プロローグ
憑依能力。系統的に言えば、憑依術。
憑依能力とは、術者が対象に直接触れることで術者の意識を対象に乗り移らせ、対象を術者の思うがままにコントロールできる能力。
それは、対象に意識があろうとなかろうと関係なく、強制的に対象の意識を押し退けることができる。また、解除の際、術者の意識は距離に関係なく術者の体へと戻る。
シャーマンやイタコなどが扱う、術者の肉体に死者の精神を乗り移らせる降魔術とは少し勝手が違う。
欠点は、術者の意識は対象へと移ってしまうため、術者は術中、文字通り「気を失った」状態になってしまうという点だ。
また、この世には憑依能力を代々受け継ぐ血筋が存在し、今でも一般人と何ら変わりのない生活を送っている。
彼らは先天的に憑依能力の才を持つが、決して初めから完成されたそれを備えるというわけではない。精神力を高めることで憑依能力は向上、進化し、徐々に高度な憑依技術を覚えていく。
憑依能力には幾つか種類がある。生命体に憑依する「生物憑依」は憑依術の基本だが、その派生として、遠距離の対象に憑依する「遠隔憑依」や、複数の生命体に憑依する「多重憑依」、無機物に憑依する「非生物憑依」、意識を等分してその意識の一部だけを憑依させる「分身憑依」などがある。
ただ、利点の多い術ほど習得は困難であり、高い精神力を必要とする。難易度の高い憑依術を発現できないままに一生を終える者も少なくない。
ちょうど今、春の麗らかなな日差しの中、一人の青年が憑依術の基本である「生物憑依」を習得した。
ここから、一つの物語は始まる。
初めて小説を書きました。めっちゃビビってます。キーボードを打つ手がプルプル震えてます。何せ見せたの友人一人なもんで…。
感想とか書いていただけたら嬉しいです。