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魔女の家(side少年)

 今日は良い1日になる筈だった。

 

 今日は村で10歳になる子供達が教会で神様から「技能」を授かれる素敵な日になる筈だった

 その筈だった…

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ポコポコと何かが沸騰する音が聞こえる。それとすこしツンとくるような匂いが鼻腔をくすぐった。目を開けると、変わった木目の天井があった。


 どうやら自分は気を失っていたらしい。体を起こすとキイキイとベッドが軋む。


 着ている服は変わって無いが、雨に濡れてぐしょぐしょになっていた筈の服は乾いていて雨が降る前に時間が戻ったようだった。


 ……そんな事は無いか。枕元に置いてあった傷だらけの鞄と少し痛む身体の節々が今日の出来事を思い出せる。


 自分は逃げてきたのだ。……あの村から

嫌な思い出が脳裏によぎろうとした瞬間であった。

 

「やあ、やっと目覚めたのか。」

 

目の前からした声に驚き周囲を見渡すが、何も見つからない。

 

「そっちじゃないよ小僧、目を凝らすんだ。」

 

 少し緊張しつつ、今度は目の前にある「何か」に向かって目を凝らす。


 すると、何も無かった筈の空間からまるで夜が溶けだしたような色を持つ美しい大蛇が姿を現した。


「……きれい」あまりにもその蛇が持つ色が美しくて、僕は息を飲み、そう呟いた。


「なんだって!!」するとその蛇は突然、詰めよって来た。

「なかなか見る目があるじゃないか。とりあえず、合格といったところだね。」何か言っているが僕の頭は未だ混乱していた。


 その時だった。


「おい!起きて動けるんだったら、さっさとこっちに来な!マエルサも遊んでないで小僧を連れてきな!」


 雷鳴のように大きな声が轟いた。びっくりしているとマエルサと呼ばれた大蛇はハイハイと気怠に言いながら僕の身体に一瞬で巻きついて、そのまま僕は他の部屋に運ばれてしまった。


 次の部屋は、キッチンの様で大鍋や変な色の液体がごった返していた。そして部屋の大鍋の前には人が立っており、マエルサと僕の気配を感じたのか振り返る。


 その人物は、とても背丈が大きく顔には皺がいくつも入っている女性で、まるで巨大な老木のようだった。

「へえ、随分気に入られてるじゃないか。マエルサ、私はこの小僧と話すことがあるから外に出てな。」


 女性がそういうとマエルサは、コクリと頷くと僕を離して窓から外に出ていった。


「さて、色々聞きたいと思うがまずは自己紹介からしようか?私の名前はヤーガ、あんたの名前はなんだい?」


 目の前の女性に気圧されながら僕は口を開いた。

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