第49話 山賊王との決着
・コスモ(女)
元騎士団の39歳のおっさん冒険者
職業は【ソードアーマー】
領主騎士団時代に負傷した右膝を治す為に飲んだ森の魔女の秘薬、万能薬の効果により39歳のおっさんモウガス(男)から見た目が20歳前後のコスモ(女)となる
上皇アインザーによって<インペリアルオブハート>の称号を得るが、それを象徴するハート型の盾と共にビキニアーマーがますます外せなくなる、ある意味呪われた装備と化していた
「俺はなレベル35の上級職【グレイトバンディット】、元々この2本の手斧で山賊王の座を勝ち取ったんだ、ガキだけに頼った力だけじゃねえ!」
山賊のコンドラが腰に掛けていた2本の手斧を手に取るとレオネクスに向けて構える。手斧は鋼の斧に比べると小さいが、両刃付きで柄の部分が短く全体が円の形になっていた。
対してレオネクスはレベル21の上級職【マスターロードアックス】。
手に持つ槍斧の神器【ドラバルド】は穂先に三角錐の形をした刃に、その下には柄を挟み大きな斧の両刃が接合されてる。斧の根本には赤い帯布が巻かれ、長い柄の部分には竜の鱗の様な紋様が装飾されている。
元は竜に特化した専用武器で、ロンフォード領の領主ジルトが持つ剣の神器【アースカロン】と同じく、人に対しては能力値の向上のみの恩恵を受ける。
そして神器【ドラバルド】の恩恵は【力】【技】【速さ】【守備】の能力値が10づつ上昇する特性があった。その特性によって【力】は驚異の50超えで上限値である。
レオネクスが槍斧の神器【ドラバルド】の柄の部分を両手に持ち、足を前後に開き腰を落とすと体の軸を中心に斜めに構え、穂先をコンドラへと向ける。
「コンドラ、7年前の父グレンドルの仇、取らせて貰うぞ」
「やれるもんなら、やってみやがれ!!」
コンドラが左手の手斧を後ろに振りかぶるとレオネクスに向けて投げ付ける。
手斧が回転しながら早い速度で迫るが、馬の全速力並でレオネクスが姿勢をそのままに、全身を横に逸らすと飛んできた手斧を軽く躱す。
「がはははは!俺様の攻撃を受けてみろ!」
躱したのと同時にレオネクスへと向かってコンドラが勢い良く走り込むと、その巨体を空に浮かせ手斧を大きく振り上げると、レオネクスの頭部に向かって叩き落とす。
コンドラの大振りな攻撃を見切ると、レオネクスが神器の斧の刃の部分で受け止める。それを見たコンドラが笑みを浮かべる。
「かかったな……」
「何を言っている……はっ!」
レオネクスの背後から重い風切り音が聞こえて来る。避けた筈の手斧がレオネクスの頭部に向かって戻って来ていた。
寸での所で音に気付くと、受け止めていたコンドラの右手の手斧を弾き返して横へ飛ぶと、背後から飛んできた手斧を回避する。レオネクスの着ていた赤い外套に手斧が掠り、切れ目が入る。
避けたレオネクスが片膝を付いて再び構え様とするが、飛んできた手斧をコンドラが上手く左手で掴むと、その隙を逃さずレオネクスに向けて両手に持った、2本の手斧で同時に切り掛かって行く。
ギィィィィン!!
レオネクスが片膝を付いた状態で、2本の手斧を斧の刃で辛うじて受け止めると、鈍い金属音が森の中に響く。
「はははは!驚いたか!これが俺の技能【飛去来】と【双子斧】、双子の手斧ならではの連携が生む、変幻自在の斧の動きに付いてこれないだろう!」
「まさか背後から手斧が戻って来るとは……!」
通常の手斧の投擲は1回限りの攻撃である、だがコンドラが技能によって2本の手斧を巧みに操り、ブーメランの様に自由自在に扱う事が出来ていた。この技能で山賊の派閥争いに勝利していたのだ。
コンドラが腕に力込めて上から体重を乗せ、2本の手斧を押し込んで来るが、一向に押し込めないでいた。
すると徐々にレオネクスが手斧を押し返し始め、立ち上がるとコンドラが押し切れないと判断して、後方へと飛び距離を取ると2本の手斧を構える。
立ち上がったレオネクスが神器【ドラバルド】の穂先をコンドラに向けて構える。
「く、くそ!この馬鹿力が、普通の奴なら今のでやれたのに!」
「……お前の力は分かった、その【飛去来】【双子斧】とやらの技を存分に使うと良い」
「舐めるなよ!貴族とは違う厳しい山賊の世界で生き抜いて来た技だ!斧奥義【双滑動斧】!」
コンドラが両手に持った手斧を同時に左右後方へ腕を振りかぶると、大きく胸を張り出してレオネクスの腰の高さに合わせ真っ直ぐに2本の手斧を投げつける。
そのままの軌道では当たらない位置にあった手斧が、レオネクスの手前で突然、軌道を変えるとレオネクスの頭部と足元に目掛けて飛んでくる。
「な……軌道が変化するだと!」
辛うじて頭部に向かって来た手斧は避けたが、足元に飛んできた手斧は避けられずに脹脛を切られると、そのまま2つの斧がコンドラの手元へと戻って行く。レオネクスが痛みに苦悶の表情を浮かべる。
「ふははは!手斧の軌道が読めまい!まだまだ行くぞ!斧奥義【時間差斧】!」
今度は左手の手斧を下手投げで地面に這う様に投げると、右手の手斧を少し遅らせ後方に振りかぶると、勢い良く真っ直ぐ正面へと投げ付ける。
すると、左手で投げた手斧がレオネクスの手前で、地面から急上昇し首に向かって行く、少し遅れて正面から来た手斧が心臓のある胸に目掛け飛んでくる。
「くっ!」
この二つの時間差攻撃もレオネクスの首と胸をかすめると、そのままコンドラの手元へと戻って行く。手斧がかすめた部分の肌が裂けると血が滲んで行く。
その後もコンドラの変幻自在な手斧の前にレオネクスが防戦一方となり、ただ立ち尽くし、耐えるだけの状態になっていた。
それを見て我慢が出来なくなったフィオーレが、コスモの腕を掴む。
「ね、ねえ!コスモ!助けなくていいの!」
「……大丈夫だフィオーレ、レオネクス様は俺以上に不器用らしい、愚直をそのまま言葉にした様な人だよ」
「で、でもこのままじゃ、レオネクス様負けちゃうって!」
「はははは、フィオーレはほんと優しいな」
「な、何言ってるの、こ、こんな時に……」
フィオーレが年相応の恥じらいを見せ頬を赤く染める。隣に居たラルガーとフェニーは表情を変える事無くその戦いを見つめていた。2人共にコスモと同じく、レオネクスが敢えてコンドラの攻撃を、受けている事に気付いていた。
次第に奥義を出し尽くしたコンドラに疲労が見えて来る。レオネクスも体中を切り刻まれ血を流しているが致命傷は避け、その猛攻を耐え切っていた。
「ぜえぜえ……な、何て硬い野郎なんだ!」
「……7年間、受け続けた領民の苦しみ痛みはこんなものではない」
「な、何だって?」
「俺が受けた攻撃は、領民が受けた苦しみに比べれば大したことが無いと言っている!!」
「て、てめえわざと攻撃を受けたとでも言いてのか!」
コンドラの初めの一撃ですでにレオネクスが圧倒的に開きのある実力差を理解していた。そしてレオネクスは見た目以上に真っ直ぐで、優しい男である。
7年間、コンドラから受けて来た領民の苦しみを、救えなかった自身が許せないでいた。そしてコンドラの攻撃を体に刻む事で苦しみを知り、償おうとしていた。
「せめて領民と同じ痛みを知ろうと受けてみたが……この程度では犠牲になった領民も納得しないだろう、だがその前に、領主としての役目は果たさせて貰う……」
「ふざけやがって、これが俺の最高の技だ!喰らいやがれ、斧奥義【双頭連山斧】!!」
コンドラが2本の手斧の柄の先を繋ぎ合体させると手斧を1本化する、それを腕から肩、体にかけて全力で振りかぶり、レオネクスに向かって投げ付ける。2本の手斧が両端に付いてる事によって遠心力が増すと、物凄い風切り音と共に迫って来る。
「貴様には二撃は必要ない!この一撃で終わらせてやる!!」
レオネクスが傷だらけの体で神器【ドラバルド】を両手で上段に構えると、そのまま動きを止め、腕に力込めて行く、目を少し瞑り集中すると足元の大地が揺れ始める。
目を大きく開くと地面に叩き付けるように神器【ドラバルド】を振り下ろす。
「斧奥義【断陸斧】!」
レオネクスの特殊技能【曝陸斧】で斧技【地割り】が上級斧技になった奥義である。大地を割く斬撃はあらゆる生物を斬り裂き、大きい地割れは魔獣をも飲み込む、大地の力を利用した奥義である。
神器【ドラバルド】の刃から大地に大きな斬撃が走る。
飛んで来たゴンドラの手斧に、その斬撃が当たると手斧が真っ二つに割れ、レオネクスの体の横へ、左右に別れる様に飛んで行くと、力無く地面へと落下する。
そのまま大地を走る斬撃がコンドラへと向かって進むと、コンドラの体の横をすり抜けて後方の大きい樹々にぶつかると斬撃がようやく消滅する。
大きい樹々が斬撃による綺麗な切れ目を見せ倒れ始める。そして地面には斬撃に沿って、大きな地割れが出来ていた、奥義の名の通り陸を断って見せたのだ。
その段違いの威力に腰を抜かして、その場に座り込むコンドラが体を震わせる。
「バ、バケモンだ……」
「何を言っている、俺に言わせれば平然と子供を盾にする、お前の方が化け物だ!」
座り込むコンドラにレオネクスが、ゆっくりと近寄ると手に持っていた、神器ドラバルドの穂先を向ける。すでに戦意の無いコンドラの顔は山賊王の顔ではなく、追い詰められた小心な男の顔に戻っていた。
レオネクスがその顔を見つめ手を震わせると、怒りを抑える様に大きく息を吸いゆっくりと吐き出す。
「すぅーー!はぁーーーー!」
「ひ、ひい……」
「貴様の薄汚い血で神器を汚す必要はあるまい……せめて領民の見せしめになってから果てるが良い」
レオネクスがそう言い捨てると神器を背負う。コンドラとの一騎打ちの決着が着く。一騎打ちの一部始終を見ていた立会人のコスモが笑顔で称賛を送る。
「レオネクス様、見事な決闘でした、この勝利はすぐに大陸中に広まるでしょう」
「……ここまで来れたのもコスモ殿の働きがあったお陰だ!」
「やったー!コスモ!これで山賊達も終わりだね!……そしてあたしの修行も終わりっと!」
「修業はわかんねえが……これでスーテイン領から山賊は居なくなるだろうな」
フィオーレが飛び跳ね体全体で喜びを表している。それを見てレオネクスも今まで硬かった表情を緩ませ笑顔になる。ラルガーも1人で頷き、決闘の内容に感心している。
フェニー涙を浮かべ優しい目で見守っていた。
勝利に喜ぶ皆の後ろでコンドラが隠し持っていた小型の弩を、レオネクスに向けて構ていた。
その動きをフェニーが一早く察知すると、レオネクスに向かって走り出す。
「へ、へへ馬鹿が……最後に油断しやがって……」
「レオネクス様!危ない!」
コンドラがレオネクスに向かって矢を放つ。
フェニーがレオネクスの前に飛び出し体を盾にして、放たれた矢を胸に受ける。
その矢尻には紫色をした液体が塗られ、フェニー胸当てを貫通し心臓に近い部分に刺さっていた。
矢を受けたフェニーがその場に倒れ込むと、レオネクスが慌ててその体を両腕で支える。
「フェ……フェニー!?……な、なんでこんな!」
「この腐れ山賊がふざけおって!!」
すぐにラルガーがコンドラに飛び掛かると、体を抑え付け身動き出来ない様にするが後の祭りだった。体を抑えられたコンドラが放った矢について、憎たらしい口調で説明を始める。
「その矢には猛毒が塗られている、俺だけあの世に行くのは寂しいからな!その女にも付き合って貰おうか!はははは!」
「るっせんだよ!このクソ山賊が!」
フィオーレも怒りコンドラの顔を蹴り飛ばす。だが蹴り飛ばされても憎たらしく笑い続ける。
しかしコンドラの言葉はレオネクスには届いていなかった。意識は全て倒れていたフェニーに集中していたからだ。
レオネクスが屈み優しく体を抱えると、フェニーが震えた言葉で思いを伝える。
「よ、良かった……レオネクス様はご無事なのですね……」
「俺が……俺がコンドラにトドメを刺さないばかりにこんな事に……」
「罪は法によって裁かれるべきです……個の感情に委ねては法が意味を成しませんから……」
「だがそれでお前を失っては何もならないだろう!7年間俺を支えて来てくれたお前が居なくなったら無意味なのだ!」
レオネクスの目から大粒の涙が溢れ、フェニーの顔に落ちて行く。それを見てフェニーが優しく微笑む、だが毒が回って来たのか顔に汗が滲み、苦しそうな顔になる。
「うぐっ……で、出来れば……レオネクス様と……死ぬまで一緒に……居たかった……」
「ああ、フェニーが元気になればいつまでも一緒だ!」
「……レオネクス様、わ、私は貴方を……あ、愛しておりました……」
「俺もだフェニー!だから……頼むから……死なないでくれ!」
レオネクスが悲痛な表情でフェニーを抱き締めると、フェニーも弱々しい腕でレオネクスの大きい体を抱き返し応える。そして毒が回り始めると、顔を青くして息が荒くなって行く。
一刻を争う事態に、遅れてコスモがフェニーの下へと駆け付ける。何かを探しに辺りを走り回っていた。
「くそ!こんな時に大事なもんを落とすなんて、間抜けな事をしたぜ!だがもう大丈夫だ!」
「コ、コスモ殿?」
「こんな事もあろうかとな、教会から【ヒールの杖】と【キュアポイズンの杖】を持って来たんだ!」
「しかし、コスモ殿は【ソードアーマー】だろう?使える訳が……」
レオネクスはコスモが杖の適性"S"なのを知らない。前回の盗賊掃討戦で技能【紫毒】に苦しめられた経験から、コスモが毒対策で、【キュアポイズンの杖】を拝借していた。
コスモがレオネクスの言葉を遮る様に、フェニーの胸に向けて【キュアポイズンの杖】を掲げると、淡い紫色の光を発する。毒で息の荒くなっていたフェニーの呼吸が落ち着き始めると、淡い紫色の光が収束する。
すぐに【ヒールの杖】に持ち替えて杖の先から、淡い青い色の光が発せられる。フェニーの胸に刺さった矢が抜け落ち、傷口が見る見ると塞がって行く。
「よし!これでもう大丈夫だ、さあフェニー!これで立てるだろ?」
「ほ、本当かコスモ殿!フェニー!こっちを見てくれ!」
「……」
毒と傷が治ってもフェニーが一向に起きない、それに言葉も発さないのだ。おかしいと思いレオネクスがフェニーの横に逸らしている顔を手で掴み、正面に向ける。
するとフェニーが顔を真っ赤に、恥ずかしそうな表情をしていた。
「……コスモ様……なんで早く治してくれないんですか……」
「いやー悪い悪い!さっき山賊共に襲われた時に落ちしちまったみたいでさ、すぐに思い出して拾いに行ってたんだよ」
「……わ、私の告白を聞いてた人は?」
「え?告白?何の事だ?」
「あ、あたしは、愛してるなんて聞いてないよおー?ひゅーひゅひゅー!」
「わ、我は最近耳が遠くてな……それに愛と言う帝国の難しい言葉は分からないのだ……」
「し、しっかり聞いてるじゃないですかっ!!」
フェニーの瀕死の告白を聞いていた者達が、露骨に誤魔化していた。
コスモは杖を探しに離れていたので聞いてはいないが、フィオーレは両腕を首の後ろに回すと、渇いた口笛で誤魔化し、ラルガーが山岳部族だから言葉が解らないと、苦し紛れの言い訳をする。
その反応に耐え切れずにフェニーが真っ赤になった顔を両手で隠す。
だがレオネクスにはそんな事はどうでも良かった。倒れたフェニーを両腕で抱え上げると、山に響く様な大きな声を出して告白をする。
「俺は決めたぞ!フェニー俺と結婚してくれ!そして死ぬまで一緒ににスーテイン領を大陸一、領民に愛される場所にしよう!!」
「は……はい……こんな私で良ければ……いつまでもご一緒致します……」
レオネクスの告白の声がやまびことなって返って来る。レオネクスは獅子の様な精悍な顔を年相応の青年の顔に戻し笑顔になると、フェニーが顔を真っ赤にさせながら、涙を流し微笑んでいた。
それを聞いていたコスモもにこやかな顔で見つめる。
「因縁の相手に勝った後の告白か!こりゃめでたい!はははは!」
「……ば、馬鹿なあの毒は並の毒じゃねえ、【シスター】【プリースト】の上級職【セイントカディナー】じゃなきゃ解毒できねえはずだ!」
皆がレオネクスとフェニーの婚姻を祝福している中、コンドラが驚愕の表情を浮かべている。
逆転の一撃として強力な毒を塗っていたのだが、コスモの異常な【魔力】によっていとも簡単に毒が浄化されたからだ。
コンドラの頭をコスモが片手で鷲掴みにすると、ラルガーに目配せをして拘束を解除させる。そのままコスモが自分の顔近くまでコンドラを持ち上げると、辺りの空気が重くなっていく。
「なあコンドラ、手斧に毒を塗れば勝てたのに、お前やらなかったろ?なぜ塗れなかったのか分かるぜ、万が一、自分が毒にかかったら怖いもんな?お前は結局、仲間と一緒で自分の腕を最後まで信じられなかった……それが敗因だよ」
「く!……そ、そんなことはねえ!」
「まあ、そんな事はどうでもいい、負け犬は負け犬らしく、従順に素直になった方が利口だよな……」
「ひ、ひい……!!」
コスモの白目部分が黒く染まるとその目を見たコンドラが怯えた表情になる。辺り一帯に重圧がかかり始めると、コスモの体からは悪魔の様な恐怖感が発せられていた。
はぐれ竜にも使用した技能【悪魔の威圧】を発動していた。
「今までお前の犠牲になった人々が、地獄の底で待ってるぞ……」
「な、なんだ……その目は……う、うわあああああああ!やめろおおおおおおおお!来るんじゃねえ!!」
コスモの黒い目を見たコンドラが、自分の足を掴む感触を感じると足元を見る。過去に自分が手に掛けた、死者の群れが足を掴んでいた。
次第に死者の群れが、コンドラの足を引き始めると死者で溢れた沼に、ゆっくりと引きずり込まれて行く。振り払っても離れない死者の群れに、コンドラが恐怖の表情を浮かべていた。
すると辺りに掛かっていた重圧が消えると、コスモの目も元に戻って行く。異常な重圧感と恐怖感を感じたレオネクスがコスモを心配して声を掛ける。
「コ、コスモ殿、今のは一体……それにコンドラのこの様子は……」
「こいつは二度と戻れない地獄に落ちたんです、自分の手に掛けた者達によってね……」
コンドラが1人で地面に倒れ込むと、必死な形相で手足を動かし、必死に何かから離れようともがいている、【悪魔の威圧】によって心に恐怖を刻み込まれ、それが命果てるまで続く。
二度と正気に戻れないコンドラの末路を哀れみの目でコスモが見つめていた。




