第38話 森林警備隊発足
・コスモ(女)=モウガス(男)
元騎士団の39歳のおっさん冒険者
職業は【ソードアーマー】
領主騎士団時代に負傷した右膝を治す為に飲んだ森の魔女の秘薬、万能薬の効果により39歳のおっさんモウガス(男)から見た目が20歳前後のコスモ(女)となる
上皇アインザーによって<インペリアルオブハート>の称号を得るが、それを象徴するハート型の盾と共にビキニアーマーがますます外せなくなる、ある意味呪われた装備と化していた
ジルト達が盗賊拠点を出発し一週間程経った所でようやく地方都市カルラナへ帰還を果たす。
帰りの道中ではコスモを中心とした話題が尽きず、志の高い冒険者はコスモの日課を真似たり、夜には領主ジルトが冒険者達の酒盛りに混じると、黒騎士セルシルの技能【黒家転移】を使って天幕に移動する一発芸などで盛り上がっていた。
カルラナに着くとジルト率いる中央騎士団は城壁外で野営の準備を行い、連行した逃亡兵の村の代表ナズールとバラーナを部下の【デュークナイト】達に任せると、領主のジルトはカルラナの役所と仕事斡旋所に盗賊討伐の成功を報告しに回る。
コスモや冒険者達も仕事斡旋所に向かい、現地の残留組より先に報酬を受け取ると、酒場で休む者やビキニパラダイスへ向かう者など、各々思うがままの行動を取っていた。
コスモも早速、焼け焦げたビキニアーマーを修理に出そうと仕事斡旋所を出ると、外で薔薇騎士団のシャイラが待っていた。
「コスモ殿、盗賊討伐お疲れ様でした」
「これはシャイラ殿!なぜカルラナへ居るのですか?」
「ウェイリー陛下の命で、カルラナの防衛に我々薔薇騎士団が駆り出されたのですよ」
「ああ……確かに、カルラナだけは手薄だったな……」
「それと目的が後一つありまして、盗賊拠点の奥地に村がありましたよね?その者達を陛下に代わって上皇様が沙汰を下す事になりました」
以前、ガジェインから預かったウェイリー皇帝の書状の内容だが、この事を予見していた様だ。
『やあコスモ君、早速で悪いけどお願いね、今回のロンフォード領の盗賊討伐なんだけどさ、40年以上前に行方不明になった元帝国兵の村があるみたいなんだ、その村の人達を助けてくれないかな?なんか盗賊に人質を取られて利用されてるっぽいんだ、討伐が始まったら使い捨てで先頭に立たされる筈だから、裏道なんかをうまーく使ってさ、代表者の人達を連れて来てくれないかな、よろしくね!』
皇帝らしからぬ適当な文に驚いたが、恐らく斥候部隊からの情報を聞いて予測をしていたのだろう。概ねその通りに討伐が進み、村の代表ナズールとバラーナをこの場に連行出来たのだ。
<ファンタスティックカイザー>の名に偽りは無かった。
「ジルト卿にも話を通しましたので、後で村の代表者を上皇様の下へ連れてくるでしょう、そこでコスモ殿にはいつものアレをお願いしようかと」
「ああ、魔剣ですね、分かりました上皇様の下へ向かいましょう」
シャイラが視線を魔剣ナインロータスに移すと、それを察したコスモが上皇アインザーの呪いの技能【魅了】を抑える為にシャイラと一緒にアインザーの下へと向かう。
上皇が待機する馬車は男を避ける為、カルラナから少し離れた森の中に待機していて、周りは薔薇騎士団の女騎士達が男が近付けない様に円陣を敷いて警戒をしていた。
シャイラに案内されコスモだけが馬車に乗り込むと少女アインザーが腕と足を組み晴れやかな笑顔で待ち構えていた。
「よーくやった!コスモ、お主のお陰でロンフォード領に巣食う害虫共が居なくなって余は清々しておるぞ!」
「は、お褒め頂きありがとうございます」
盗賊が討伐されかなり上機嫌になっているアインザーが、コスモを労うと跪きそれに応える。だが、コスモと2人きりになると笑顔を曇らせると、ウェイリー皇帝について文句を言い始める。
「全く、余の息子は人使いが荒すぎるのじゃ、いくら余が暇を持て余してるからと言って、代わりに沙汰を下す様に言って来るとはな……偉くなったものよ」
(そりゃ現皇帝なんだから偉いでしょうが……)
皇帝ウェイリーは貴族達の派閥争いが解消された後でも、政務に忙殺されていた。そこで使える手なら猫の手でもという事で、アインザーを派遣させていたのだ。
ただそれだけがウェイリーの真意では無いようだ。
すると辺りを警戒していた女騎士が、外からアインザーに報告を行う。
「上皇様、ジルト様が例の村の代表者を連れ到着されました」
「うむ、しばし待たせよ……ほれ、コスモいつものアレを頼む」
到着したジルト達を待たせると、アインザーが小さい背中を向けてに魔剣を当てるように指差し指示をする。コスモが魔剣ナインロータスを背中から取り出すと刀身をアインザーの背中へとゆっくり当てる。
「良いか!絶対に……」
「離しませんよ!」
「……コスモお主、ノリが悪いのう」
(謁見中に離したろか……)
いつもの面白い流れをアインザーが作ろうとするが、コスモがその流れを無視するとアインザーが不満気な表情で文句を言う。領主のジルト達を待たせて居るので余計なやり取りを控えたのだ。
そして呪いの技能【魅了】を魔剣ナインロータスの特性技能【看破】で抑えると、アインザーが外に居る女騎士にジルト達を呼ぶように命令する。
「ではジルト卿と村の代表者を連れてまいれ」
「は!」
命令を受けた女騎士が急ぎ馬車から離れると、ジルト達の下へ行き馬車へと案内する。馬車の近く扉横にはシャイラが待機し、アインザーは馬車の中でコスモと一緒に待ち構える。
女騎士がジルト達を連れてくると馬車の前で膝を付き報告を行う。案内されたジルトとナズール、バラーナも同じ様に跪く。
「お連れしました上皇様」
「うむ、ご苦労であったお主は下がっておれ」
「はは!」
案内をした女騎士が立ち上がり再び警備に戻ると、ジルトが盗賊拠点の村人代表のナズールとバラーナの紹介を行う。
「上皇様、仰せの通りに盗賊拠点の村人代表、ナズールとバラーナをお連れしました」
「む?ナズールとな?」
ジルトの紹介でナズールの名を聞いたアインザーが反応を示すと語気を強め改めて問いただす。
「もしや、毒剣のナズールか貴様!」
「は、はは!帝国から私に与えらえた二つ名にございます」
「そうか……そのバラーナと言うのは?」
「私の子でございます」
ナズールの答えを聞くとアインザーの表情がこわばる。そして頭を掻きながら困った表情で小さい声で呟く。
「全くウェイリーの奴め、この事を知って余を派遣しよったな……」
「上皇様、ナズールをご存知なのですね」
「ああ、余自らが邪神竜の眷属の蟲毒竜の討伐に向かわせたからな、よう知っておる」
40年以上前に自身が派遣した部隊にナズールが居た事を覚えていた。その後行方不明となり亡くなった者と考えられていた。だがナズールが生存しているのをウェイリーは知っていて、わざとアインザーを派遣した様なのだ。
自身の部下は自身で裁くのが望ましい。そう思ってアインザーとナズールを引き合わせた。呟き終えたアインザーが表情を厳しい顔に戻し、ナズールの罪状の確認に入って行く。
「ナズール、貴様の罪状は盗賊との共謀罪、帝国反逆罪、傷害罪、敵前逃亡……これだけでも帝国法に照らし合わせ極刑は免れぬな」
「はは!仰る通りに……上皇様一つ申し上げてもよろしいでしょうか」
「うむ、許す、申してみよ」
「我が命と引き換えに、子のバラーナと村の者達を罪に問わないで頂きたいのです!彼らは私の我が儘に付き合わせただけ!罪はありませぬ!」
「ち、父上……」
ナズールが地面に頭を擦り付けて、自身の罪以外の罪を許して貰う様に懇願する。それを馬車の窓から厳しい表情でアインザーが見つめる。
するとアインザーがコスモに目を移し、小声で確認してくる。
「あの2人、どう見ておるコスモよ」
「は、私の目には清廉潔白の御仁、もし帝国に仕えさせれば有益にな者達であると思っております」
「……ふむ」
コスモが技能【慈愛】でナズールとバラーナ心の色を読んで、純然たる心の持ち主だと掌握している。思い付く限りの精一杯の言葉で2人を賞賛すると、思案する仕草を見せるアインザーが、目を外のナズールに移すと返答する。
「ナズールよ、その願いは聞く事は出来ぬな……」
「は、ははっ!」
「なぜならば、貴様らは余の大事な臣民を盗賊共と共謀し、傷付け奪って行った、それだけでも余は許せぬのだ!本当ならばこの手で始末してやりたい程だ」
「……お、仰る通りでございます、返す言葉も御座いません」
アインザーの表情が怒りを滲ませ、語気を強く話すと平伏したままナズールがその言葉を受け入れている。アインザーは長年に渡り帝国を苦しめてきた盗賊達に加担した事が許せないでいた。
コスモもアインザーの言葉を聞いて説得しようと考えるが、アインザー自身にも国を統べる者として譲れぬ信念がある事を感じ取っていた。
「じゃが、余も鬼では無い。最後に問うぞナズールよ、貴様は帝国に対する忠誠は残っておるか?」
「はっ!帝国に捨てられるならまだしも、帝国に対する忠誠は逃亡した身ながらも40年経った今でも変わりはございません!」
「上皇様!父はこの私に幼少の時から帝国騎士としての心構え、訓練の手解きを行ってくれました!その言葉に偽りはございません」
「……2人の忠誠は良く分かった……これよりナズール貴様に沙汰を下す」
アインザーがそう言うと、馬車の扉を二度、軽く叩きシャイラに合図を送る。するとシャイラその音を聞いて平伏するナズールの前に立ち、立ち上がる様に指示する。
「ナズールよ立ちなさい、これより刑罰を執り行います」
「ははっ!」
「ち、父上!どうか……どうか上皇様、ご慈悲を……」
ナズールがシャイラの指示に従い立ち上がると、直立不動になり目を瞑り覚悟を決める。その横でバラーナが平伏したまま涙を流しアインザーに慈悲を請う。
「じ、上皇様!まさかナズールを!」
「コスモ、お主は黙って見ておれ」
シャイラの行動にコスモが焦った表情でアインザーに問い掛けるが、それを片手で遮り制する。
そしてシャイラが静かに手の平を大きく開き、右腕を大きく後ろへと振り始める。立ち上がったナズールの顔に目掛けて腕を横へと勢い良く振り抜く。
ッパアアアアアアアアン!!
辺りに破裂音が響き渡る。
ナズールが頬を叩かれよろめきながら、目を開け自身に何が起こったのかを確認する。正面には平手を振り切ったシャイラが表情を変えずに立って居た。
ナズールが頬を抑え、自身に行われた刑罰が平手の打撃だけだと分かると、アインザーの乗った馬車を見つめる。
シャイラが平手で叩き終えると静かに馬車の扉の横の位置へと戻る。
「刑罰を終えました上皇様」
「うむ刑罰の執行、ご苦労であったシャイラ」
アインザーがシャイラを労うと、ナズールが頬を抑えながら、何が起こったのか分からずに戸惑っている。するとナズールがアインザーに平手の意味を問う。
「じ、上皇様これは一体……」
「ナズールよ、貴様の罪の半分はこれで裁かれた」
「はっ?」
「残りの半分の罪じゃがな、ロンフォード領で未開の森の開拓が思ったより早く進んでいての、人手不足なのじゃ、丁度貴様の居る村が良い場所にあってな、これから訪れる開拓民達の新たな拠り所になればと思っておる」
「は、はは!」
「そこでじゃ、ナズール貴様の残りの余生を使って村を、森林都市へと発展させ帝国へ貢献せよ!それで全ての罪を水に流してやろう」
ロンフォード領の事業として未開の森の開拓が第一となっていた。コスモの助力や称号による名声の影響もあって、予定より大幅に開拓が進んでいたのだ。
その影響もあって地方都市カルラナからも開拓地までの距離が離れ始め、新たな拠点が必要となっていた。色々な理由を述べているがそれは建前であって実質の無罪放免である。
ナズールがアインザーの言葉を聞くと涙を流しながらその場に膝を付く。
「こ、こんな老骨に……勿体なきお言葉、我が身命を賭してお約束致します」
「そしてナズールの子バラーナよ、親の罪は親の罪、子の貴様にはその咎が及ばぬ、だが帝国に仕える気があるならば父ナズールの村に限らず、ロンフォード領を守る者として働く意思はあるか?」
「も、もちろんです!私が帝国に仕えるのは父の悲願でもあります!謹んで御受け致します!」
アインザーはもとよりナズール達を極刑にしようなどとは思っていなかった。逃亡兵でありながらも臣民を守っていた事は事実であり、人質を取られ仕方なく盗賊に協力しただけである事は明白であったからだ。
「シャイラよ、バラーナに余の委任状を渡すのだ」
「は!バラーナよ立ちなさい、上皇様より委任状を授けます、帝国騎士として恥じぬ活躍、期待をしています」
「はいっ!」
バラーナが立ち上がり、シャイラから委任状を受取ると体が円柱状の白い光に包まれる。しばらくすると光が消えるとバラーナの職業が変わって行く。
【ソードファイター】から【インペリアルソードマスター】と昇格する。
馬車の中でそれを嬉しそうにアインザーが眺めていると、ジルトにバラーナの仲間20人についての対応を任せる。
「ジルト卿よ、バラーナには信頼のおける仲間が居ったな?そ奴らには其方から委任状を与えよ、良いな!」
「は!上皇様、お任せ下さい。このジルトが責任を持って彼らを立派な騎士に致します」
「そうじゃな、これだけ人が増えると呼び名も欲しいのう、未開の森を守る者……森林警備隊と名付けようかの」
「良き名かと、上皇様自ら付けられた名があればバラーナ達の見る目も変わってきましょう」
「……ジルト卿、勘違いするでないぞ、余は呼びやすい名を付けただけじゃ……他意は無い」
「はい、もちろん存じ上げております」
ジルトが微笑した顔で跪いたままアインザーの言葉に頷くと、アインザーがバラーナの部隊を森林警備隊と命名し言葉を続ける。
「良いか2人共、帝国に反逆する者は余の敵だが、そうでない者は余の大事な臣民である。この言葉を忘れずに精進せよ、以上で裁きを終える」
「こ、この命尽きるまで村の発展に努めてまいります……」
「父の分まで私が帝国の為に働きましょう!」
裁きを終えるとナズールが跪いたまま顔を伏せ、バラーナも跪くと帝国に対して忠誠を誓う。上皇アインザーの寛大な処置に、ナズール親子の2人の目には涙が溢れ止まらないでいた。
ジルトが2人に掛けられた両手の縄を解くと、アインザーの居る馬車に一礼してカルラナへと戻って行く。泣き崩れるナズール親子の背中をジルトが押して立ち去る後ろ姿が印象的であった。
全員が居なくなったのを確認するとコスモが魔剣ナインロータスを離しアインザーの前に立つ。コスモの表情はとても清々しい笑顔であった。
「上皇様、見事な采配でした……」
「何、コスモ、お主の言葉で決めた事よ、それにあの2人を亡き者にする位ならば、帝国の発展に寄与させた方が得策であろう?」
「はい、仰る通りです!」
「それにあの2人、盗賊に捕まった女子供を密かに何人も逃しておったのじゃ……中には村に残る者がおる程にな、そんな者達を処刑してしまっては、その者達から末代まで祟られるじゃろうな」
その場で感情的に極刑にすれば気分は晴れるだろう、だがそれだけでは国は発展しない事をアインザーは知っていた。国は人が支えている、それを疎かにすれば国が傾くのは必然である。
だが最終決定にはナズールとバラーナによって盗賊の下から、逃げて来た者達の証言も後押しをしていた。
「まあウェイリーの奴め、こうなる事を見越して余を派遣したのだろうな、本当に人使いが上手い奴よ」
「<ファンタスティックカイザー>と呼ばれる所以ですね」
気付けば全てが必然の様に事が収まって行く、この結果に至ったのは皇帝ウェイリーの采配によるものが大きかった、人心掌握の何たるかを極限までに煮詰め学んだウェイリーの成せる技である。
するとアインザーがコスモの姿が普段と違い、外套に身を包んでいる事に気付く。
「ところでコスモ、白い外套で身を隠しておるが、いつものビキニアーマーはどうしたのじゃ?」
「ええと、邪神竜に憑依されたナズールの【黒炎吐息】で燃やされまして……」
宝具【ブラックオーブ】の首輪を装着したナズールが邪神竜に憑依され、人の身でありながら【黒炎吐息】を吐き出した事を説明すると、アインザーの表情が再び険しくなる。
「もしや、40年前に余が付けていた物と同じ物かもしれぬ……通りすがりの商人に勧められた装飾品じゃったが……あれを付けたら己の欲望が抑えきれぬのじゃ」
「ナズールの話だと盗賊の1人が無理矢理付けた物だと、証言をしていました」
「40年前から一度も報告が上がらなかった幻の宝具【ブラックオーブ】が今になって現れるとは……もしや、裏で誰かが動いてるのやもしれぬな」
40年前の【アウロポリスの変】でアインザーが豹変した原因、ブラックオーブの出現に警戒感を示す。それをナズールに使われたと言う事は、誰かが邪神竜の意志を引き継ぎ帝国に、人々に仇名そうとする事を意味していた。
「とりあえず【ブラックオーブ】について警戒はしておこう……それよりもじゃ!コスモ、お主のたわわなボデーの傷が気になるぞ、苦しゅうない、どれ傷付いた肌を余が診てやろう」
そう言うとアインザーの顔が何時もの助平顔になって行く、先程の威厳ある表情が全く無くなってしまう。コスモが呆れた顔でそれを見るとシャイラに声を掛ける。
「シャイラ殿、上皇様はまだお仕置きが足らぬようですぞ!」
「それはいけませんね!そうですね……カルラナの町でも繰り出しますか」
シャイラが馬車の御者の女騎士に声を掛けると、馬車がゆっくりと動き出す。すると馬車の中に居るアインザーの表情が青ざめる。
「た、戯れじゃコスモ!というか、お主ら上皇である余の扱いが雑になって来ておらぬか!」
「上皇様、馬車の扉の鍵を閉め忘れませぬように……」
シャイラがそう忠告するとアインザーが急いで馬車の扉の内鍵を閉めた瞬間、白目を剥いた村人の男が勢い良く馬車の窓に顔を張り付ける。アインザーの呪いの技能【魅了】が発動し欲情をした男達が迫ってくる。
「ほんぎゃあああああ!」
「いやー上皇様の技能は恐ろしいですなー」
アインザーが男の顔に驚き、尻餅をつくと縋る様にコスモの足元に抱き着く。
「よ、余が悪かったからはよう魔剣を付けるのだコスモ!」
「本当に反省していますか?上皇様!」
「しておるしておる!天より高くしておる!」
「ほんとにー?」
「あーもう!こんな時にだけノリを良くするでないコスモ!!」
アインザーの馬車の周りを欲情したカルラナ中の男達に囲まれ、まるで徘徊する死者に囲われた中を脱出する様相になって行く。
かくしてナズールとバラーナの処罰を終え、ロンフォード領に束の間の平和が訪れた。その後はナズール、バラーナ親子の活躍もあり未開の森の開拓が順調に進んで行った。
逃亡兵が造った未開の森奥地の村が、森林都市として少しづつではあるが発展して行き、誰もが逃亡兵の村であった事を忘れて行った。




