真夜中のアクアリウム
誰かに呼ばれたような気がして。
目を、覚ます。
真夜中、2時。
ふらふらと私は、家の外に出る。
誘われるように。
真夜中を、彷徨う。
頭の上にはおおきな満月が浮かんでいて、
夜を明るく照らしている。
すると。
ゆらり……
目の前に、いかつい魚が現れ驚く。
コブダイだ。
コブダイは私と目があったが、
すいっと空を泳いでどこかへ消えた。
ドキドキしながら辺りを見渡すと。
いつの間にか、魚だらけになっていた。
海のなかを泳ぐようにして、
魚が空を泳ぐ。
イロトリドリの魚やクラゲ。
ダイオウイカにクジラまで。
ざぶりざぶりと、
私の周りを泳いでいる。
魚たちが吐く泡が、
満月の光を昇っていく。
真夜中のアクアリウムの中を、
私は見惚れながら歩く───