなりますよね。』


 「じゃあこれで終わりかい?つばめくーん、帰ろっか!」


 『ちょっと待ってください!だとしたらその他殺の原因になった人物とメリデメを探してほしい。』


 「それは宇田津くんたち警察の仕事じゃないのかい?」





 それはそうだ。要は犯人探しだ。それこそ警察の仕事。探偵事務所の仕事では・・・え、人探し?それだったら探偵事務所でも受けるべき案件なのでは?え?違うの?探偵事務所ってそういう事するんじゃないの?






 「あの質問です。探偵事務所なら人探しも仕事になるんじゃないですか?」


 「探偵事務所としての依頼であれば、人探しもするよ。でもこれは捜査協力だよ。今回の仕事はメリデメが関わる事件の可能性があったから要請を受けたまで。この事件は自殺ではなく、他殺の可能性が高い。他殺の場合でもメリデメで不明な場合なことがあれば、協力要請に応じるが、今はその他殺の可能性はあっても、メリデメの詳細はおろか容疑者すら特定できていない状態。これでは要請に応じる事はできないよ。」




 言ってることは理解できる。でもそれでいいのか?




 「で、でも」


 「つばめくん。それだけじゃないんだよ。法が許さないんだよ。」


 「ほ、法ですか?」


 「僕ら確認屋が警察に協力して、事件を解決するには条件が必要なんだよ。」


 「条件?ですか」


 『簡単に言うと、自殺の場合は自殺者のメリデメが自殺に関与していないのに、メリデメによって自殺をしている場合。他殺の場合は被害者・容疑者のメリデメが事件に関与していないのに、メリデメによって殺害が行われた場合。このどちらかが条件だよ。』


 「え?それおかしくないですか?メリデメが関与していないのに、メリデメによって自殺や殺害が行われるなんて現実的に考えて不可能じゃないですか?」


 『それが不可能じゃないのがメリデメなんだよ。』


 「ど、どういうことですか?」


 「つばめくん、ちょっと前にデータ上のメリデメと実際のメリデメが異なることがあるって話をしたの覚えているかい?」


 「あ、はい、すぐ忘れなさいって言われた・・・俺が都市伝説で誰も信じてくれない・・・とか言ったやつですよね?」


 「そう、メリデメがデータ上と実際とで異なることを”バグ”って言うんだけど、バグはね意外にも多いんだよ。」


 『そうそう、例えば電子を操作できるメリデメ。このメリデメの保有者は自身のメリデメを使用して、データを書き換えることができるんだよ。他にもいろいろあるんだけど・・・』


 「異質なのはやっぱり特異系。それから成長したメリデメ。そしてつばめくんみたいに、未保有者が突如保有者になるケース。特にこの3つはバグってるだよ。」


 「たしかにそれだとバグが発生しそうですね・・・。後ろの2つは理解できたんですけど、特異系はなぜハグが多いんですか?」


 「特異系は母数がそもそも少ないからね。実際に計測したメリデメが本来のメリデメではないケースがあるんだよ。ちょっと前に他人の怪我を自身に移すことで治癒できるメリデメがある。ってお話をしたのを覚えてるかい?これは今まで能力強化系の類で、デメリットが自身に傷を付与するものだと考えられていたり、特異系で特定の条件を満たすことで怪我を移すことができると考えられていたんだよ。」


 「実際には違ったってことですか?」


 「そう。実際には移動系だったんだよ。」


 「えええええええええええええええええ!!!!!!!!!!で、でも確かに相手の怪我を自身に移動させた。と考えれば辻褄があいますね。」


 「驚くのも無理はないよね。これは実際にこのメリデメを使用した事件が起きたんだよ。」


 「事件ですか?」


 『悲惨な事件だったよ。復讐のために自身のメリデメを30年間も偽り続けてたんだからね。」





【後書き】

おやおや、雲行きが怪しいですね。

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