第6話
第6話
~廃工場~
園子はことりを連れ学校から距離の離れた廃工場へ逃げ込んだ。
「まぁ~ここまで来れば何とか、2人もいるし…すみません汚い感じのところですけど~」
「い、いぇ…はぁ…」
2キロ近く離れた場所まで休憩を挟まず走った為ことりはその場で膝をつき息を上げる。
園子はそんな彼女の背中をさする。
「すみません準備運動もなしに激しめのランニングをねぇ~」
何とか息を整え始めることりは園子に問いかける。
「…私何かしたんでしょうか、さっきの人に殺されるようなこと。」
「してませんよ何も、ただの逆恨みにすぎません。」
ことりの問いかけに少々食い気味に告げる。
とはいえ突然巻き込まれた身で簡単に安心なんてできるはずがない。
園子は出来るだけ彼女の安心させつつ開示できる事実を話し始める。
「今の世の中プレイヤーを恨む人は多い、それが行き過ぎた行動を生むようにもなってきました…」
「さっきの同級生は、そんな方々から安心と安全を守るために奮闘しているんですぉ。」
「…桐崎さんっ、が…」
アイドルになりたい。
そう言っていた彼女が自分の知らないところで命がけのことをしている。
理解しようにもなかなか頭が追いついてこない。
しかしながら彼女達に助けられたから今自分はこの場に逃げ隠れていられると実感を持てている。
「御安心なさい、そろそろ方がつく頃だと思いますしもう少しだけここでゆっくりしてから戻りましょうかね~」
2人を信用する園子は伸びをしながら収拾報告を待つ。
ただ楽観視しすぎていた。
廃工場の屋根の一部が破壊され、空中から先ほどの男が2人の目の前に着地する。
「っ!?」
「おっと~…これは…」
園子は周辺を見渡し鉄パイプを拾う。
再び恐怖することりを背後にかくまいながら構える。
「やめましょう、あなた本気出さなくても私くらいは簡単にやっちゃいますから…豚箱行きになりますけども?」
「後ろのやつやれれば何でもいいのさ。」
どうにか平然を装うも変身もできない身でことりを守れるわけがないとわかる園子はだんだん余裕がなくなっていく。
この場に到着していることから2人がやられていると、考えたくもない結論が出てしまう。
「…ことりさん、逃げてくださいね~そんなに時間は稼げませんけど…」
「え?あのっ。」
園子はことりに小声でそうつぶやき鉄パイプを引きずりながら男へと走る。
うまく遠心力を駆使しながら思い鉄を振り回す。
男は簡単にパイプを片腕で受け止めそれをひねり曲げる。
「邪魔だよっ。」
男は握られる鉄パイプごと、乱雑に置かれた木箱まで吹き飛ばす。
衝撃で木箱が壊れ園子が木くずの中で動きを止める。
「っ…っぁっ」
ようやくじゃ魔物がいなくなったと、ことりのもとへゆっくりと歩きだす。
手に大量の100円玉を握り機械に装填を始める。
「物もって生まれたことだけ後悔してよ。」
もう足が動かない。
疲れと恐怖で立つこともままならない。
彼女はただなんで私がと…そう思い地面に顔を伏せる。
そうすると彼女の耳に衝撃音と効果の散らばる音が響き渡る。
「…っ…あっ。」
自分の身に何も起こらないと顔を上げた時。
男は廃工場の柱まで吹き飛ばされていた。
ようやく底にたどり着いた鈴奈がメイスで男を吹き飛ばし、彼女の周囲に持っていた多くの100円玉が散らばった。
「ごめんね…遅くなってっ。」
額から血を流す鈴奈。
息が整っておらず呼吸も荒い。
「園子ちゃんはっ…」
周囲をくまなく探し、たおれる園子を目にする。
「ご、ごめんなさい…わ、私のっせいで…」
「っ!!」
吹き飛ばされ立ち上がろうとする男めがけ走り、再びメイスを振るう。
メイスは男のつける装置と腕をつなぐベルト部分にうまく直撃、男から装置が外れことりの付近間まで吹き飛ばされる。
「っ…」
「くそっ!」
変身が解除された男は真っ先にジャージの懐から錠剤を取り出しのみ込む。
姿が白く変色し人型を保ったまま両手がハサミへと変化。
「ニヒトっ!?なんでニヒトが変身できてたとのっ!?」
どういうわけかニヒトプレイヤーへと変化した男は鈴奈にハサミを振り下ろし、鈴奈を地面に転倒させる。
倒れる鈴奈にハサミを突き立て追撃を試みるが、廃工場入口からレーザー攻撃を受けハサミが破損。
「桐崎さんっ!」
鈴奈は隙をつきニヒトから離れ体勢を立て直す。
「沙弓ちゃん!園子ちゃんがっ!」
「こっちですぐ手当てする、少しお願いっ!」
駆け付けた沙弓はそのまますぐに園子のもとへ駆け寄る。
脈と呼吸を確認、息があることを確認し手当てを始める。
「ごめん、無理させてっ…桐崎さん!園子は無事!」
「わかった!」
園子の報告を受ける。
手当てをしながら沙弓はことりに対し
「すぐにこの場から逃げてっ!」
「っ…っあ…でも…」
この場から逃げるよう指示を仰いだ。
こうなってしまえばこの場での彼女の身は保証しかねない。
彼女自身が逃げてもらうほかない。
ただことりは、その指示をうまく聞き取れていなかった。
聞き取る余裕はなく…
周囲を何度も見渡し、次第に激しく息を荒げていく…
「聞こえてますかっ!ここから早くっ!」
「(うごけ、うごけ、うごけ、うごけっ!)」
彼女は頭で必死に自分に呼びかける。
だが自らをうまく制御しきれずにいた…
どういうわけか、彼女は周囲に散らばる100円玉を拾い上げ。
さらには飛んできた機械も広い、左腕に装着する。
「ちょっと!何をやっているの!」
100円玉を投入し、レバーを回した。
あろうことか彼女はその場からの撤退を行わず黄色のサイバースーツを身に包んだ。
「ことりちゃんっ!?」
「っ…っ!!」
ことりはニヒトへ突貫。
体で突撃し、ニヒトは転倒…そこに馬乗りとなり両手で何度もニヒトを殴りつける。
「ぅぅっ!!ぁぁぁぁ!!!あああああああああっ!!!」
両手のラインが強く光る、相当な力を入れてニヒトを殴り続ける。
ニヒトも抵抗するが、受け止めるハサミを割られ…こぶしは肉体へ何度も直撃し始める。
「こ、ことりちゃん待って!落ち着いて!!」
「あぁあああああああああああああああああああああああああああっ!!!」
彼女の叫びは耳をつんざくほど響き渡る。
鈴奈がことりの体を掴みニヒトから引きはがす。
「ことりちゃん!!待ってよっ!もう大丈夫だからっ!!」
「ことりちゃんっ!!」
「っ…」
呼びかける声がようやく彼女の耳に入った。
振り上げていたこぶしを下ろしニヒトを見下ろす。
すでにニヒトは動いておらず、口からは泡を吐きだしている。
「はぁ…はぁ…はぁ…っ。」
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しばらくした後、警察消防が到着。
傷を負った園子は救急車で病院へと運ばれる。
そしてニヒトもその身柄を収集された。
「す、すみません…でした…」
とてもか細い声で謝り、装備を沙弓に手渡す。
「っ、あなたが無事でよかった…このまま自宅まで送るわ。」
「いぇ、もう大丈夫ですから…」
深く頭を下げ足早にその場を後にする。
「桐崎さん、学校で彼女は?」
「えっと、入学式の後から来てなくて…話したことなかったからわかんない…」
鈴奈から状況を聞いた沙弓。
あまり深いりできる状況ではないと悟った。
「…あの子、二度と学校に来る事ができないかもしれないわね。」
「えっ?」




