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真夜中のせめぎ合い(sideケーノ)

 どうもセイン・ケーノです。哀れな子羊でヤーガの一番弟子です。

 寝てたら、昨日拾ってきた少年がベッドに入ってきました。

 ……タスケテ




 まず状況を整理しよう。

 今日のご飯の時にラサク君に吸血鬼の血が流れている事が判明。

 ↓

 ヤーガおばあちゃんに「私がなんとかするからあんたは先に寝てな。」と言われる。

 ↓

 いつも寝る時は気配隠しの魔法を唱えてから寝ているので、今日も唱えてベッドに入る。

 ↓

 気づいたら少年が一緒のベッドに入っている。


 まず少年が吸血鬼なのは良い。特に何かしてきたわけじゃないし。私より二回りくらい小さくて可愛いし。

 問題はヤーガのオババだ!

 あの魔女、絶対私がここにいるにも関わらずラサク君を入れたな?


 理由は分からないが、どうせ私がベッドに入ってきたラサク君にあたふたしてる様子をからかおうとかそういう魂胆に決まっている!


(……まあ、ラサク君と私を仲良くさせたいだけなのかもしれないけどね。……というか、久しぶりにヤーガおばあちゃんとマエルサ以外とまともに会話したな。ってそんな事よりもやらないといけないことが!)

 

そう、自分の直ぐ近くで眠っているラサク君をどうにかしなければならない。このままでは、私は自分より小さな少年を襲おうとした女性として生きていかねばならない。そんなのは嫌だ。何としてもここから脱出しなければならない。しかしベッドが二人入るには小さい為、さっきから少し身体が当たっている。幸い気配隠しの魔法が続いているから良いがこの魔法は、相手からそこに何かあると確信されたり、強い衝撃を与えてしまったりすると解除されてしまう。


 その為、この状況から抜け出すには音を出さずにラサクに触らないでここから抜け出す必要がある。


 (って言ってもなあ……私の方が身体大きいし、ベッドの奥にいるから少しだけ触らないとラサク君を動かせ無いんだよなあ……どうしよう)


 そんな時、ラサクがケーノの方に寝返りをうちケーノと横になりながら顔を合わせる形になった。これにケーノは驚いた。

 

 ケーノは、世間一般的に言えばコミュ症に分類される人物である。羊の獣人の血が流れているのを理由に周囲の人々から距離を取られていた彼女はそれはもうこじらせていた。


 初対面の相手と上手く会話出来ないのはもちろん、相手の顔が見れないのである。厳密に言えば、見る事は出来るのだが自分の目や角が見られるのが嫌で、直ぐに恥ずかしくなって顔を逸らしてしまうのである。


 (どうしようどうしようどうしよう)


 目の前には、安らかに寝息を立てる少年が鼻先がつくかつかないかくらいの距離にいる。


 相手が寝ていると分かっていても顔を逸らしてしまう。

 そんな状況に身体を悶えさせていると、ケーノの手がラサクの手に当たってしまい、ケーノの手はラサクの手の下になってしまった。


「ん……」


 そんな声を上げるラサクに驚くケーノだったがラサクはその後何も無かったかのようにスヤスヤ寝てくれた。


 一方ケーノは半分パニックだった。


 (えっ、これって手を繋いでる?そんな状況で一緒に寝るとかもうエッチじゃん!まずいって!)


 別に手を合わせて寝ても、エッチではないと思われるがそんな事を教えてくれる友達はケーノにはいなかった。いるのはイタズラ好きなオババと性悪な蛇しかいない。


 ケーノは驚愕しつつもこれ以上身体を動かすとラサクを起こす可能性を考慮して、もう動かない事にした。そうすると、必然的にラサクの手に意識が向いたケーノはラサクの手に幾つか小さな傷がある事に気づいた。その傷は、刃物で切られたかの様な跡があり触るだけで分かる程だった。


 (まだ小さいのに、こんな傷を負ってたのね。……もう大丈夫だからね。)


 ケーノはそう思うと、ラサクの手を少しだけ握った。

そうすると、ラサクの手も無意識にその手を握り返した。


 ラサクの手は雪の様にひんやりしていたがケーノの手を握るとケーノの体温が移り、温かくなっていった。


 それを感じながら、この子と仲良くなれるといいなあと思いながら、ケーノはふと気づいた。

 

 (…………朝どうしよう)


 そうして夜は過ぎていき朝が訪れた。


読んでいただき、ありがとうございます!

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