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元騎士団のおっさん伝説のピンクビキニアーマーになる ~魅力を添えて~  作者: トリミング中の噛み犬


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第23話 帝国からの訪問者

・コスモ(女)=モウガス(男)


元騎士団の39歳のおっさん冒険者

職業は【ソードアーマー】


 領主騎士団時代に負傷した右膝を治す為に飲んだ森の魔女の秘薬、万能薬の効果により39歳のおっさんモウガス(男)から見た目が20歳前後のコスモ(女)となる

 上皇アインザーによって<インペリアルオブハート>の称号を得るが、それを象徴するハート型の盾と共にビキニアーマーがますます外せなくなる、ある意味呪われた装備と化していた


諸事情によりモウガスの姪という事になる




 ロンフォード領、中央都市アプリニアから離れた上空に一騎の【インペリアルドラゴンライダー】が飛行していた。


 騎乗する男は帝国騎士の標準色の黒の鎧に身を包んでいる。飛竜用の鐙に乗り、手綱を握り、飛竜を上手く乗りこなしている。


 その騎士の背中にべったりとしがみ付く1人の女が居た。


「……馬より……ずっと早ーーーーいな……うっぷ!」


「あの!ユユ様!吐きそうでしたら降りますからね!早く言って下さいよ!」


「だ、だいじょ……ウオオエ!」


「こりゃ駄目だ!降下します!!」


 上空で騒がしくしているユユという名の女、上皇アインザーの命により帝国首都アウロポリスから地方都市カルラナへ出張中なのだが、飛竜酔いが酷く、幾度となく地上に降りては上昇を繰り返していた。


 命令とは言え愛騎を汚したくない騎士は、ほとほと困り果てていた。





 一方、地方都市カルラナへの凱旋から一週間程経った頃、コスモの名が大陸中に知れ渡った事により、他の領地から観光に訪れる者が増えて行った。


 目的はもちろん、<インペリアルオブハート>の称号を持つコスモ本人である。


 多くの観光客に対応する為、カルラナでは宿を増築する大工の職人が忙しそうに町中を駆け回っていた。土産物屋も作られ売り物にはコスモ人形と言った、ピンクのビキニアーマーを模した物が人気となっている。


 また鍛冶屋【覇者の剣】以外の鍛冶屋も桃色のライオネルシリーズの装備を取り扱いを始め、そちらも人気が出ていた。もちろん防具としての機能では無くあちらの方の意味でだ。


 観光客が増えた影響で冒険者達も依頼が一気に増える。特にオルーガ達の傭兵団が担当していた巡回警護が大忙しである。そこでセリオスもコスモとの依頼を一旦止め、オルーガ達を手伝う事にした。


 まさにコスモ特需としてカルラナは今までに無い賑わいを見せていた。


 こんな状況もあって仕事を求めて他の領地の仕事斡旋所から、移ってくる者も多く受付嬢のサラ達も大忙しだ。


 だが良い事ばかりでは無く、困った事も増えていった。それはコスモだけにしか出来ない特別な依頼をこなしていた時に良く起こっていた。


「コスモ様、ありがとうございました!」


「いいよ、こんくらい、その子が大きくなったらまた来てくれよな」


 コスモが抱えた赤ん坊を返すと、お辞儀をして去っていく観光客の母親。その後ろにはコスモと会う為に集まった観光客で行列が出来ていた。


 地方都市カルラナの中央には用水を利用した水上公園があり、大人数がくつろぎ和める様な作りになっていた。そこに仕事斡旋所の所長ウドガーが指示を出して、他の冒険者達に影響が出ない様にコスモの握手会場を設けて隔離したのだ。


 以前はコスモを目当てに勝手に仕事斡旋所の中に観光客が入って来て、業務に支障が出ていたのだ。その為の対策でもあった。


 次々と入れ代わり立ち代わりで来る観光客の相手をコスモが続けていた。


「ああー本物のコスモ様ってほんっとーに綺麗!それで強いんだから反則よ!」


「ありがとよ、貴女も凄く綺麗だ!」


「きゃー嬉しい!」


 観光客の若い女が握手をしながら喜んで飛び上がる。コスモも応対に慣れたのか笑顔で依頼を行っている。と言うのもコスモ目当ての観光客があまりにも多いので、カルラナの市長の要望でコスモを観光大使(客寄せ)として依頼を出していたのだ。


 仕事斡旋所の所長ウドガーとカルラナの市長の利害が一致したのも、コスモにとっては助かっていた。いくらコスモでも無給での生活は厳しいからだ。


 そしてコスモを目当ての観光客は男が多いと思いきや、意外にも男と女が半々位に並んでいる。強い女はどうやら両方からも好かれる様だ。


「おらー!どけどけ!怪我をしたくねー奴はどけ!」


 遠くから重装な鎧を身に着けた、コスモより大きい巨体の大男が観光客の列に割り込んでくる。ドシドシと足音を立て、コスモの前にやってくる。


「俺はバガン!レベル42の【ランスアーマー】だ、<インペリアルオブハート>のコスモ!俺と勝負しろ!」


「まったく、飽きもせずに良く来るな」


 困った事とは、こういう者達が訪れて来るという事だ。


 有名になったコスモを倒して名を上げようとする無名の冒険者が、連日の様に訪れて来た。武で名を上げた者の宿命とも言える。


「ここじゃあ、周りに迷惑が掛かる、あっちの闘技場でやろうか」


「話が早くて助かるぜ、望むところだ!」


 この水上公園のすぐ横には闘技場があり、そこへコスモがバガンを案内する。


 闘技場と言っても簡易的な柵に囲まれた砂場で、四方が15歩程の広さ、周りからは良く見える様になっている。並んでいた観光客が一斉に闘技場を囲み始める。


 そしてこの戦いこそがカルラナの観光名物となりつつあった。


 歓声の中、闘技場の中央にコスモとバガンが向き合うと、最後の確認をする。


「いいか?参ったをすれば終わる、覚えておけよ」


「それはこちらの台詞だ、いくぞ!」


 バガンは全身を重装な鎧に身を固め、右手に穂先が黄色の槍、左手には大盾を装備している。コスモは右手に魔剣ナインロータス、左手にハート型の盾を構える。


 バガンが槍を素早くコスモに向けて突き出すが、それをコスモが左に避ける。その突き出した槍を素早く引くと、段々と突きの速度が上がって行く。


「はははは!槍技、五月雨突(ラッシュランス)!これはかわせまい!!」


 バガンから突き出された槍の切先が無数に見えて来るが、コスモは盾で受ける事無く、足を使い体を逸らしてかわして行く。


 体の大きいコスモが蝶の様に、無駄のない最小の動きで突きをかわす状況に、観戦客から声が上がる。


「すげえぞ!まるで踊ってるみたいに、かわしている!」


「これが、帝国の……<インペリアルオブハート>の実力か!」


 盛り上がる観戦客をよそに、コスモが槍の突きをかわしながら、バガンに距離を詰めていく。


「あ、当たらないだと!」


 そしてコスモが一気に距離を詰めると、ハート型の盾でバガンの体を目がけて押し出す。それをバガンが大盾で防ぐ。


ガイイイイイン!


 盾同士がぶつかる鈍い金属音と共に、バガンの巨体が少しだけ宙に浮き、後方に下がるが上手く着地して再び構える。


「どうだ?参ったするか?」


「まだまだ!これでも食らえ!」


 コスモが戦闘の継続の意思を確認すると拒否をする様に、バガンが黄色の槍の穂先をこちらに向けてくる。


「この槍は魔法槍のサンダーランス!魔法こそがアーマーの最大の弱点だ!!」


 次の瞬間、黄色の槍の切先が黄色に輝き、そこから電撃音と共に稲妻が発せられ、コスモに向かって行く。


 空気を裂く様に迫り来る稲妻。


 だがコスモに当たる寸前で、ハート型の盾で払う様に叩き落とす。


コンッ!ジュッ!


 叩き落された稲妻が地面に力なく吸収されて行く。それを唖然とした顔で見つめるバガン。


「え……?」


「それが最後っ屁みたいだな」


 コスモがバガンにそう言い放つと、バガンへ向かって歩みを進める。ちなみにコスモの【魔防】は50以上だ、並の魔法は通さない。


(まだだ!俺の技能は防御に特化している、ここをしのげば……機会はある)


 バガンの技能【鉄人】は、自分の【守備】を10上げる効果がある。


 コスモがバガンに距離を詰め、魔剣ナインロータスを上段に振り上げると、バガンが左手の大盾を前面に構え、腰を落として攻撃に耐える姿勢を取る。


 それに構わずコスモが一気に上段から魔剣ナインロータスが振り下ろす。


ガンッ!ズゴゴゴゴゴゴ!!


 必殺の一撃音が鳴ると、バガンの大盾が縦一線に折れ曲がり、その巨体が闘技場の柵を突き破り、場外へと飛ばされる。


「ば、馬鹿な……お、俺の【守備】を上回る……威力だと」


「どうだバガン、まだやるか?」


 魔剣ナインロータスの特性により、技能が無効にされている事に気付いていないバガンに再度、戦闘の継続の意思があるか確認する。左手に持った大盾が酷く曲がっている、それを見てバガンが力量差を感じ取る。


「い、いや……参った、降参する」


 バガンが降参の言葉を発した瞬間に、観戦客から耳が割れる様な歓声があがる。


「ワアアアアアア!」


 歓声が響き渡る中でコスモが魔剣と盾を背中に背負うと倒れているバガンに手を差し伸べる。


「バガン、面白い勝負だったぜ」


「あ、ああ……」


 コスモが笑顔でそう言うと、差し出された手を掴みバガンが立ち上がる。するとコスモが観戦客の前でバガンの掴んだ腕を上げて観衆に応える。


 一方的な勝負であったが、相手に敬意を払う事で恨みを買わない様にしていた。中には負けた事で逆恨みし場所や手段を選ばずに襲って来る者も居る。


 そう言った者はオルーガやセリオスによって、影ながら袋叩きにされ町から追放されていたのだ。


 その正々堂々としたコスモの行動に、しばらくの間、歓声が止む事は無かった。


 この様な挑戦者がコスモの前に現れては闘技場で戦う日々を送っていた。その日も観光客相手の依頼を終えて仕事斡旋所に戻って行った。





夕暮れ時。


 コスモが依頼を終えて仕事斡旋所に戻ると受付窓口で、受付嬢のシグネに今日の依頼報告を行う。


「コスモさん1日お疲れ様でした、あれから大変ですね」


「仕方ないさ、帝国の象徴の仕事を受けちまったからな」


 ひっきりなしに来る観光客相手に、休む暇もないコスモにシグネが気遣う。するとコスモの帰りを待っていたのか、併設された酒場の席からセリオスが声を掛ける。


「お帰りコスモ、今日も水上公園が盛り上がってたね」


「ああ、セリオス、あの手合いが多くて本当に困ったもんだ」


 セリオスも依頼でオルーガ達と共に町中の巡回警護を行っていた。その途中でコスモの決闘を見ていたようだ。セリオスも今ではすっかり冒険者として馴染み、ラガーを飲みながらくつろいでいる。


 そんな他愛の無い話しをしていると、登録部屋から所長のウドガーが現れ、コスモに声を掛ける。


「コスモ、依頼を終えた所ですまないがこちらに来てくれ、会わせたい人が居る」


「会わせたい人?」


 ウドガーの突然の申し出に困惑する。見た感じ登録部屋から出て来たので観光客が相手では無さそうだ。シグネに依頼報酬は後で受け取ると伝え、セリオスに手合図を送り別れると所長のウドガーの下へ向かい登録部屋の中へ入って行く。


 中に入ると窓1つなく、扉も1つだけ、部屋の中央に鑑定用の台座が1つあるだけの、いつもの殺風景な部屋だ。


 ただ違う所と言えば、1人の小柄な女が台座の水晶を触っているくらいだ。所長のウドガーが女の横へ行きコスモを連れて来た事を伝えた後に、コスモに向かって女の紹介を始める。


「コスモ、こちらの方はバンディカ帝国、技術研究部門の【スキルドクター】ユユ君だ」


「……君がコスモくんか!私はユユと言う、よろしく」


「ああ、よろしくな!」


 雰囲気が暗めのユユが静かな声で、コスモに挨拶をする。


 髪は金色、頭の後ろに二本の太巻きの様に髪を纏め、ぼさぼさとしている。太い眉毛に、大きい瞳に丸眼鏡、頬にはそばかすがあり純朴そうな顔に、背丈は低く、服装は上下は帝国女性職員用の黒を基調とした制服に、上から白い白衣を羽織っている。


「で、ユユは俺に何の用なんだ?」


「君も良く知るエロマセセクハラクソガキに言われて、クソ忙しいのに、コスモくんの技能を調べてくれと依頼があって、飛竜に乗って訪ねてきたんだ……」


(うっわあ、この子、顔の印象と違って凄い辛辣だあ……)


 以前ロンフォード城の屋敷で上皇のアインザーから、帝国から使いを出すと予告されていたが、それがユユであった。上皇アインザーからの信頼も篤い人物なのだろう、だがそれだけが理由では無かった。


「特にあのクソガキ以外にもウェイリー陛下もコスモくんの力に興味を示していてな、この私が派遣されたという訳さ」


「ウェイリー陛下が?」


 能力ある者を集め、先代を超える統治を行っている帝国の現皇帝だ。その皇帝がコスモに興味を示すのは自然な事であった。その為、技術研究部門でも優秀なユユに白羽の矢が立った。


 研究職らしく興味のある物以外には食指を動かさないユユが矢継ぎ早に話しを進める。


「私は無駄な事が嫌いでね、コスモくん早速で悪いのだけど台座に手を載せてくれたまへ……おっと、その前にウドガーくんは退出を、帝国の機密となるのでね」


「はい、では何かありましたら一声お掛け下さい」


 ユユに退出を促されウドガーが登録部屋から出て行く。出て行くのを確認すると、コスモが台座の手型の窪みに手を置く。


「だけどユユ、前にも鑑定したけど文字が上手く表示されなかったんだが、大丈夫か?」


「ああ、何も問題は無い」


 台座の水晶が輝き出すと、以前と同じく技能の文字が浮かんで来る。


「ふむふむ、【慈愛】と【魅力】……特に【慈愛】は私の記憶では過去に1人だけ居たな、珍しい技能だ」


 技術研究部門と言うだけあってユユが慈愛の名については知っていたが、詳細についてはまだ研究中の様子だった。


 そして以前はここで技能の表示が終わり、この2つだけがコスモの技能となっていた。いつもと変わらないのかと、コスモが落胆するとユユが自信を持って説明する。


「今回の鑑定の水晶は我が研究部門の最新の水晶でな、技能を同時に表示するのでは無く、個別にも表示できる機能があるのだよ」


 前は慈愛と魅力の文字が大きく表示され欄を埋めていた。その下に文字の様なモノがあったが結局読めずに諦めていたのだ。


 ユユが水晶の説明を終えると、投影用の白い布に注目する。


【羅刹】……【乙女の怒り】……【不殺】……【妖馬の脚】……【自己修復】……


 次々と表示されるコスモの技能をユユが洋紙に記録して行く。コスモは多く表示される技能に驚き、信じられない様子だった。


「嘘だろ……俺に技能がこんなにあったなんて……」


「いや、君の情報から言って、これは想定内だよコスモくん、帝国の精鋭でもこんなには多くないがね」


 ユユが淡々と記録しながら、コスモに声を掛ける。その後も文字が次々と表示されて行くのだが、鑑定が一向に終わる気配がない。


「んー……ん”ん”ん”!?」


 平静を保っていたユユの額に汗が滲み出て来ると、次第に体が震え始めていた。それから10分程経つと、ようやく鑑定水晶の輝きが収まり鑑定を終了する。


 終わってからも2人の間に無言の時が続く。それに耐え切れなくなったコスモがユユに声を掛ける。


「あ、あのユユ、俺の技能ってどうなんだ……」


「……まままあ、そ、そそそ想定通りだね、ふふふ普通だよ、普通」


(目が泳いでるんだが、絶対これおかしいよな……)


 自分の技能の異常な多さに疑念を抱く。動揺しているユユに結果を確認する為、落ち着くまで少しだけ待つ事にした。


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