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ワルキューレプレイヤーズ  作者: 魔人戦艦
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第7話



第7話 



~地下室~



翌日




「本人から連絡が来てると思うけれど、園子が昨日のうちに目を覚ましたわ、収容されたニヒトも生命活動までは支障がない。」




「で、昨日の報告書全部読ませてもらったけれど…っ、少し難しいわね。」




沙弓の報告書をもとに陽華と昨日のことを話し合っていた。


園子とニヒトの無事も昨日のうちに2人のもとに入っていることも確認。



問題は、小野寺ことりに関してだ。




「沙弓が逃げるよう指示したが聞かず、変身しニヒト撃退までいたった…と。」


「はい、桐崎さんから彼女の状況も聞きましたが…彼女の身に今後危機的な状況が迫らない限りはこちらからの干渉は避けるべきです。」




「私たちの顔を見てまたそうなる可能性が高いので…」




沙弓はことりの状態をひどく深刻にとらえていた。


その上でかかわりを持たない方がいいと結論付ける。



奪い返した装備にふさわしという結果が出ていたものの、それを聞いて陽華も手を引くべきと考えた。


互いに認識は同じだった。




「この話しはこれでおしまいにしましょうか…それで、今日は桐崎さん遅いわね。」


「指揮官、それでは話が終われません。」




「あの後私は止めたんですけれど…」




ただ一人、2人とは真逆の見解を持っていた。


その場に鈴奈がいない。




「…どこに…」


「彼女の自宅です。」

   ・

   ・

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~小野寺家~




「おぉ~」




彼女は担任教師から受け取ったことりの課題をバックに詰め彼女の自宅に訪れていた。


そんな彼女の自宅だが、個人経営の弁当屋であった。



夕方を過ぎシャッターが閉まっているため購入するなら朝寄っていくべきと考える。


購入意欲を持ちつつ自宅の呼び鈴を鳴らす。




「こんにちは~!」




周囲に聞こえるほど大きく挨拶を行う。


しばらくして呼び鈴越しに話しかけられる。




「はい?」


「こんにちはっ、ことりちゃんと同じクラスの桐崎鈴奈ですっ!」


「まぁ~はい!すぐに出ますね!」




鈴奈の声を聞き、呼び鈴越しに喜んでいる様子がうかがえる。


また少しして自宅の扉が開く。




エプロン姿の女性。


鈴奈の顔を見て優しく微笑む。




「こんにちはっ!」


「こんにちはどうもぉ、小野寺ことりの母ですっ。」





ことりの母親が応対した。



「これ、ことりちゃんの課題で…ことりちゃんに!」



差し出した課題を母親が受け取る。



「ありがとうございますっ、あの子のお友達が来るなんて初めてだわ~…呼んでくるからちょっと待っててね!」


「はいっ!」



一度自宅に戻る母親。


またしばらくして扉が開くが、ことりは姿を見せず母親だけが出てくる。




「ごめんなさい、呼んでいるんだけれど部屋から出てこなくて…昨日学校から帰って来てからずっとこもってて~…」



昨日のことでかなり参っていたのだろう。


鈴奈もそれはわかっていた。



「また来てもいいですか?」


「えぇ!もちろん、鈴奈ちゃんの子と話しておくからまたぜひ来てね。」




その日は鈴奈は自宅を離れ学校へと戻る。






「ことりっ、鈴奈ちゃんが課題持ってきてくれたから…ここ置いておくから後で取っておいてね。」



母はことりの部屋の前に課題を置いて離れる。


昨日からずっと、顔を見せていなかった。

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それから鈴奈は、次の日も その次の日も彼女の自宅を訪れる。


朝弁当を買い、放課後再び訪れを繰り返していた。



ただ、ことりの顔を見ることができず母も申し訳なさそうに鈴奈に応対する。


それでも鈴奈は、彼女と話をするまではあきらめられない。






~廊下~



「よしっ!」




1日の授業が終わり、鈴奈は教室を出て今日もことりの自宅へ向かう。


教室を出た鈴奈、そこに沙弓が鈴奈を呼び止める。




「桐崎さん。」


「沙弓ちゃん!」




鈴奈は沙弓のもとまで駆け寄る。




「桐崎さん、もうこれ以上小野寺さんの家に行くのはやめなさい。」


「…どうして?」




「あなた自身が彼女を追い詰めているかもしれないからよ。」




沙弓が鈴奈に推測を交えながらことりの状態を伝える。


彼女の状態は簡単に解決できるようなものではない。



彼女の精神的なところから来ており、巻き込まれた戦闘で余計にその拍車をかけていると話す。


鈴奈が向うことでそれがフラッシュバックをして余計に苦しめて立ち直る時間を与えないのではないかと伝える。




「だから、これ以上はやめた方がいい…あなた自身も彼女に時間を割いて余裕がないはず。」


「鈴奈は大丈夫だよ、それに本当にそう思ってるかなんて話してみないとわかんないし。」



楽観的にも感じ取れる鈴奈の言葉に少々苛立ちを覚える沙弓。




「あなたはもう少し他人の痛みをわかるべきよっ!」


「ことりちゃんの言葉を聞いてないんだからわかるわけないよ。」




「それに、ふさぎ込んでる時は誰かとお話したほうがいい…1人でいると余計に変な風になるって昔教えてもらったから!」



鈴奈は少々沙弓から逃げるようにことりの自宅へと向かう。


ただ、最後に残した言葉。



まるでかつて経験した教訓かのように言っていた。





「桐崎、さん?」

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   ・

~小野寺家~



たどり着いた鈴奈は呼び鈴を鳴らす。


しかし、今日はしばらくたっても反応がない。





「あれ?いないのかな…ん~…」



もう一度押してみるがそれでも反応がない。


お母さんがいないと考えまた日を改めよう。



基地へと戻り歩きだしたとき、玄関の鍵の開く音がする。




「んっ?」



その音を聞き振り返る鈴奈。


ただ鍵が開く音だけだった。




しかし鈴奈はそれで何かを悟った。


鍵の開いた扉のそばに腰を下ろす。






「苦しかったら開けなくてもいいよ、無理はして欲しくないから…少しここにいてもいい?」





その問いかけに、少し間が空いたのち…





「は、はい…」




か細い返事が聞こえてきた。


ことりが扉の内側にいた。

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