第2話 家族
2人がじゃれあってるのを止めて、僕たちはバスに乗り、空いている席に座った。
「そういえば!今回、クラスにかわいい子がいたよね!小鳥遊美月って子!」
「あの紫髪のちっこい子だよな!カエデが好きそうだと思ってたんだよ!もっとも、俺はこのはさん派だけどな!」
「2人とも、相変わらずだね。」
カエデは小さくてかわいい子が好きで、撫でたり愛でたりするのが好きなんだけど、小さくてかわいい子なら誰でも良いみたいな感じ。まぁ、恋とかじゃないからいいのかな。ハヤテは反対に秋雨このはさんという女の子に中等部の時にクラスに一緒になってから、ずっと恋焦がれている。ただ、告白どころか話すこともあまりできてないから、このまま高等部を卒業までいって恋が終わるか、秋雨このはさんに恋人ができて終わるかのどっちかなのかな、と思っている。
「優は好みの子とかいたか?!」
「そもそも、うちのクラスって誰がいたっけ。」
「あっはは!優くんも相変わらずだね!」
「自己紹介くらいちゃんと聞いとけよな!」
「入学式の時にビミョーに寝たせいで眠かったから..。」
「しょうがないなぁ!なんならみんなで寝よう!」
「それだと寝過ごすだろ!」
2人とあれこれ話してると、家の近くのバス停に来たから、2人に手を振ってバスから降りて、ちょっと行ったところのマンションに入って、3階の自分の家に帰ってきた。
「お帰りなさい、兄さん。」
「ただいま。ありがとね、待っててくれて。ただ、いつも言ってるけど、玄関で待ってなくて良いんだよ?」
学校から帰ってくると、水色の瞳に明るいベージュみたいな色の髪をしたかわいい女の子、みたいな弟がエプロン姿で玄関で迎えてくれた。
「別に待ってたわけじゃないですよ。帰ってくる予感がして出てきたら、ちょうど兄さんが帰ってきただけです。」
・・・流石に冗談だよね。僕が気にしないように言ってるんだと思うんだけど、流石にちょっと怖い。
「それより、料理できてますから、早く準備をしてきてくださいね。」
「わかった。急ぐから、ちょっと待っててね。」
僕は玄関で靴を脱いで靴箱に片付けて、手洗いうがいをして、配られた教科書の入った重い鞄を自分の部屋の机に乗せて、制服から部屋着に着替えて、リビングに行く。
「ごめん。遅くなっちゃったかも。」
「全然大丈夫ですよ。それより、早く食べましょう。」
「うん。」
テーブルには、とろとろのオムライスが置かれている。とても美味しそうで見てるだけでお腹が空いてきた。すぐに椅子に座って、ひなたと一緒に手を合わせる。
「「いただきます。」」
日向が作ってくれたオムライスに、ケチャップとデミグラスソースを半分ずつかける。スプーンを手に取って、ケチャップの方のオムライスを掬って口に入れる。とろとろふわふわの卵とケチャップやバターで味付けされた濃厚なチキンライス、そして、酸味と甘みのあるケチャップの味が口の中で混ざり合って、とっても美味しい。美味しすぎて、思わず頬が緩んでしまう。やっぱり、日向が作ってくれる料理はすごく美味しいなぁ。もしかしたら、プロの人たちなみかも。
大きめのお皿に盛り付けられてた美味しいオムライスを10分くらいで食べ終わっちゃった。とっても美味しかったから、とっても満足できたけど、食べ終わっちゃってちょっと悲しいかもしれない。
「ごちそうさまでした。とっても美味しかったよ。」
「お粗末さまでした。美味しくできてよかったです。」
「日向が作ってくれる料理はいつも美味しいよ。毎日食べられるのが幸せなくらい。」
「嬉しいですけど、大袈裟すぎますよ。」
僕が褒めると、恥ずかしそうに頬を染めていた。女の子っぽいから余計にかわいい。
「それじゃあ、お皿を片付けちゃいますね。」
「それくらい、僕がやるよ。」
「兄さんは学校から持って帰った荷物の片付けがありますよね。だから、私がお皿を片付けますよ。」
「ありがとうね。」
お皿の片付けを日向にお願いして、僕は自分の部屋に教科書を片付けに戻った。
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