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元騎士団のおっさん伝説のピンクビキニアーマーになる ~魅力を添えて~  作者: トリミング中の噛み犬


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第24話 本来の技能と適性

・コスモ(女)=モウガス(男)


元騎士団の39歳のおっさん冒険者

職業は【ソードアーマー】


 領主騎士団時代に負傷した右膝を治す為に飲んだ森の魔女の秘薬、万能薬の効果により39歳のおっさんモウガス(男)から見た目が20歳前後のコスモ(女)となる

 上皇アインザーによって<インペリアルオブハート>の称号を得るが、それを象徴するハート型の盾と共にビキニアーマーがますます外せなくなる、ある意味呪われた装備と化していた


諸事情によりモウガスの姪という事になる

 最新の鑑定水晶でコスモの技能を確認した後、仕事斡旋所の登録部屋でユユが立ち尽くしたまま独り言を続ける。


「有り得ない……こんな数……もし本当なら……」


 傍から見てもユユの動揺が酷いので、逆に当事者のコスモの方が落ち着いてしまう位だ。


 このままでは埒が明かないと思ったコスモが一旦登録部屋を出て、併設された酒場からコップ1杯の水を貰うと、それを持って登録部屋に戻って行く。


 そして登録部屋の扉をゆっくりと閉めて、ユユに水の入ったコップを手渡す。


「ユユ、水を持って来たから少し落ち着いてくれ」


「……ああ、すまないね……んぐんぐ」


 ユユが水を受取ると一気に飲み干す、余程動揺していたのだろう。水を飲み干すと落ち着いたのか表情が少し和らいで行く。空のコップを立ち机の上に置くとコスモに顔を向ける。


「ふうー……恥ずかしい所をお見せしたね、コスモくん」


「いやいいんだ、それよりもユユの見立てだと俺の技能はどうなんだ?」


 そう聞かれるとユユがコスモに背を向けて、頭の中で言葉の整理を行う。そこから左右に歩きながら、伝える言葉がまとまったのか立ち止まると、真剣な表情でコスモに向かって腕と指を大きく突き出す。


「分かりやすく説明するとだ……コスモくんの技能はおかしい!」


「まんまじゃねーーーーか!!」


 コスモ自身もおかしいと思っているから聞いているのに、答えがおかしいと返ってくる。知性の欠片も無い答えにコスモが突っ込みを入れてしまう。


 コスモが段々とユユに対して技能研究部門の人間なのか疑わしく感じ始める。その視線に気付いたのか、ユユが咳で誤魔化しながら言葉を続ける。


「コホン、子供並の感想を言ってしまったみたいだね、失敬!」


「頼むぜ、ユユ、俺も未知の技能があるのは怖いんだ」


 技能を自身が把握する事は、己の力と可能性を知る事であり、知らぬままだとその力が暴発、暴走し他者を傷付ける場合がある。


「コスモくん、君の技能だが、一般的な技能は全部持っているぞ!」


「ぜ、全部?」


「だが、心身に負荷のかかる技能は無い様だね、不思議な事に、狙ったかの様に綺麗に除外されているよ」


 誰でも修練や、環境によって芽生える技能を一般技能と呼ぶ【怒り】、【追討】、【信心】、【鉄人】などが該当する。


 他には継承、伝授など特殊な条件で芽生える技能を特殊技能と呼び、セリオスの【天光剣】がそれに該当する。


 心身に負荷のある技能とは上皇アインザーの様な【魅了】などであり、本人の意思とは無関係に発動して他者や自身に害を為す技能を言う。俗に言う呪いに該当する。


 コスモには思い当たる節があった。万能薬を作成したのは森の魔女のアンナで、そしてアインザーに呪いをかけたのもアンナなのだ。偶然にしては出来過ぎている。


 技能【魅了】を付与する事が出来るのなら、外す事も出来る筈なのだ。だが技能を後付けに出来る者は人の領域を外れているとも言っても良い。


「コスモくんには、滅多に見られない貴重な技能がいくつかあるから説明しよう」


「ああ、頼むよ」


 ユユが記録した技能を読み上げ、その効果を丁寧に説明してくれた。


 【妖馬の脚】……上級技能【神速】の発展系、馬の最高速度を超えて持続的に走る事が可能、戦闘向きでは無く、移動に特化した技能。


 【乙女の怒り】……技能【怒り】の発展系、女性専用で攻撃時に100%の確率で必殺の一撃が繰り出される、威力は通常の2倍、想い人を傷付けられる、もしくは裏切られる事で最大10倍になる。


 【不殺】……自分の意志で発動される特殊技能、どのような攻撃をしても相手の体力を必ず1残す。ただし体力1でも攻撃した体力分の痛みは相手に伝わる。


 【自己修復】……技能【生存】の発展系、毎時、最大体力の半分を回復して行く。


 【羅刹】……特殊発動型の技能、自身が外道と判断した相手に対して、瞬間移動速度が3倍になる。発動すると全身に静かなる怒り、青い炎の陽炎が出現する。


 主だった技能を説明を終えると、ユユが話を続ける。


「コスモくんが心配する様な暴発、暴走する技能は無い、安心してくれたまへ」


「そりゃ良かった……けど、いまいち凄さって言うのが実感できねえな」


 意識の段階で他人と比較することを気にしていないコスモが、己の力量を測り損ねていた。モウガスの頃から黙々と課された鍛錬を積み、愚直に任務を遂行する性格であったのも関係していた。


 そして今までの相手は、ほとんど一撃で倒してしまっているのもその要因であった。


「君の戦力を表現するならば、そうだね、邪神竜デモゴルゴ級と言った所かな、自身はあらゆる技能を持ちつつも、相手の技能を無効にする【看破】を持っていたと文献には書いてある」


「じ、邪神竜デモゴルゴと同じかよ……」


「これは冗談では無いが、神器の竜特効が無効な人間であるコスモくんが、その気になればバンディカ帝国を単騎で落とす事も可能だろうね」


 さらりと恐ろしい事を言うユユだが、コスモの力量を分からせる為に敢えて壮大な表現を使い説明する。だが本当はコスモの人間性、忠誠心を試していた。


 コスモの持つ魔剣ナインロータスの特性に技能【看破】が備わっている。ユユの言う通り邪神竜を人の体に詰め込んだ者がコスモと言っても過言ではない。


 ちなみに技能【看破】は特殊技能なので一般技能には含まれていない。


 コスモの反応を真剣な眼差しでユユが見つめていた。だがコスモから出て来た言葉は、ユユも想像していない言葉であった。


「そんな事考えもしねえよ、それよか毎回、必殺の一撃が決まるもんだから面白くて、技能だって全然気付かなかったぜ、だが……乙女の怒りって名前は勘弁してもらいてえな、いつも怒ってるみたいで落ち着かねえよ」


「ふむ……あのエロクソガキが言ってた事はあながち間違っていない様だ」


 帝国を崩壊させるよりも乙女の怒りという表現が気になるコスモに、ユユが事前にアインザーから聞いていたコスモの人間性について十分に理解を示す。


 そのコスモが次に気になったのはモウガスの頃からあった技能【慈愛】についてだった。


「あ、あのよ、【慈愛】は一体どういう効果があるんだ?」


「ああ、それについては、残念ながら解明はされていない、だが私の推測で良ければ話そうか?」


「是非頼む!」


 慈愛の効果については技能一覧をまとめた書物にも内容の記載が無かった。そしてコスモ自身も曖昧にしか把握しておらず、本当の効果を知りたがっていた。


「【慈愛】それは心の痛みを知る者、足らぬ者に与える者と言われている、人に触れる事によってその者の心が見える様だが、そこが重要でない」


「……」


「人の心に足りない物、本来であれば誰しも心に持っている物、それを呼び起こし、補い、心に強く訴える役目の技能だと私は考えている、分類するならば心の補助系の技能だろうね」


「そうか……」


「その技能は、きっと皆に必要とされる筈だ、貧すれば鈍する、この時代には多すぎるんだ、悲しい事だね……」


 ユユの慈愛に対する考察を聞いたコスモが少しだけ、慈愛について理解出来た気がする。


 アインザーの言っていた人との戦いの時代、各地での復興はまだ完全に終わっては居ない。生活の苦しい人達に、つけこむ盗賊達が跋扈している時代だ。


 技能【慈愛】がそんな人達の助けになればと思っている。


「結局、曖昧な説明になってしまったが、これで技能の話は終わりだ、次に適性について鑑定をしたいのだが、良いかな?」


「ああ、ついでだ、よろしく頼む」


 ユユが鑑定用の台座の水晶を外すと、黄色の水晶を鞄から取り出し入れ替える。その作業が終わると、適性の説明を始める。


「これは適性のある武具が何かを表す水晶だ、代表的な物だと剣、槍、斧、弓、書、の5つ、これは英雄の神器にあやかって五大適性と呼んでいる」


「という事はそれ以外にも適性もあるのか?」


「ああ、もちろんだ、これ以外だと杖と格闘が代表的だが、格闘は武器を無くした者の最終手段になるので、あまり意味をなさない、その前に倒れる事が多いからね」


 五大適性の説明を受けて、それ以外にも適性がある事を知ったが、さらに気になる事が一つあった。


「横やりを入れる様でなんだが、なぜ適性鑑定は登録時に行わないんだ?」


「コスモくん、良い質問だ。顔は綺麗だが馬鹿では無い様だね、これについては理由がある」


(顔について褒められると嬉しいな……)


 コスモが若干小馬鹿にされたのにも気付かずに喜ぶ。


 コスモは冒険者の登録時に適性のある武具を示せば、冒険者の助けになると考えていた。実はそこには落とし穴があり、必ずしも助けになる事にはならなかった。


「まず適性は最低でDから始まり、C、B、Aと続き最高でSとなる、もしSならばすぐにでも、その武具を扱う事は可能だ、だがA以下となると話が変わるんだ」


「Aなら全然問題無さそうな気がするが……」


「人の体の作りはそう簡単に出来てはいない、扱うのに時を要するんだ、大事なのは往復鍛錬、これを行えばAであれば半年程で習得する事は可能だろうね」


「じゃあすぐに扱うにはSにしか成し得ないのか……」


「そもそもS持ちは英雄級の能力値の者が多い、万が一能力値が低い者がSだとしても宝の持ち腐れとなる、だから鑑定は行わないんだ」


 扱う適性があっても、それに伴った能力値が無いと意味をなさない。魔力が1なのに杖や書の適性がSともなれば拷問に近い気持ちにもなる。


 厳しい現実だが、妥当な判断とも言える。


 ならば扱い慣れている武具の方が慎重にもなるし、身の丈に合った依頼を受ける事が出来て、生存率も上がって行く。


「説明が終わった所で、早速だけど台座に手を載せてくれたまへ」


「ああ、分かった」


 コスモが手の平を台座に置くと黄色い水晶が輝き、投影用の壁に貼り付けた白い布に適性が表示されていく。


剣:S

槍:S

斧:S

弓:S

書:S

杖:S

格闘:S


「んー……ん”ん”ん”!?」


 なんとなくだが予想はしていた筈なのに、どうしてもユユの体が反応してしまう。表示されたコスモの武具適性を見て再び唸る。


 だが、先ほどの技能の鑑定で慣れたのか思ったより早く立ち直る。


「……コ、コスモくん、いいかい?ふざけてでも剣以外の武具を人前で使ったら駄目だよ、恐らくその武具を存在証明とする人が激怒するか、引退する羽目になるからね」


「うっ!……心当たりがある」


 冒険者のシノが【速さ】について強い拘りを見せ、猛烈に怒っていた事を思い出す。だが、重傷だった新人冒険者のトーマスにヒールの杖が使えた謎もこれで解明した。


「困ったものだな、コスモくんは、邪神竜が神器を全部抱えてる様なものだぞ」


「子供が思い付きそうな話だな……」


「全く、規格外とは聞いていたが、この報告を信じる者など陛下を除いていないだろうね」


 さすがのユユもコスモの技能に続き、適性が全てS評価な事に呆れている。これも全て森の魔女アンナが作った万能薬の影響だろう。


「さて、私の仕事は全て終わった、コスモくんもご苦労だった」


「礼を言うのはこっちだよ、改めて自分の強さに気付かされたな、だけど俺はやるべき事に、信じた事にこの力を使って行くよ!」


「悔しいけどエロマセセクハラクソガキの言う通りの子だね、ウェイリー陛下には今日の事を漏れなく報告させて貰うよ」


(最後までブレないなよな、この人……)


 辛辣な言葉で締めくくるとコスモの技能鑑定と適性鑑定を終える。台座に置いた黄色い水晶を鞄に戻し、登録部屋からコスモとユユが一緒に出ると酒場の方から声が掛かる。


「おーい!コスモ、帝国のドラゴンライダーさんが面白い話ししてるから、こっちにおいでよ!」


 登録部屋に入ってから、かなりの時間が経ったのか酒場は冒険者達で一杯であった。


 セリオスがシノ達と共に、ユユを送り届けたドラゴンライダーの帝国騎士と楽しく酒を飲んでいる。帝国騎士も久しぶりの出張なのか見た目とは裏腹にかなり酔っていた。その様子を見たユユがコスモに酒場へと向かう様に促す。


「コスモくん、行きたまへ、私はウドガーくんに挨拶したら一足先に宿に戻るとするよ」


「ああ、ユユありがとうよ、なんかモヤっとしてたのがスッキリしたぜ」


「そう言われるとカルラナまで来た甲斐があったというものだ」


 コスモが感謝を述べると、ユユが顔を柔らかくして笑顔で答える。


 そしてユユと別れるとセリオス達の下へ向かい、酒盛りが始まる。帝国騎士も初めて会うコスモの格好に驚き、緊張した様子で帝国軍式の挨拶を交わすがすぐに、酒盛りへと戻って行く。


 いつもの様に騒がしいままに夜が更けて行った。





 翌朝、日が昇ると共に、コスモが出発するユユを見送る為に宿から一緒に城壁の外まで歩いて行く。流石に町中で飛竜で飛び立つと、町人にも迷惑が掛かる。それで飛竜を外で待機させているのだ。


 カルラナの玄関門まで来るとユユがコスモに別れの言葉を告げる。


「それじゃあコスモくん、お別れだね」


「ああ、ユユも気を付けて帰ってくれよ」


「君なら心配は要らないと思うけど、過剰な力は人々が忌諱する傾向にある。それによって道を誤る者も多いんだ、本当に大事なのは力じゃない、心の持ちようなんだ、それを忘れないで欲しい」


「俺には過ぎた力だが、これで皆の役に立てりゃそれで充分だ。道を誤った奴らもまとめて止めて見せるさ!」


「フフフ、君なら本当にやってのけそうだね。また会おうコスモくん!」


 外で待機していた帝国騎士の騎乗するドラゴンライダーにユユが乗り込むと、帝国の首都、城塞都市アウロポリスに向けて飛び立って行く。


 それを手を振りながら見送るコスモだが少し心配をしていた。なぜなら帝国騎士の顔が真っ青だったからだ。


 地方都市カルラナの上空。帝国騎士が騎乗する飛竜がやたらと蛇行していた。それを心配したユユが騎士に声を掛ける。


「お、おい……妙にフラフラしながら飛んでいるが大丈夫か?」


「は、はい……ウップ……だ、大丈夫だ、です」


「君、ちょっと昨日お酒を飲み過ぎたのではないか?」


「こ、降下しますーーーー!ウオオオオオオオエ!!」


「わーーーーーー!」


 酔いながらの手綱使いに優秀な飛竜が合わせて行き、とんでもない蛇行をしながら飛行している帝国騎士。それと二日酔いが重なり一気に胃の物が込み上げ、上空に撒き散らす。


 カルラナに向かった時のユユと逆の状況になっていた。だが長い帰り道だ、ユユも段々と飛竜酔いが酷くなっていき、再び下降と上昇を繰り返し、2人共にフラフラになりながら帰還していく。


 結局、帰りも予定していた時刻を過ぎてアウロポリスへと到着する。その事を上官に怒られてしまう帝国騎士の男だが、それを見て飛竜酔いした罪悪感があったのか、ユユの助け船でどうにか許して貰えた。


 帝国騎士の男に感謝されるとユユがその足でウェイリー皇帝の下へとコスモの報告に向かって行った。その報告を聞いたウェイリーは今までに無い程に上機嫌であった。


「カルラナの英雄コスモ、能力値、技能、適性は最高を誇り、忠誠心の高さも比類なき無二の者、必ず帝国にとって有益となる人物なり。」

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