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第17話 その声は

小鳥遊美月視点

 体を揺すられてる感覚で、私は目が覚めた。こうやって誰かに起こしてもらうの、なんだか久しぶりかも。そう思いながら、私は目を開ける。すると、綺麗な翡翠色の瞳が私を見ていた。私、寝顔を優に見られてたの?恥ずかしいからあんまり見ないで欲しいんだけど。 ちょっと落ち着いて、私が優に膝枕されてることに気づいた。どういう状況なの?

「小鳥遊さんおはよう。」

「お、おはよう。」

混乱してる私に優が挨拶したのでそれに挨拶を返しながら、私はとりあえず体を起こした。すると、カラオケボックスにいることに気づいた。そっか、カラオケで優が歌ってる途中で眠たくなって、そのまま寝ちゃったんだ。周りを見てみると、優と私以外は寝てるのが見えた。

「ごめんね、こんなことになっちゃって。」

 優は戸惑ってる私を見て申し訳なさそうにそう言った。その様子から今の状況は優が関係しているみたいだけど・・・。とりあえず、何か知ってそうな優にどういう状況か聞きたいな。

「えっと、どういう状況か説明してほしいな?」

「うん。実は、僕の歌がとっても眠くなりやすいみたいなんだ。だから、みんなが寝てたのは、僕が歌を歌ったからなんだよ。」

 なるほど?私はその説明を聞いてカラオケが始まる前のことを思い出した。優は最後に席に座ろうとしてたし、その表情はちょっとぎこちない表情だった気がする。てっきり、私と一緒で歌を歌うのが苦手なのかと思ってたけど、そういう理由だったんだ。

 ただ、ちょっと気になることができた。

「それって魔法じゃないの?確か、特殊魔法っていうのがあったよね?」

 あの元気な明梨姉や楓姉が寝るなら、魔法だと思うんだよね。私は見たことないけど、特殊魔法っていう無火水風土光闇にはない魔法を使える人もいるみたいだし、その魔法に眠らせる魔法があってもおかしくないと思う。

「わかんない。でももしそうなら、扱えるようにしたいなぁ。」

 優は先ほどと変わらず申し訳なさそうにそう言った。その様子が、とても悲しそうに見えた。なんだか、私とちょっと似てるかも。理由や境遇は全然違うけど、人前で歌えなくて苦しそうなところとか。

「ねぇ、もう1回歌って?」

「へ?でもそれじゃ。」

「また寝ちゃうかもしれないけど、さっきちょっと聞いた優の歌、好きだったから。もっと聞きたいな。」

 私は寝る前の優の歌を思い出す。透き通った綺麗な声で、暖かくそして優しく綺麗に歌っていて、ずっと聞いていたいくらいだった。

「わかったよ。それじゃあ歌うね。」

 優は困惑しながらも、歌い始めた。やっぱり、優の歌は綺麗で、そして心が暖かくなる。ただ、音痴すぎるだけの私とは全然違うのがわかる。

 ・・・私は音痴すぎて中学生の時、周りからいろいろ悪口を言われた。だから、私はあまり人の前で歌うことが怖くなってしまった。優の言葉から私ほどひどいことはなかったみたいだけど、いつ私と同じようになるか分からない。だって、歌っただけで周りを眠らせる人間に対して、周囲がどう思うかなんてわかりきってるから。



 気づいた時には、私は寝てたみたいで、また優に起こされて目を覚ました。

「えっと、おはよう。」

「おはよう。あと、歌ってくれてありがとう。やっぱり、優の歌好き。」

「ありがとう?」

 優は困惑しながら、少し照れるように笑った。楓姉が学校で優のことを話すけど、少しわかる気がする。そう思いながら、私は優と一緒に他の人を起こそうとするのだった。


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