6 ステロイドパルス①
という訳で、腎生検の結果発表?の日がやってまいりました。
「IgA腎症ですね。あなたの場合、すでに結構、病状が進んでいます」
予約時間を大幅に超え(お約束♥)、腎臓内科の外来の診察室へ私と家族は呼ばれ、色白細面・怜悧な眼鏡を光らせた優男風ドクター(当時の私の担当医。腎生検を実施した医師でもある)に、開口一番、こう冷徹に告げられました。
「……はあ」
マジかー、と思いつつも今ひとつ実感のない私は、間の抜けた返事を返すしかありませんでした。
腎臓にめんえきぐろぶりんのアイジーエーとかいうのが詰まってるのか~、でもって、もう二度とソレは腎臓から取れないのか~ナンギやな~、と、頭の一部で考えてはいるのですけど。
正直、実感も危機感もさほどありません。
(今でもそうだと言えなくもないです。そもそも、出来ることが限られていますしね……)
だって……どうすることもできませんしねえ。
病名が確定したからといって、劇的に良くなるような治療法はほぼないのです、IgA腎症ってヤツは。
今のところ、この病へのアプローチは『とにかく長く現状維持させること』のみ。
医者が『頑張って現状維持を長く続けましょう』と言うのに従い、患者としては出来る範囲で頑張るしかないのです。
(まあでも、出来ることはもちろんやるけど、出来ないことは知らなーい)
私はこの時、そんな風に思っていました。
といいますか、私ずっとこのスタンスです、今もこの時も(笑)。
これでも基本、私はマジメな人間です。
しかし、あまりマジメに取り組むと息切れする、ことを、過去の失敗から理解しています。
そういう意味では、中年になり子供も産んだ後に病が発覚して、良かったのかもしれません。
もっと若かったら不治の病!を前に、必要以上に打ちひしがれていた可能性がありますしね。
さてさて、病名が確定したところで、今後の治療方針が出ます。
医療者の経験上、まず試みられるのはステロイド(ステロイドで免疫を抑えることで、免疫グロブリンのIgAの生成を抑制する)を多く投与する『ステロイドパルス』。
場合によれば、これだけで検査数値が改善する場合があるそうです。
その次に行われるのが、扁桃腺の摘出手術。
詳しいメカニズムは今ひとつ不明(私が聞いて理解した範囲では)ながら、扁桃腺を切除することでIgA腎症が小康状態になるのだそう。
仮説らしいのですが、免疫グロブリンのIgAは扁桃腺の炎症でたくさん作られるので、扁桃腺を切除することで免疫グロブリンのIgA……糸球体を目詰まりさせる物質の生成が劇的に抑制され、小康状態が長く続くことになるのだそうです。
私の体調等を見ながら、『ステロイドパルス』と『扁桃腺摘出』を今後、実施されることとなりました。
短いですが、キリがいいのでここで切ります。