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奥さまは関西人

【妖精さんと「おまつり」】


公金は宗教行事に支出してはならない、というルールがあります。

ですから、

まつるべき神様仏様がいる伝統的な祭りは「まつり」と漢字表記し、

町おこしイベントのような、市が予算を付けられる行事は「まつり」とひらがな標記する、

というルールがあります。

今日はそんなお話です。


先週、「健康まつり」というイベントに参加した。

市民の健康増進のために頑張っている様々な団体が一堂に会し、

その上、血圧とか血管年齢とか無料で測ってくれたりする。

こうした時、「お得」という言葉に目のない小春は、必ずついてくる。

だが、議員という人種はみんなスーツにバッジをつけて挨拶回りに忙しい。


「あんたばかぁ?『運動の出来る格好で』って書いてあるじゃないの」

「いや、ボク開会式によばれているし・・・」

「それそれ、その開会式。チラシには『健康まつり9時半から』って書いてあるのに、開会式が終わるまでみんなオモテで待ってるわよ。がん検診の受付も9時半なのか10時からなのか解らないって言うし、予約が必要なら最初からそう言いなさいよ」

とまあそんな調子で叱られた。


そのうち「〇〇ガン検診は予約無しで受けられます。どうぞお並びください」という放送が入った。

おお、良かったねと言うと、もうマッサージ予約したからと整理券を渡され、鍼灸師組合さんのブースに連れて行かれた。

腰に、無料でハリまで打ってもらえた。


「あとはスタンプラリーね」

ティッシュやら富士山のおいしい水やら、どんどん手に入って、奥様はすっかりご満悦である。


うん、そうだね。こういう時は楽しまなくちゃ。


「おっかしいわね?『まつり』なのに模擬店がないってどういうこと?たこ焼きぐらい売りなさいよ」

最後までこの調子である。そういえば去年は、焼きそばとかたこ焼きとかあったような気がする。どうしたんだろう。

市の財政も、なかなか厳しいものがあるからなあ。

しかし一方で、地域おこし、町おこしで成功しているイベントもある。

年々賑やかになって、人が集まれば、市への予算請求も年々強気になる。

そうした「予算」を握っているのが、実は「議会」なのだ。


地域の人たちの創意工夫で成り立つ「まつり」というイベント。

しかし、中にはまるで、自分が予算を分捕ってきた、というような顔をする人種もいる。

地域のボス。そういう人が市議会議員に立候補することも多い。

だって、「大選挙区制」の下では、そういう人は当選しやすいからね。


陽生は「産業委員長」なので、イベントには必ず呼ばれる。

今日はそうした地域の一大イベントに呼ばれた。

開会式の前に、りんご飴とか、チョコバナナ食べながら、知り合いの出してる店をからかって歩く。。

小春にもお土産買わなくちゃ。これとか似合うかな。花火大会は何時からだったかな。

うろうろしていたら、その地域のボス、A議員に後ろから肩をつかまれた。


「オレの地元で何してるんだ」

かなりお酒が入ってるようだ。

「招待客名簿にお前の名前はない。このまま法被を脱いで帰れ」

とまで言われてしまい、受付で借りた法被を無理やり脱がされた。


妖精さんは面倒なことは苦手。だから、そのまま帰ることにした。

クルマに戻って、しょぼんとして、うちに帰る・・・という妖精さん。


まあ、仕方ないよ。と慰めるオレ。


開会式を欠席しちゃったなあ。

後日、まつりの実行委員長にお詫びの電話を入れておこう。

そういうこともあるさ。

頑張れ妖精さん。


実は昨日、地元の神社の節分祭に出席しました。年男なんです。

そこで、奇妙なものを見てしまった。

豆撒きというより豆袋撒きなんですが、袋には時々当たり籤が入ってます。

(ビニル袋なので、撒いてる僕らにはどれ当りか解ってしまう)

豆撒き終了間際に、まだ少し残っている箱があったので、

これも撒いてしまおうと手を出したら

「それオレのだから」と睨まれてしまった。

結局その人は、当たり籤だけ選って、懐に入れて帰っていった。


豆撒きって、本厄の人が自分の「厄」を投げて、結界をくぐる時にそれが「福」に変わる。

その福を拾う行事だと聞いたけど、あの人は「厄」のまま持ち帰ってしまったわけだ。


その時、気が付いた

「あ!最近はやりの『桜を見る会問題』って、こういうことなんだ」

 

支援者にお金を渡したり、饗応したりすると、それは買収になる。

でも、当たり籤を知る立場なら、知らんぷりして支援者に配ることも出来る。

身内にだけ有利な取り計らいをする。


貰っている方は、それが「福」なのか「厄」なのか判らない。

妖精さんだけが知っている。

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