表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/24

7 扁桃腺摘出②

 入院当日。

 もはや慣れたもので、息子も比較的落ち着いています。

 夫も、早めに夏休みを取るように手配をしてくれ、お盆休みを含め十日強、仕事はお休みに。

 ……出来ることはやった。

 後は扁桃腺摘出の後、大量出血がないよう祈るだけだ! ヒーン!



 いつも通りに入院手続きをし、いつも通りに(五月雨式に)医師やスタッフからスケジュールの説明や術後の注意点を聞かされ、肺活量を測定されたり腹式呼吸ができるよう練習しろと言われたり(全身麻酔での手術を実施する場合、肺活量が少ないとダメらしい。また、腹式呼吸が出来た方がいいらしい。腹式呼吸は昔取った杵柄、高校時代の演劇部でさんざん訓練した身、現役の頃のようには参りませんが問題なくできます)の、忙しい第一日目、終了。


 当日。

 喉の奥のちっさい器官をちょん切るだけとは思えない、物々しい設備の手術室へGO!

 そして、外科の先生(多分。うろ覚え)や耳鼻咽喉科の先生、麻酔医の先生、看護師さんたちが青緑色っぽい手術着に身を固めて私が乗っかっている手術台を取り囲みます。

 それぞれ『○○科の××です』等々、自己紹介をしてくれますが、はっきり言って誰が誰だかわかりません。

(みんな同じ青緑色っぽい術着にマスク、帽子に身を固めていますからね。基本、目元しか見えません)

 ひきつった半笑いを浮かべ、よろしくおねがいしますと言うしか私に出来ることはない状態。

 文字通り、まな板の上の鯉。


「それでは少しずつ、麻酔のお薬を入れてゆきますね。……今から数を数えますから、一緒に数えて下さい」


 わー、全身麻酔をかける場合って、本当に数を数えるんだー。

 ドラマみたーい。


 やけくそなのか現実逃避しているのか、能天気なことを思う私。


「いーち」← 医師

「いーち」← 私


「にー」← 医師

「にー」← 私


「さーん」← 医師

「さーん」← 私


「しー」……


 多分、このくらいから意識はありません。



 次に気付いた時には、ストレッチャーに乗せられ、ガラガラと『回復室』(術後はそちらへ運ばれると聞いていた)へ運ばれていました。



 回復室へ、夫が顔を見に来てくれます。

(息子もいたはずですが、ベッドの私の目線が高いせいか、見えませんでした)


 手術は問題なく終わったこと、摘出した扁桃腺を見せてもらったが梅干しみたいだったこと、梅干し?のうちの一個は、ぐじゃっとくだけていたこと。


「俺もよーわからんけど。ぐじゃっとなってる方は、膿んでたらしいで。今回取って良かったって、医者はゆーとった」


 夫はそんな風に言いました。


(えー? 外から見る分には問題ない感じやったのに、私の扁桃腺ってば陰に隠れてぐじゅぐじゅ膿んでたってこと? ……メンドクサイ奴。さすが持ち主?同様、性格悪いひねくれた扁桃腺やで)


 唾液飲むのもつらい状態で私は、まだ若干ボーッとした頭でそんなことを思いました。


 そりゃ、IgAも出るよね。メッチャ納得。

 でもさ、もっとわかりやすく病みたまえ、我が扁桃腺よ!

 隠れて病んでIgA出しまくって、勝手に腎臓目詰まりさせるんじゃねえ!

 普段から腫れていたらもっと早く、手を打ってたっちゅうの!


 行き場のない鈍い怒りにモヤモヤしましたが……今回、意味のない手術ではなかったので、良しとしましょう。……はあ。


 その後の顛末は『閑話② 治療・入院こぼれ話』に書いた通り、回復室で一夜を過ごします。

 認知症のおじいさんに往生している看護師さんへ同情をしているうち?に、夜が明けました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ほわぁ、間一髪でしたね!
[一言] 扁桃炎さんが密かに病んでたんですね (;^_^A 難しいかな、人体。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ