DREAMBOOK
ライレンは湖月、南地区のマリアナと言う街で生まれた。生まれた時から魔力の量が異常なくらい多く変に周りから目をつけられるのは可哀想だと父と母はライレンをマリアナの街から外へ行かせることはしなかった。
ライレンの父親は湖月の兵士になる事をずっと求めていたが魔力が平均値より下だったためなる事が出来ずにいた。鍛錬といってもどういう鍛錬をすればいいかも全くわからず考え方を見直し街のためにボランティア活動を良くやっていた。そしてライレンが10歳の誕生日を迎える数日前に東地区に用があるといい出かけたがその道中で魔物に襲われこの世を去ってしまった。
父親が東地区に出かけた理由は東地区のどこかに魔力を外へ出さず封じ込めることができるアクセサリーがあると聞いたからだと母親から後々聞いた。そしてライレンは自分のために…いや自分のせいで父親は死んでしまったとひたすら、僕にもっと力があれば…と自分を攻め続け精神的に追いやられそれから約5年間もの間ほとんど部屋から出ず母親の作ってくれた食事だけを食べずっと眠っていた。
そしてそこから何度も何度も同じような夢を見るようになったと言う。
その夢の中でライレンは片手に分厚い本を持っていた。その本の中には色々な魔法の技、そしてライレンのオリジナルで生み出した技などが箇条書きで書いてありそれを読むことによりその技を発動出来るというものだ。ライレンは小さい頃から本が大好きで毎日のように母、そして父親からも読んでもらっていた。それが関係あるのだろうか。
「ん?その分厚い本は何?何が書いてあるの?」
ライレンが目を閉じた後の話。目を閉じるとライレンの左手に突如光が集まりだしそこにかなり分厚い本が現れた。その本の表紙には英語でDREAMBOOKと表記されていた。この名前を見てライレンは自分の思っていた能力になったと確信した。メギスはシルバーバレスの頭を撫でながらもかなり興味津々にライレンの本を見つめている。
本を開くと箇条書きですでにいくつかは文字が書かれていた。目を通していくと自分が夢の中で使った記憶がある魔法(ライレンオリジナルの技)ばかりが書かれている。いかにも子供が考えそうな技も書いてあり少し恥ずかしくなる。
「うわっ…これもしかして現実で、この世界でも使えちゃうのか?だとしたら相当強い。と言うか恐ろしいとも思えるよ。下手に他の人に能力者を教えるのは絶対にやめた方がいい。俺もこれは見なかった事にするから。その代わりライレンも俺の能力は秘密な!約束できる?」
「あぁ。約束するよ。君の能力を俺は見ていない事にする。流石に僕もこの能力は秘密にしていたい。凄いのは分かるけど使いこなせなきゃ見せかけもいい所だけどね…」
本に書かれていたいくつかの魔法。その中でも特に目立った技はと言うと
1.雷鳴 自分が狙ったところに何発でも雷を落とすことができる。雨が降っている時でないと使用不可
2.ドラゴン 自分が口笛を吹くとドラゴンが現れる。いっぺんに呼べる数は1匹のみ。吹いた場からいちばん近くにいるドラゴンが出現し味方になってくれる。
3.自動回復 自分が怪我をした時自動で治療され回復する。魔力をかなり消費されるため注意
4.透明人間 指を鳴らすと自分の姿を消すことが出来る。尚透明になっている時は相手も触れることは出来ないが自分も他のものに触れることはできない。技も同じである。
他にもいくつかの能力が記載されている。いずれこれらの能力も使う時がくるだろう。夢の中で使った記憶は確かにあるがこんなに詳しい詳細や注意点などは書かれていなかった。
きっと現実で異能力として使う事になったため自動的に追加されたのであろう。魔力量が沢山あるとは言えどれ程度使うことができるのか魔力はちゃんと持つのか不安点は色々あるためフェルマン城へ行く前に念の為調整が必要だとライレンは考えていた。