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残された者に祝福を  作者: 鳥居之イチ
第一章 俺は母を殺してしまったのだろうか。

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閑話




【前書き】

開いてくださりありがとうございます。

そしていつも、リアクション・ブックマーク・コメントをいただきありがとうございます。

少しでもこの小説を楽しんでくださいませ。





 結論からいうとメリデメの申請はめちゃくちゃ大変だった。本来であればこんなにも大変ではないらしいが、水面さんと一緒が一緒だったからなのか、俺のメリデメが少し特殊だったからか、提出先はどれも慌ただしくしていた。




 「こんなにも大変なら、事前に教えといてくださいよ。水面さん!」


 「つばめくん、君のメリデメ的に本来ならもっと大変だったし、もっと時間かかってたと思うよ。僕が一緒で良かったね。」


 「それ本当なんですか?」


 「ホントも本当さ。でも僕と一緒でもこんなにかかるとは想像してなかったよ。」


 「半分は水面さんに驚いて時間かかってたみたいに見えましてけどね。」


 「えぇ〜、そうかな?」




 この水面探偵事務所でアルバイトを始めて1週間。現在住み込みでアルバイトをさせてもらっている。俺のメリデメが国家機密扱い?らしく、水面さんの監視下に置かないといけないとのことで、今まで住んでいたアパートを解約し、1ヶ月以上欠勤していたアルバイト先をやめてきた。アパートの解約やアルバイト先の挨拶は信じられないくらいスムーズに進んだ。おそらく水面さんがなにかしてくれたのだろう。


 この水面探偵事務所で働き始めて、水面さんのいろいろなことを知ることができた。一番は俺の想像を超えるほどのすごい人物であったということだ。メリデメの研究・知識において右に出るものはいないほどの有名人で、雑誌で特集が組まれることもあるらしい。


 俺はこんなすごい人を俺のために拘束していたのだろうか・・・それって大丈夫なのか?





 「あの水面さん、俺にずっとかまってくれてますけど、お仕事とか大丈夫なんですか?」


 「大丈夫だよ。ちゃんと仕事してるよ。こう見えて案外忙しいんだけどね。」





 全く忙しそうに見えない。と、いうのは嘘になるかもしれない。事務所のデスクに積まれている書類の山。頻繁に鳴る水面さんの携帯。忙しいのは本当なのだろう。




 「俺、アルバイトなんで、仕事振ってくださいね。頑張るんで。」


 「ありがと。ま、仕事は事務所に戻ってからにしようか。なにか食べたいものある?」


 「いっつもそれですよね・・・。水面さんの食べたいものないんですか?」


 「僕は君の作ってくれたオムライスが好きだよ。」


 「いや一回しか作ってないじゃないですか。」


 「それでもだよ。手料理なんて久々に食べたからね。余計に美味しく感じたよ。」


 「・・・なんかちょいちょい口説かれてるみたいに聞こえます。」


 「え?ご、ごめん。そんなつもりは・・・」


 「わかってますって。でも他の人に言わないほうがいいですよ。水面さんは有名人で顔も良いんですから、すぐ勘違いされますよ。」


 「そ、そうかい?」





 水面さんは気恥ずかしそうにしている。なんとなく顔が赤くなってる気がする。褒められるのに慣れていないのだろうか?いやいやメリデメの有名人だぞ。しょっちゅう褒められてるに決まってる。やっぱり掴めない人だ。




 「スーパー寄りますよ。」


 「う、うん。なに買うんだい?」


 「オムライスの材料です。」


 「え!!!!作ってくれるの?やったぁ。」




 この人ホントに何歳なんだ?オムライスでこんなに喜ぶ大人がいるか?




 「オムライス意外で食べたいのないんですか?監視とはいえ住まわせてもらってるんで、ご飯くらい俺作りますよ。」


 「え!ええ!!えええ!!!いいのかい?ば、バイト代上げないと。」


 「いやいや、住まわせてもらってるんで・・・って、俺そもそも時給いくらなんですか?」


 「あれ、言ってなかったっけ?書類とかにも書いてなかったけ?」




 言われてみればアルバイトをするにあたって契約書を書かされた気がする。でもあんまり内容見ずにサインしちゃったし・・・。




 「すみません、何も考えずにサインしちゃいました。」


 「え!つばめくんいつか詐欺に遭うよ!気をつけてね。」


 「た、たしかに・・・気をつけます。」


 「よろしい。あ、バイト代だったよね。うちは時給制じゃなくて、月給制だよ。時給に換算すると1時間あたり、これくらいかな?」




 そう言うと水面さんはスマホの画面を見せてきた。




 「あの桁、間違ってますよ。」


 「ん?あってるよ。」


 「え?」


 「え?あれ?もしかして少ない?あ〜、どうしよう。バイト雇うの始めてだから給与面あんまり詳しくなくて・・・」


 「逆です逆です!多すぎます!時給換算で5桁ってどういうことですか?普通は3,4桁ですよ!」


 「そ、そうなの?でも多いに越したことはないじゃない?」


 「それはそうなんですけど・・・。いたたまれない気持ちになるといいますか、なんといいますか?俺までちゃんと働いてないですし!どんな仕事するかもまだわかってないですし!できるかもわからないですし!」


 「大丈夫!つばめくんがご飯作ってくれるって言うし!それもお仕事ってことで!」


 「いいんですか?」


 「いいんだよ。そうだ、カレーとか親子丼とかも作れる?」


 「つ、作れますけど。。。」


 「やった。じゃあ今日はオムライスで明日はカレー、その次は親子丼をお願いしようかな。」


 「わかりました!とりあえずスーパー行きましょ!スーパーで他に食べたいものできたら言ってください!作れる範囲で再現します!」


 「それは楽しみだ!」




 聞けば基本食事は外食か出前らしい。宅配の履歴を見させてもらったがバランスの悪い食事内容だった。この人大丈夫なのだろうか?今までどうやって生きてきたんだ?

 まだまだ水面さんの事で知らないことが多すぎる。

 それに、メリデメなんて存在しなければいい。とか言ってたよな。この人の目的はなんなんだ?やっぱり掴めない人だな。


 でも、俺のご飯楽しみにしてくれてるし、悪い人ではないからな。





 「とりあえず、この人についていこ。」


 「なにか言ったかい?」


 「いえ!独り言です。あ!そうだ事務所にモノ増やしてもいいですか?」


 「いいよ。何を増やすんだい?」


 「食器とか、調理器具とか・・・・。水面さんに食べてもらえるように揃えようかなと。」


 「それはいいね!よしそれはどこに売ってるんだい?スーパーの帰りに行こう!」


 「そうですね。行きましょ。」




 俺って結構単純かもしれないな。ま、水面さんは俺にとって恩人だから、少しずつでも形はどうあれ、返していかないとな。





【後書き】

閑話ではあるけど、ストーリーに関わる部分でもあります。


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