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元騎士団のおっさん伝説のピンクビキニアーマーになる ~魅力を添えて~  作者: トリミング中の噛み犬


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第47話 参謀の策

・コスモ(女)


 元騎士団の39歳のおっさん冒険者

 職業は【ソードアーマー】


 領主騎士団時代に負傷した右膝を治す為に飲んだ森の魔女の秘薬、万能薬の効果により39歳のおっさんモウガス(男)から見た目が20歳前後のコスモ(女)となる

 上皇アインザーによって<インペリアルオブハート>の称号を得るが、それを象徴するハート型の盾と共にビキニアーマーがますます外せなくなる、ある意味呪われた装備と化していた




 翌朝、高山の中腹で野営をしていた広場に朝陽が射し込む。


 昨晩は強行軍での疲れもあって程よく緊張が解けて、新兵達は戦いを前にしながら熟睡が出来ていた。これもコスモの【情熱の踊り】の副産物だろう。その甲斐もあってか早朝から元気よく、新兵達が野営の撤収を始めていた。


 撤収が進むにつれて日が昇り、昨日は暗くて見えなかった下界の景色がはっきりと見える。目線と同じ位置に雲が漂い、更にその下には草の様に見える森林地帯、その中にこじんまりとした岩造りの砦が見えていた。


 周りを高山に囲われ、唯一の道が山間にあるだけで外からは隔絶されている地形だ。そして山岳部族の抜け道の洞穴は、山間の道の反対側に位置していた。


 撤収も終わり出発の準備が整うと、フェニーが新兵達と冒険者達を集め部隊を編制する。


 レオネクス率いる【グレートナイト】30名、フィオーレ率いる【アックスナイト】30名、フェニー率いる【スクワイアーチャー】30名にラルガーと冒険者、そして最後にコスモ率いる【アクスアーマー】10名。


 驚く事にフィオーレが部隊長に大抜擢されていた。冒険者や山賊の間では【百剣のダンサー】として恐れられていた、その剣の腕をフェニーに買われての事だった。


 部隊編制を終えると山賊達の今後の動きを予測した、フェニーの説明が始まる。


「山賊達は総勢200名、比べ我が軍は少数です、ですがそこに付け入る隙があります!私の予測が正しければ砦の守備隊に50名程を残し最低でも150名の主力をこちらに向かわせるでしょう」


 フェニーの予測は妥当で、山賊達には自軍に新兵が多く居る事を隠していない。むしろ堂々と強調している位だ。


 そうすれば慎重な山賊王コンドラが、砦への奇襲を警戒して守備隊を多く残し、新兵の相手ならば倍の数は必要ないと判断すると計算していた。


「七分の勝利は怠けの心を生ませ、十分の勝利は敵を驕ると言います、山賊達は先代グレンドル様を討ち取り十分と言っても良い勝利を得ています。それを今回は利用します、各部隊の配置ですが……」


 すると地図を取り出し各部隊の配置を指示し始める。それを各部隊長が把握するとレオネクスが出発の声を上げる。


「皆の者!必ずこの策を成功させて勝利する事を俺は信じている!互いの連携が勝利の鍵だ、皆の命を俺に預けてくれ!さあ出発だ!」


「おうっ!!」


 レオネクスの声に応えた騎士達が意気揚々と出発して下山を始める。山道の途中で部隊が分かれて行くとコスモ率いる【アクスアーマー】10名だけが麓の森林地帯へと下りて行く。


 コスモが地図を開き辺りの地形を確認する。ラルガー達が詳細に調べてくれたお陰で自分達の居場所がすぐに分かると山賊の砦に向かって移動を開始する。


「コ、コスモさん……ほ、本当に私達だけで大丈夫なんでしょうか?」


「ブ、ブヒッ!山賊が奇襲でもしてきたら一溜りもないですよ!」


「安心しろ、フェニーの言う通り山賊は間違い無く俺達を下に見ているから奇襲は無い、それに奇襲があっても俺が付いている、安心しろって!」


 【アクスアーマー】の新兵が張り詰めた顔で恐る恐るコスモの後ろを付いていた。中には昨夜フィオーレに八つ当たりを受けた太めの新兵の男も居た。


 そして珍しく女の新兵も居る、父の仇を取るために志願してきたのだ。


 そして奇襲は戦略上、格が上の者を相手にする時に行う事で効果が発揮されるので、少数で新兵の多い格下の自分達に奇襲を仕掛ける事が無いと判断していた。


 例え奇襲があっても、コスモが居るのだ。新兵を逃す時間は容易に作れる。


 新兵を山賊の砦までコスモが率いていると、砦の周囲を警戒していた2人組の山賊がコスモの目立つ桃色の鎧を発見する。


「あれは……密偵の話の通りだが予定よりも早い、頭領に報告だ!おい!」


「ああ、俺が行って来る、引き続き見張ってろよ!」


 2人組の内の1人が砦に向かって走り出すと、もう1人がコスモ達を追跡する。急ぎ戻った山賊が砦の玉座に座っていたコンドラに報告をする。


「頭領、領主のレオネクスが軍を率いてやって来ました、例の桃色の女も一緒です!」


「何だと?予定より早いじゃねえか……山を越えるにしたって時間は掛かる筈だが、まあいい!こちらは予定通り主力の150人を向かわせろ、新兵だらけでつまらない戦いだが、奴らにトドメを刺してやれ!」


「分かりました!すでに編制は済んでるのですぐにでも出発します!」


「もうすぐ俺達の国が出来る、そうなれば俺が真の山賊王だ、へっへっへ!」


 コンドラが部下に出撃の指示を出すと、フェニーの予測通り150人の戦力を向かわせる。そしてコンドラが部屋に飾られた神器【ドラバルド】を眺めながら、不敵な笑みを浮かべ自分の夢である山賊の国の王を、名実共に実現出来る事を確信していた。


 コスモ達が山賊達の仕掛けた罠を避けながら、移動すると山賊の砦が見えて来る。


 山の中腹から見えていた砦に比べて、近くで見るとしっかりと造られた高い城壁に、大きい城門、それらが山賊王コンドラの権威を示していた。


 すると城門が開き続々と山賊が隊列を組み出て来る。


「……どうやら俺達に気が付いた様だな」


「は、早く逃げましょうよコスモさん!こ、ここに居たらやられちゃう!」


「さ、賛成ブヒッ!」


 草むらに隠れていたコスモと新兵達が山賊達の様子を見ていた。すると山賊の男が森から出て来てこちらを指差すと山賊の部隊が、一気にこちらに向かって走ってくる。


 コスモ達を追跡していた山賊が、しっかりと隠れていた場所を見ていたのだ。


「おらーーー!そこに居るのは分かってんだ!出て来やがれー!!」


「うおおおおおおおお!!」


「き、ききき来ましたよ!」


「も、もう我慢出来ない!逃げるブヒッ!」


「こんくらいでいいだろ!お前ら全速力で逃げろ!!」


 コスモがある程度の距離に山賊達を引き付けると、新兵達を先に逃がす。


 そしてコスモが立ち上がって側にあった木を、魔剣ナインロータスで根本から切り掛かると、木の根元が爆発するようにえぐり取られ、盗賊の進路を塞ぐ様に木が倒れて行く。


ズシャアアアン!!


「く!足止めか、だが無駄な事!【アクスアーマー】は鈍足、すぐに追い付いてやる!」


「走れ走れ!山賊が追いかけて来るぞ!」


「ひ、ひいーーーー!コスモさんーーーー!」


「ブヒッ!ブヒッ!逃げるんだあーーーー!!」


 新兵達が必死の形相で走って逃げる。その様子を見ていた山賊達は密偵の報告通り、戦い慣れていない新兵である事を確認する。


 そして表情を緩ませると、新兵達を一方的に打ち取ろうと、隊列を無視して速度を上げて追いかけて来る。


 新兵達の殿に付いていたコスモが、山賊の足止めをするために近くの木の根本を、次々と魔剣ナインロータスで叩き付け、木を薙ぎ倒しながら後退して行く。


 そのお陰で山賊達との距離を取る事に成功する。


 すでにフェニーに言われていた場所まで、逃げ込んでいた新兵達が、盾を構え震えながら待機していた。


 そしてフェニーから授けられた策に従って、コスモが新兵達の前に躍り出る。


「あんまり気が進まねえが、新兵達のためだ!仕方ねえ!」


 するとすかさずコスモが魔剣を背中に背負うと、援技【情熱の踊り】を実行する。


 妖艶な踊りで素早く華麗に踊ると、新兵10人の周囲に淡いハート型の光が放たれる。すると震えていた新兵達の体に力が漲って来ると、表情から怯えが消え、勇敢な表情へと変わる。


「きたーーーー!この心の奥底から湧き出る闘志!燃えてきたーーーー!」


「ブッヒーーーー!きたぞきたぞーーーー!」


 【情熱の踊り】によって新兵達の能力値が向上されて、狂戦士化されていった。その新兵達の列にコスモが入るとハート型の盾を構えて山賊を迎え撃つ。


「こっから本番だぞ!この力で山賊達の動きを止めるぞ!全員、横列防御陣形!!」


「う、うおっしゃああああ!」


「ブッヒャー!止めてやるぜ!」


 コスモ率いる【アックスアーマー】の部隊に山賊が迫るが、隊列を乱していて縦に長く伸び始めていた。


 山賊達にも足の早さに違いがあって、早い者は突出して、遅い者は後方に、並の者はその間に居た。まるで細長い楕円を描く様な隊列になっていたのだ。


 追い付いた先頭の山賊達が一斉に、コスモ率いる新兵達に鋼の斧で切り掛かる。


「おらー!しねやあああああ!」


「少しの我慢だ、皆耐えるんだ!」


「余裕ですよ!コスモさん!」


「ブッヒャー!アーマー舐めんなよ!」


 コスモを中心に横一列に並んだ狂戦士化した新兵達が、大きな盾を地面へと叩き付け沈めると、姿勢を低く取り構えた盾を体で支える。その盾に山賊達が次々と鋼の斧を叩き付けて行く。


ギンッ!ガンッ!ゴンッ!……


 鋼の斧が大きな盾に振り下ろされ鈍い金属音が響く。山賊が代わる代わる、立て続けに攻撃を仕掛けて来る。


 だがコスモの【情熱の踊り】によって能直値が底上げされた新兵達が、【ジェネラル】級の耐久力を見せ付け、見事に攻撃を防いでいた。


 山賊の部隊の先では戦闘が始まっているが、それに気付いていない後方の山賊達が、我先に手柄を上げようと列を乱し殺到していた。


「おらおら!どけ!俺が騎士共をやる……ん?なんだ地鳴りが聞こえて来る」


ドドドドドドドド!!


 山賊の縦に伸びきった列に向かって、森の中からレオネクス率いる【グレートナイト】30人、フィオーレ率いる【アックスナイト】30人が突如現れる。


 そして150人の山賊の列の横っ腹を、挟み込むように勢い良く突撃してくる。


「コスモ殿が上手く誘き出してくれたお陰だ!皆の者!先代達の仇を討つぞ!!」


「このむさ苦しいおっさんの匂い、大嫌いなんだよね!皆、行くよ!」


 レオネクスが太い両腕で銀の槍斧を大きく振りかぶり、勢い良く横薙ぎ入れると山賊が体をくの字にして4人がまとめて吹き飛んで行く。


 フィオーレが素早く盗賊達の列の合間に入ると、細身の剣を踊るように回転させ素早く切り付ける。切られた事に気付かない様に山賊が立ち尽くすと、体から血飛沫が上がって5人の山賊が次々と倒れて行く。


 2人が突破口を開くと士気の上がった騎士達が次々と、鋼の斧を構え突撃して行く。隊列を乱した山賊達には、この状況をどうにも出来ず、次々と薙ぎ倒されて行く。


 戦場では絶対に避けなければならない、いくつかの戦術がある。その1つが挟撃である。


 最早、人数差の意味を無くすほどに、挟撃によって山賊達は混乱を極めていた。追い込んでいたと思ったら、自分達が追い込まれていたのだ。前後左右から来る攻撃に、中には状況も分からずに倒れて行く山賊も居た。


 コスモが両部隊の攻撃を見ると時期を見計らい、前進突撃を開始する。


「よっしゃ!今まで耐えたご褒美だ!【アクスアーマー】部隊も一気に押し出せ!!」


「前進開始っ!!」


「ブヒヒーーーン!!」


 そして山賊の攻撃を耐えていたコスモ達が徐々に前進を始め、盾で押し倒した山賊達の上から次々と鋼の斧を振り下ろして行く。その様子はまるで稲刈りを行う様で、じわじわと山賊達を後方へと押し出して行った。


 自分達の劣勢に気付いた一部の山賊が、大勢を整えようと後退を始める。


「お前ら!後ろに下がれ、まだ人数では俺達が上だ、仕切り直すんだ!」


 山賊のその一言に後方にいた山賊達が、砦に向かってばらばらに散って後退する。すると後退した山賊の体に無数の矢が刺さる。


「ギャアア!!」


「グワァァ!!」


「さあ今です!【スクワイアーチャー】はどんどん矢を放つのです!」


 山賊の逃げ道の両端に【スクワイアーチャー】を15人づつ配置するとフェニーの合図で矢が斜めに交差するように次々と放たれていく。


 矢を斜めに交差させる事によって、新兵の命中率を少しでも上げ、討ち漏らしを減らしていたのだ。逃げて来た多くの山賊の体には無数の矢が刺さり倒れて行った。


 そして運良くその矢をくぐり抜けた先には、黒い鋼で作られた悪魔の斧を持ったラルガーが立ち塞がっていた。


「さあ山賊共、この俺にお前らの武勇を見せて見ろ!」


 山岳部族で随一の腕力を誇るラルガーが、悪魔の斧を大きく後方へ振りかぶり、逃げて来た山賊の頭頂部へ叩き付ける。


 ラルガーの強力な膂力と悪魔の斧の威力もあって、山賊の体を防具ごと一刀両断にする。逃げる山賊達に絶望を与えるには十分な一振だった。


 その様子を見た山賊の中には鋼の斧を捨て、戦意を喪失し投降を始める者が出始める。


 それを次々と捕縛して行くと、残った山賊達を掃討して行く。主にレオネクスとフィオーレが先頭に立って、競い合う様に山賊達を屠って行く、新兵達も2人の背中を追って取り逃した山賊に、トドメを刺して回る。


 気付けば主力同士の緒戦はフェニーの策が大嵌りして、レオネクス達に軍配が上がっていた。完勝である。


 少数で多数に勝つ事は戦略上、非常に難しい。だが条件として第1に敵の油断、第2に先頭に立つ勇将、第3に将を信頼する下の者の結束力、第4に集団が隠れられる環境、これらが揃えば可能な事である。


 この策をこちらでは【死神の誘い】と呼ばれ、フェニーの父、アルニ卿が考案した戦術の一つであった。


 そして忘れてはならないのが、ラルガー率いる山岳部族の綿密な調査である。山賊達の仕掛けていた罠は、全てが筒抜けであり、誘き出すのに丁度良いこの場所も、調査によって決められていた。


 1つ1つの積み重ねが、今回の緒戦の勝利をもたらしたと言っても過言ではない。


 辺りには山賊の屍の山に、降伏した者が残るだけであった。だがレオネクスの表情はまだ硬い、主力同士の戦いとは言えまだ緒戦なのだ。勝って兜の緒を締める気持ちで騎士達を鼓舞する。


「主力の勝負はついた!だがまだコンドラが居る、皆の者、勝利までは後もう少しだ!油断はするなよ!!」


「おおおおおおおお!!」


 ほぼ無傷で戦に勝った事によって新兵達にも自信が付き、レオネクスの言葉に応える。戦況も落ち着いた所で負傷者を、冒険者の【シスター】達が治療を始める。


 コスモが率いる【アクスアーマー】の新兵も腕に傷を負った者が居た。


「痛たたたた!」


「少しじっとしてろ、すぐに治してやる!」


 コスモがハート型の盾を新兵の怪我をした腕に当てると、淡い青い光が放たれる。すると見る見る内に、傷が塞がっていくと痛みが消える。


「す、凄い、コスモさんの盾は宝具なんですか?」


「ま、まあ、そんな所だ!他に怪我をした者は居るか!」


 負傷者の怪我をハート型の盾を掲げ、次々と治して行く。実はハート型の盾の裏に教会から拝借したヒールの杖を仕込んでいた。表立って使えばフィオーレの踊りの二の舞になるのを分かっていたからだ。


 さらに宝具と言っても通る、特徴的な形をしたハート型の盾が説得力を増していた。嫌々ながら装備していたのが功を奏した形だ。


 そして主力戦から奇跡的に逃亡した、傷だらけの山賊からコンドラへ主力戦の結果が伝えられる。その山賊も息も絶え絶えで、体中に矢の刺さった状態で息を乱し、コンドラの前に跪き報告を行う。


「はあはあ……しゅ、主力150名……ぜ、全滅です……敵は俺達を油断させて、策に嵌められました……頭領もお逃げを……ぐっ……」


 報告を終えた山賊がその場で力尽き倒れる。その報告を聞いたコンドラの表情が、赤みを帯びて行く。


「な、なぜだ!装備も経験も人数も勝っていたのになぜ負ける!!」


「と、頭領、今ならまだ逃げれます!次の機会を伺えば……」


「馬鹿野郎!ここまで来るのに10年掛ったんだぞ!今さら逃げてまた10年待つのか!こうなったらガキ共を連れて来い、例の戦法で奴らを倒すぞ……」


「は、はい!」


「後、この砦は放棄する、全員砦の後方にある森の広場まで退却だ、そこで決めてやる!」


 予想を裏切る結果にコンドラが怒りを滲ませると、狂気の目を宿し、捕虜として捕えていた子供達を牢屋から連れ出す。


 そして応援の来る見込みのない砦に籠城する意味が無いと判断し放棄すると、50人が展開できる森の広場まで退却を命じる。


 そこで先代グレンドルを討ち取った戦法で、レオネクス達に決戦を挑もうとしていた。


 負傷者の手当を終えるとレオネクスが軍を率いて山賊の砦まで進軍する。城門は開かれたままで、辺りには物資や食料などが散乱し、急いで逃げた事が窺えた。


 その様子を見たフェニーがすぐに火を起こすと狼煙を上げる。


 それを抜け道の洞穴で待機していた、ニャシムが狼煙を発見する。ニャシムはコスモから受けた恩を返す為に率先して、ラルガーの代わりに山岳部族への伝達係として来ていたのだ。


 するとすぐに族長の4人に声を掛ける。


「族長様!フェニーさんからの狼煙の合図が来ました!主力戦は勝利した模様です!」


「我らとの約束を果たしたか……後は我々の仕事だな」


「お前達、待たせたな、我らの力を見せ付ける時ぞ」


「はははは!腕が鳴るな!山賊共の首、頂くとするか」


「さあ狩りの時間だ……」


 族長4人の後ろには山岳部族の屈強な男達50人が待機していた、全員その手には黒の鋼で出来た悪魔の斧を持ち、戦闘衣装のラルガーと同じ目を隠すお面を被っていた。


 山岳部族の別動隊の任務は、徹底した山賊の残党狩りである。


 山賊達はやり過ぎたのだ。フェニーの最終目標は、このスーテイン領から山賊を1人残らず駆逐する事にあり、そこに一切の妥協は無い。だからこそ最後の詰めに山岳部族を頼ったのだ。


 砦のある地域を、隅から隅まで知っている山岳部族にとっては庭と同じで、山賊という獲物を追い込む事は容易であった。


 殺気立つ山岳部族の後ろであっけらかんとした笑顔で、山岳部族の戦士達にビトーネが手を振る。


「皆、頑張ってねー!ここは私が守っておくから」


 ビトーネの声援を受け山岳部族の精鋭50人が森へと下りて行く。コスモの役に立ちたいと考えたビトーネがこの場の守備を申し出ると、族長達も山岳部族の村まで山賊が来る事が無いと安心して、その願いを受け入れたのだ。


 そして山賊王コンドラとの因縁に決着を付ける時が刻々と近付いていた。



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