2 そういえば予兆だったかもしれない②~妊婦さん編
なんやかんやありながらもソコソコ健康に、ソコソコ平均的な検査数値で三十代前半をやり過ごした私。
縁あって三十六歳で結婚。
基礎体温を測るくらいのゆるっと妊活の末、子供を授かりました。
で、定期健診で産院を訪れ、その度に血圧と尿検査をする訳ですが……。
来ましたヨ~、問題が。
いつ調べても血圧高め・尿タンパク高めの数値が出るのです!
「妊娠高血圧症候群ですね」
妊娠後期。
産科のドクターがまた、耳慣れない病名をサラッと口にします。
後で調べると、昔は『妊娠中毒症』と呼ばれていた症状のことのようです。
「血液検査の結果、糖尿病の疑いは少なそうですけど……腎疾患をお持ちですか?」
そんなことを訊かれ、首を傾げる私。
「いいえ。ただ、タンパク尿は子供の頃からちょいちょい、出ました、けど……再検査したらいつも異常なしでしたし、特に腎臓に問題があるとは聞いてませんし、自覚もないです」
ふんふん、とうなずきながらキーボードをたたき、手元のパソコンへナニガシかを入力するドクター。
「ひょっとすると、腎臓自体は健康でも、生まれつき変形があるとかそういう問題があるかもしれませんね。紹介状を書きますから、市の総合医療センターで調べてもらって下さい」
とまあ、あれよあれよといううちに、『腎臓に変形がないかをエコーで調べてもらう』為、市の総合医療センター(これは実家の近く。後に通う総合医療センターとは別)へ行くことに。
デカい病院のお約束通り(笑)、アホほどの待ち時間の果てに調べてもらった結果、『腎臓の形に異状は認められない』と判明。
「今は妊娠中ですので、エコー以上の診察は出来ません」
(胎児に影響があるからレントゲンとか絶対無理だし、生身に針をぶっ刺す『腎生検』とか、胎児にも母体にもどんな影響があるのか怖くて出来ない、ということだろうと思われます)
「出産後、改めてきちんと検査した方がいいですよ」
そう、言われました、けど。
大きなおなかを抱えて膨大な待ち時間の果て、基本『異常なし』判定の出た妊婦が、ついでのように言われた医師の忠告なぞ、右から左に聞き流しても……しょうがないですよね? ね? ← 甘えるな。
それに出産後は新生児抱えた怒涛の育児が始まるのに、暢気(と言うと語弊がありますが)に、主観的には切羽詰まっていない病気…かどうかもわからない検査結果上の不調をわざわざ調べるなんて、する訳ないですよ。
そもそも子育て以外に時間を割く、(主に精神的な)余裕などありません。
……結局。
私はその後も『妊娠高血圧症候群』の症状が治まらないため、妊娠九か月目くらいから入院を勧められました。
そして出産まで一か月強、産院で過ごすことになりました。
いつも濃いめのタンパク尿が出ているせいで、おなかの赤ちゃんへタンパク質がちゃんと届いていない可能性があると脅さ……もとい、忠告されたので(実際、妊娠後期の子供の発育が今ひとつだった)、致し方なくの入院でした。
出ていくタンパク質を補うため、毎日、生理食塩水に溶かしたらしいタンパク質を点滴され、高血圧の妊婦用に調整された徹底した減塩食だけを食べ……何とか出産。
おかげ様で、生まれた赤ちゃんはとても元気でしたので、何はともあれ一安心。
出産後一週間で無事退院し……そこから始まるのが怒涛の育児!
己れのジンゾーのことなど、完全に意識からすっぽ抜けた状態で日々を過ごしておりました。
が、しかし。
息子が四歳を超えた頃。
病からの最終警告(に近いサイン)が、ついに現れ始めました……。