第18話 ロンフォード領の騒乱2
・コスモ(女)=モウガス(男)
元騎士団の39歳のおっさん冒険者
職業は【ソードアーマー】
領主騎士団時代に負傷した右膝を治す為に飲んだ森の魔女の秘薬、万能薬の効果により39歳のおっさんモウガス(男)から見た目が20歳前後のコスモ(女)となる
本人は嫌々ながらも着る服が無いので、ピンク色で統一されたビキニアーマーにハート型の大盾、魔剣ナインロータスを仕方なく装備する事になる
諸事情によりモウガスの姪という事になる
「お頭……こいつ噂の女かもしれませんぜ」
「噂だあ?」
コスモの強烈な一撃を見た盗賊達が、一定の間合いを取り囲う様に警戒をする。その中でコスモの噂を思い出した盗賊がマデジに囁く。
「地方都市カルラナで、巨大赤猪、灰色熊、を単独で討伐、必ずその骸を持って帰る豪傑のピンクの恥ずかしい格好をした女冒険者が居ると……」
「た、確かにその噂とあの女の格好が一致するな」
未開の森の盗賊にまで噂が広まり、桃色の恥ずかしい格好の女として有名になったコスモであるがその評判は本人が望むものではなかった。それを知らないコスモは攻撃して来ない盗賊に痺れを切らし挑発する。
「さっきの勢いはどうした?女1人相手に日和ったのか?」
「……」
盗賊達も未開の森を拠点として生活している、魔獣などの遭遇も多く、野生で鍛え上げられた生存本能が働いていた。甘い攻撃をすれば先ほどの3人と同じ目に遭う事を本能で理解していた。
ただ指を加えて待つほど、彼らも馬鹿ではない。
「弓隊!遠くからこの変態女を貫いてやれ!」
「だ、誰が変態だ!コラッ!!」
10名で編成された弓隊【バンディットハンター】が、間合いの外からコスモを包囲すると、鉄の弓に矢を添えると握り締め狙いを定める。
「撃てーーー!!」
マデジが合図を送ると一斉に矢が放たれる。10本の矢が鋭い速度でコスモに迫って行く。だが狙われていたコスモは特に防御姿勢も取らないで、仁王立ちしていた。
そして矢が届いた瞬間。
コンッ……コンッココココココココンッ……
10本の矢が金属にぶつかった様な音を立て、地面へと力なく落ちて行く。
「え……」
「「え……」」
マデジと盗賊の弓隊が目を大きく開き、鼻水を垂らしている。今起こった事が信じられない様子だ。そしてコスモは仁王立ちしたまま、平然としていて動かない。
状況を飲めない盗賊達だが、マデジが再び我に返ると再度弓隊に号令をかける。
「い、今のはまぐれだ!弓隊!もう一度構えろ!」
「「へ、へい!」」
盗賊の弓隊がもう一度、鉄の弓に矢を添えて狙いを定める。
「いいか!今度はあの変態女の露出した、胸や腹の部分を狙うんだ!」
「「へい!」」
先程の矢は防具に阻まれたものだと思い込むマデジが、露出の多い肌を狙う様に指示を出すと、一斉射撃が始まる。
「撃てーーー!!」
一斉に矢が放たれると、今度は全ての矢がコスモの胸部や腹部に目掛けて飛んで行く。
そして矢が届いた瞬間。
コココンッ……コココンッ……ココココンッ
生身の胸部や腹部に狙った矢が当たるが、先程と同じく軽く弾かれる。さすがの盗賊達もまぐれで矢が弾かれたのでは無い事に気付き始める。
考えられる事は一つ、盗賊の弓隊の攻撃力がコスモの【守備】を下回っているという事実。これを理解したマデジは、焦った様子で部下全員に指示を出す。
「お、お前ら、この変態女が竜篭りの扉から離れたら村人を狙え!それまで手を出すんじゃねえぞ!!」
指示を受けた盗賊達がコスモからさらに距離を取り、竜篭りの扉を囲う様に鉄の斧を構えて待機する。
コスモにとってこれは好都合だ、このまま何事も無く扉を守り切れば、後詰めのセリオスとオルーガ達が助けにやってくる。
だがここに一つの疑念が生まれる。
盗賊達は時間が経つほど劣勢になる事を知っている筈、なのに焦る様子も無く寧ろ余裕を保っていた。それがコスモは気に入らなかった、そして後もう一つ気に入らない事があった。
「へへ、いくら固くて強いからと言っても、さすがのピンクの変態女もこれで動けねえ、後は適当に時間を……」
「……4回言ったな」
「ん?何だ?何か言ったのかこのピンクの助平な変態女!」
「ご、5回も変態って言ったな!絶対に……絶対に許さん!」
マデジから変態女呼ばわりされる事5回、少し涙目になるコスモが構えを取る。相手が攻撃して来ないのであれば、誘い出せば良いのだ。
アーマー職専用の盾技に相手の攻撃を誘発させる、【誘因】というものがある。相手をこちらへ注意を引かせ攻撃させるという効果があった。
【魔力】の能力値の影響を受ける技で値が高い程、より良く効果が発揮されるのだが、モウガスの時には【魔力】が低く魔獣相手にしか通用しなかった。
だが今のコスモは【魔力】50を超えていた。息を大きく吸い、盾技の誘因を発動する。
「盾奥義!!誘惑!!!……え?」
技を発動した本人が戸惑う。
コスモが誘因を発動しようとすると、自動的に技能【魅力】の効果が発動されて奥義【誘惑】となってしまう。発動した本人も驚いているが、このまま終わる訳ではない。
誘惑は誘因の上級盾技だが、発動条件が厳しく使い手の居ない幻の技となっていた。効果は自身の体から特殊なフェロモンを放ち、広範囲に居る異性の者を自分に引き付ける。
ただし特殊なフェロモンを放つ為の厳格なルーティンが定められている。そのルーティンはしっかりと全力で惜しみなく、自分の意志に反して強制的に実行される。
そして一度発動すると誘惑のルーティンが終わるまでは自分の意志では止められない。
コスモが魔剣ナインロータスとハート型の盾を背負うと、人が変った様な耽美的に恥じらう表情になる。
「あーん、こんな良い男達に囲まれたら……」
コスモが盗賊達に見える様に、背を向いて締まった腰を後ろに付きだす。
「コスモ嬉しいけど……」
正面を向き直すと前屈みになって上体を逸らし、大きい胸を両腕を組んだ状態で下から上にぐいっと持ち上げる。
「ホントにコスモが変態女さんか……」
再び前屈みになると胸の谷間を見せつける。
「た・め・し・て・み・る?」
少し上体を上げながら、片目を瞑り両手で投げ接吻を盗賊達に送る。
ルーティンを終えるとアカネ村全体を、桃色の淡い光がコスモを中心に広がって行く。そして盗賊達の様子が変わって行く、目を白目にして、口からは泡を吹き、体中の血管が浮き出て、表情もこわばり鬼のような顔になる。
「う、うおおおおおおお!!」
魔獣の様な雄叫びを上げて一斉にコスモに襲いかかる盗賊達、すでに理性は無い。本能で襲って来る為、鉄の斧や鉄の弓を投げ捨て、全員素手で掴みかかろうとする。
「はっ!く、くそ!今のは断じて……断じて俺の意思じゃねーーーー!!」
コスモがそう言いたくなるのも無理は無い、可愛い仕草だと思ってアヒル口を演じてみるも、それを鏡で見て恥ずかしいと思った経験は、誰しもがあるだろう。まさにその状況と一致していた。
誘惑の演出が終わって素面に戻ったコスモが顔を真っ赤にしながら、そう叫ぶと次々と襲って来る盗賊達を魔剣ナインロータスの刀身でひっぱたいて行く。
ドンッ!ズゴゴゴゴ!バシッ!ズゴゴゴゴ!ドグォ!ズゴゴゴゴ……
鈍い衝撃音と必殺の一撃音で、四方八方へ勢い良く飛ばされて行く盗賊達だが、誘惑の効果が絶大で攻撃の手を休める様子が無い。
コスモの思惑とは全く違うが狙い通り、盾奥義、誘惑の効果は抜群だった。
「あ、あの冒険者様!」
「ど、どうした!今は手が離せない!」
竜篭りの中に居る村人の女が扉越しにコスモへ声を掛けてくる。
「ウ、ウチの旦那が人が変わった様に内側から扉の閂を外そうとしてるんです!!」
「あー……そっちもかー」
コスモの誘惑が村人の男達にも掛かっていた。外に出ようと岩や家具をどけて閂を外そうとしている所を女達が必死に止めていた。
「すんません奥様方!手段は何でも良いので旦那方を抑えといて下さい!」
「は、はい!……あんた達、奥からこん棒持ってきな!」
まさかの二正面での戦いになるとは予想していなかったコスモが、男達を抑えるお願いをする。年若い女達が竜篭りの奥から自衛用のこん棒を持ってくると、奥様方へと渡して躊躇無く自分の旦那を叩きのめす。
こういう所で女は強い。
竜篭りの前からコスモによって次々と吹き飛ばされた盗賊達が、瀕死の状態でアカネ村の一帯の至る所で倒れて行く、まるで死屍累々である。灰色熊を一撃で屠る膂力も加わり、全ての盗賊が一撃で戦闘不能となって行く。
盗賊達が絶え間なく襲撃して事もあって、時間も掛からず100人は居た盗賊を打ちのめすと、マデジを残すのみとなった。マデジは盗賊の頭だけあって誘惑に抵抗している様子で、白目を剥いて立ち尽くしていた。
「さて……残るはこのデカブツ野郎だけか!」
コスモがマデジに狙いを定めるのと同時に、マデジにかかった誘惑が解けたのか、正気に戻ると辺りを見回す。
すでに自分以外の盗賊が全員倒れていると確認すると、逃げるのでは無く鋼の斧を構え抵抗の意思を見せる。
「何だこの悪夢みたいな状況は!!な、何をしやがった、この変態女!」
「ぐ……やめろ!!その言葉は、今の俺に凄く効く!!」
精神攻撃を喰らったコスモがふらつく、だが相手は何をされたのか覚えていない様子だ。それだけがコスモにとって唯一の救いだった。
「時間を稼ぐ筈だったのに、これじゃあご破算だ、せめてお前だけでもやってやる!!」
マデジが鋼の斧を太い両腕で振り上げると、大きく飛び跳ねコスモの頭上へと下ろすが、右手で握った魔剣ナインロータスによって体ごと軽く弾かれる。
ギィィィィン!
「え……?」
「おい、お前の体は見掛け倒しか?」
「お、俺はレベル34の上級職の【バーサーカー】なんだ!こんな小娘なんかに!!」
マデジが何度も何度も、鋼の斧で攻撃を繰り返すが、右手だけで扱う魔剣ナインロータスにいなされ続ける。しばらく打ち合うとマデジの息が上がり、攻撃の手が止まる。
「ぜえぜえ……バ、バケモンだ……ぜえぜえ」
「人のモン奪って楽してる奴が、人を守る為に鍛錬してる奴に勝てる道理があるか!」
魔剣ナインロータスの刀身でマデジの脳天を軽く叩き付ける。
「グエッ……」
ゴン……ズゴゴ……
軽い衝撃音と申し訳程度の必殺の一撃音が出ると、マデジがその場で倒れ気絶する。
これでアカネ村を襲っていた盗賊の鎮圧は完了した。当初の作戦とは違った形だが、村人を救う第一条件はクリアしていた。
目立たないがコスモ1人で盗賊団100人切りという快挙も達成していた。
盗賊全員を倒し終えると魔剣ナインロータスとハート型の盾を背中に背負い、竜篭りの中の村人達に安全になった事を伝える。
「おーい、盗賊は全員倒したから出て来てもいいぞ」
それを聞いた村人が竜篭りの扉の閂を外して、ゆっくりと外へ出てくる。そして村の様子を恐る恐る眺めた後、変わり果てた様子に気付く。
「「うっわあ……」」
感謝の言葉より先に、村中に倒れている盗賊を見て本気で引いてる感想が出て来る。気を取り直して村の長らしき老齢の人物がコスモにお礼を言う。
「あ、あの、ありがとうございます……冒険者様……えっと……冒険者様?」
「こんな格好してますが、冒険者です!」
コスモの姿を見て、冒険者と呼んでいいのか困惑する村の長だが、当然の反応だ。俯いたコスモが恥じらいながらも冒険者を名乗る。
アカネ村に到着してから数時間経つが、セリオス達の応援が来る気配が無い。
その間に気絶しているマデジを切り株の上にうつ伏せで寝かせ、両手を後ろで縄で縛り、両足を縛ると、おもむろに下着ごと下穿きを脱がして汚いお尻を露出させる。
準備を整えるとコスモがマデジの顔を平手でひっぱたく。
パアン!ズゴゴゴゴゴゴ!
渇いた音と必殺の一撃音が響き、痛みでマデジが目を覚ます。
「いってえ!……ん?なんだこりゃあ!」
「お!タフな奴だな、これから、尋問するから素直に質問に答えろ」
コスモがマデジから何の目的で開拓村を襲撃したのか、なぜ時間を稼いでいるのか問い詰めるが、マデジが余裕の表情を浮かべる。
「へ!こうしていられるのも今の内よ、後でお前は俺のペットにしてやるからな!」
「あんだけやられたのに元気だな!景気づけに一発行っとくか!」
素直に答えそうにないマデジを見て、コスモが村人の奥様からこん棒を受取ると、マデジの後ろに回る。そこでこん棒を横へ素振りすると重い風切り音が鳴る。
ブォン!……ブォン!
「な、何をする気だ!」
「じゃあ歯食いしばれよ!」
コスモがそう言うとこん棒をマデジのお尻に向けて軽く叩き付ける。
パアアアアン!ズゴゴゴゴゴゴ!
「ぎゃああああああああ……!!」
必殺の一撃がお尻に決まると、痛みに耐えきれなかったマデジが悲痛な叫び声を上げる。叩かれたお尻は真っ赤に腫れ上がっている。叩き終わったコスモがマデジの正面へ戻り、再び尋問を再開する。
「もう一度聞くぞ、何が目的で時間を稼いでいたんだ?」
「はあはあ……くそが、お前だけは絶対に許さねえ……」
「そっか、お前意外と根性あるなあ!」
笑顔でそう言うとコスモがこん棒を村人に預ける。次に向かったのが乾燥させる為に置いている丸太置き場で、おもむろに丸太を一本持ち上げると、軽く叩き土を落とす。
丸太を持ってマデジの前へ戻ると目の前で素振りをする。その音は、こん棒に比べて大きい重低音の風切り音が辺りに響く程であった。
ブオオオオオオオン!ブオオオオオオン!……
「ま、まさかそれで叩かない……ですよね」
「大丈夫!大丈夫!お尻は割れて二つあるし、一つ無くなっても大丈夫だから!」
「いやいや!一つ無くなったら大惨事だよ!」
コスモが凄く嬉しそうな笑顔で答える。目の前での丸太の素振りが効いたのか、マデジの表情に焦りが見えてくる。ここでさらにコスモが駄目押しで心を折りに行く。
「ほら!素振りをする前に、丸太が一回転!いやー良く回るなあ!」
槍で必殺の一撃を出す時には、必ず槍を手元で一回転させるのだ。それをコスモが丸太で当たり前の様に軽くやって見せると、マデジの心が完全に折れ曲がる。
顔を涙と鼻水でぐしゃぐしゃにしながら、マデジが鬼畜の所業を行うコスモに命乞いをする。
「ぜんぶじゃべりまずがら……いのぢばだずげでぐだざい……」
「ちぇ……なんだよ、つまんねーなあ」
コスモが丸太を地面に置くと、マデジが涙ながらに答えていく。
アカネ村を大人数で襲った理由は、中央都市アプリニアからの領主騎士団を誘い出す為で、自分達の役割は時間を稼ぐ囮役、アプリニアからの応援が到着次第、撤退する予定だった。
本当の目的は中央都市アプリニアであり、ロンフォード城の陥落である。盗賊団の本隊500人が領主騎士団が出発するのを見計らって、アプリニアを攻めるという手筈となっていた。
「な、なんてこった……一刻も早くジルト様にお伝えしないと」
コスモが盗賊の狙いが分かるのと同時にセリオス達が到着する。コスモよりも大分遅い到着だが、それでも歩兵の行軍としては考えられない程に早い。
オルーガがコスモを心配して駆け寄るが、盗賊が辺り一帯に倒れている村の異様な有様を見て驚愕する。
「おーい!コスモちゃん無事か!……って何じゃこりゃ!」
「オルーガか!アカネ村の盗賊は鎮圧した!残党が居ないか警戒してくれ!」
「マ、マジかよ……1人でこの数を……」
コスモがオルーガに盗賊の残党が居ないか、確認をお願いすると信じられない顔になるが、すぐに現実を受け入れると団員と共に周りの警戒を始める。
そしてセリオスも同様に地方騎士団へと周囲の警戒、村人の助けをする様に指示を出す。その後、コスモに近寄り状況の確認を行う。
切り株に乗せられた情けない格好の男が今回、アカネ村を襲った首謀者マデジだと知ると、地方騎士団に捕縛させる。そこで聞き出した事をコスモがセリオスへ伝える。
「な、何という事なんだ、アカネ村は囮で中央都市アプリニアの陥落が目的だったなんて……」
「この事をまだジルト様は知らない筈だ、俺がこれから伝えに行く。後はセリオスに任せていいか?」
到着したセリオスに盗賊団の目的を説明すると、コスモが中央都市アプリニアへ出発する準備をする。セリオスが少し考えるが、この場で一番足の速いコスモに全てを託す事を即決する。
「コスモ、君の足なら間に合う筈だ、どうか父上を……いやアプリニアを頼む!」
「ああ、任せておけ!ジルト様は俺の恩人、盗賊共にやらせる訳にはいかねえ!」
コスモがセリオスからアプリニアの命運を託され、アカネ村を急いで出発すると瞬く間に遠くへ消えて行った。
そして残された冒険者達と地方騎士団がアカネ村に倒れている盗賊達の捕縛を始める。瀕死状態の盗賊が100人、至る所に転がっていた。1人銀貨50枚、ある意味ボーナスイベントと言っても良い状態だ。
「コスモちゃんって、本当に強いのな……あの時、俺良く死ななかったな」
「だから言ったでしょ、あの子は規格外なんだよ……さあ早いもん勝ちだよ!」
オルーガがコスモに突き飛ばされて生きていた事に感謝をし、シノと他の冒険者達は倒れている盗賊を捕縛して行く。地方騎士団は村の復興に尽力していった。
その中でセリオスだけが、もどかしい顔をして立ち去ったコスモの方向を向いて祈っていた。
「きっとコスモなら何とかしてくれる……」
100人は居た盗賊を倒して除けたコスモなら、確実に父のジルトの助けになるとセリオスは信じていた。