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怪盗の怪盗

 普段は閑静なオフィス街が、今晩は緊張に満ちていた。

 オフィス街の中心、クラーク・本社ビルの周囲が騒がしい。

 それもそのはず。ついに「あれ」がここにも届いたのだ……

 巨大なビルの周りをパトカーや警察官が囲み、上空をヘリコプターが飛び交っている。眩いライトがビルや地上を照らしている。バリバリという羽の音がやかましい。パトカーの中にはテレビ局の車も混じっていて、女性アナウンサーがリポートの準備をしている。

 そんな騒がしい外とは対照的に、ビルの中は静かだった。

 ビル最上階にある広い社長室は空気の音さえ聞こえるほど静かだ。窓際に大きなテーブル、華美な革張りの椅子があって、そこに商会の長、すなわちここオフィス街の長、クラーク氏が腰かけている。彼は背は高くないが、岩のようにがっしりした体の老人で、顔も身体同様に厳めしい。

 クラーク氏の両脇には黒いスーツ姿の謹厳な部下二人が立ち、さらにその傍らには警備員が立っている。

 部屋のドアは大きな板チョコのようで、そのドアの内外にも警備員が立っている。

 そのドアが僅かに開いた。外の警備員が内の警備員になにやら耳打ちをする。伝言を受けた警備員はクラーク氏のもとへ歩く。声をかけようとすると、眼鏡をかけたスーツ姿の部下がそれを遮り、用件は私を通してくれと言う。すると警備員は部下に耳打ちをする。そしてようやく、部下からクラーク氏に話が伝えられる。

「警察の方がお見えだそうです」

「うむ。通したまえ」

 クラーク氏が荘重な声音で言うと、再び部下から警備員、警備員から外へと伝えられる。

 しばし後、ドアが勢いよく開け放たれ、妙な格好の女警部が、意気揚々と入ってきた。警部に従って二人の部下も入ってきた。

 入ってきた二人の刑事は精悍な顔つきの青年、壮年男性で、スーツの上に薄汚いコートを羽織った、どこにでもいるような警察官だ。

 ところがその二人を従える警部はなんとも妙だった。

 純白のレオタード一丁で足元は裸足、髪はつややかな金髪ロングヘア。

 得意げににやにやする幼い顔とちっちゃな背丈はまるで少女、いや幼女。

 彼女は部屋の真ん中に立ち止まり、「むん」と胸を張ってクラーク氏と相対した。

「北城ゆりあ警部なのだ。よろしくなのだ」

 それはまるで、警部ごっこをする子供のような口調と態度だった。

 クラーク氏は簡単に答えた。

「よろしく」

「ふむ、ふむふむ」

 ゆりあ警部は嬉しそうな顔をすると、「むん」と右隣の刑事を顎で使った。刑事はすぐにコートの内ポケットから招待状のようなものを取り出して、クラーク氏に見せるようにして手に持った。

 ゆりあ警部はそれを指差しながら言った。

「さてクラークさん、再度確認するのですが、あなたのもとに届いたのはこれで間違いないですな?」

 その紙にはこう書かれていた。

『六日夜九時、「嘆きのピンクタイガー」を頂きに上空より参上する』

 そしてその横書きの文章の下には、差出人を告げるマーク、ムチを持ったSM嬢をデフォルメしたような二頭身キャラクターのマークが刻印されていた。

「ああ」

 とクラーク氏は答えた。

 ゆりあ警部はにやりと笑った。

「では間違いありますまい、これはヤツのものです」

「だろうな」

「ヤツを追い続けているわたしが言うのだ、これはヤツの送って来たもので間違いないのだ」

「知っとるよ。よぉくな」

 クラーク氏が静かに答えると、ゆりあ警部は何を勘違いしたのか、ふむふむと得意げに頷いて、こう言った。

「そうご緊張なさらず。ご安心くだされ。わたしが来たからにはもう大丈夫なのです。必ずや、ヤツに手錠をかけ、御所望であれば亀甲縛りにして、クラークさんの前に跪かせてやりますのだ。むろんピンクタイガーには指一本触れさせませんのだ。なんてったってわたしはヤツの逮捕に執念を燃やす――」

 そこでクラーク氏は、知っとるよ、と呆れたように言った。

「怪盗、サイケデリック・ロリータ逮捕に執念を燃やす幼女警部北城ゆりあ氏。――ロリータを追い続け、幾度も窮地に追いやるも、寸でのところで取り逃がす、ぽんこつ刑事だ」

 ゆりあ警部は不愉快そうな顔をした。

「むむ……それは何も分かっていない新聞記者の評価なのだ。わたしはロリータを唯一追い詰めることの出来る敏腕警部なのだ」

「そんなことは知らんのだよ。捕まえられるか、捕まえられないか、どちらかじゃないのかね? 捕まえられないお前さんはぽんこつだ」

「な、なんだと!」

 クラーク氏は静かな声で「刑事さんのお帰りだ」と言った。部下は軽く両腕を広げて、押しやるように刑事たちに迫った。刑事二人は素直に下がったが、ゆりあ警部は下がらなかった。部下が警備員に合図して、ゆりあ警部を取り押さえさせた。ゆりあ警部はわきを抱えられ、じたばたと手足を暴れさせた。

「信頼に欠ける警察などいらんのだよ。帰りたまえ。ピンクタイガーは我々で守り、ロリータは我々が捕まえる。うちには優秀な人間が多いのでな。君たちは外で見張りでもしているといい」

「なーっ! なにを言ってるのだ、わたし無しでロリータと対等に戦えるとお思いか? ピンクタイガーを守れるとお思いか? それは高慢なのだ、クラークさん、高慢なのだ、わたしを保管庫の前に置くのだ! クラークさん――」

 ゆりあ警部は部屋の外に引きずり出された。ドアがバタンと音を立てて閉まった。部屋は静かになった。かわりに部屋の外が騒がしくなった。

「なんなのだ、なんなのだ、あのクソジジイ、さっさとくたばってしまえばいいのだ、わたしは、わたしは……ふええええええん、ふえええええええん!」

 ゆりあ警部は子供みたいにびいびい泣いていた。それを宥める刑事の声が聞こえてきた。刑事二人がゆりあ刑事を抱えて行ったのか、泣き声はじょじょに遠ざかり、小さくなった。

 それから一時間ほど経った時だった。

 ビルは突然の停電に見舞われた。室内は真っ暗になった。周囲はしんとしていて、人が動く気配はなかった。数分後に電気は回復した。

 直後、ばたばたと慌ただしい足音が廊下から聞こえてきた。社長室のドアが勢いよく開け放たれ、ワイシャツ姿の若い社員が入ってきた。彼は息を切らしながら、叫ぶように言った。

「や、やられました! ピンクタイガーが盗まれました! さらに、警備員や社員が何人も殺されています!」

 若い社員はちょっと息を整えて、すぐに続けた。

「ロリータです、ロリータにやられました!」

 

 

 ――同時刻。

 オフィス街から車で三十分の位置にあるクラーク邸にて、誘拐殺人事件があった。

 クラーク氏の孫娘である十六歳のクラーク嬢が何者かに連れ去られ、彼女を除き、屋内にいたすべての人間が射殺された。

 警察がやってきて、現場検証が始まった。

 リビングのテレビが事件以前からつけっぱなしになっていた。ロリータVSクラーク商会の生放送が依然続いていた。クラーク商会本部ビルの前でリポーターが慌てたような口調で最新ニュースを伝えていた。

「クラーク商会長、クラーク氏の邸宅が何者かに襲われ、親族社員含む十六名が射殺されました。犯人は嘆きのピンクタイガーを盗み、クラーク商会社員警備員を射殺して逃亡したロリータと思われます。ロリータはクラーク氏の孫娘、マリアさんを誘拐し、依然逃亡中です。近隣のみなさんは警戒してください。繰り返します――」

 パトカーのサイレンがにわかに騒ぎ出した。



     一章



 じめじめした陰鬱な下水道。ときおり天井から雫が滴り、ぴちょんという音が反響する。辺りは真っ暗だ。

 そこを、一人の少年が懐中電灯を片手に屈むような姿勢で歩いている。きょろきょろと不安げにあたりを見回しながら、蛇のお腹の中みたいだと、羽野は思った。

「ねえロリータ、やっぱりやめましょうよ」

 いかにも臆病そうな声に、羽野の数歩前を歩く少女は、振り返らずに答えた。

「ぐずぐずうるさいわね。黙ってわたしの足元を照らしなさい、ハノー」

「ですから、僕はハノーじゃなくて羽野ですって。何度言えば分かってくれるんですか」

「羽野って呼びにくいのよ。いいじゃない、ハノーで。あなたはハノー」

「じゃあせめてイントネーション変えてください。それじゃまるで外国人です。ほら、狩野をカノーっていうみたいに……」

「カノー? 変なイントネーションね。それにあなたは外国人でしょ。いいじゃない、ハノーで」

「そりゃ、ロリータから見たら日本人の僕は外国人かもしれないけど……そうじゃなくって、その……」

 ぶつぶつ呟く羽野にかすかな苛立ちを覚えたロリータは、くるりと振り返って俊敏に羽野との距離を詰め、懐中電灯をひったくると、一人でずんずん歩いて行ってしまう。

「あなたといたら夜が明けてしまうわ」

「あ、ちょっと」

 明りを失って不安になった羽野は、泣きそうな声で言った。

「待ってくださいよぉ、ロリータぁ」

 ぴちゃぴちゃと、哀れな足音がロリータの後を追う。

 ロリータに追いつくと、羽野は彼女にぴったりくっつくようにして、彼女の斜め後ろを歩いた。

「ねえロリータ」と羽野は声をかけた。

「なにかしら」

「空より参上するんじゃなかったんですか? 僕たち、まるで反対のことをしてるじゃないですか」

 不気味な下水道を渋い顔で見回す羽野に、ロリータはやはり振り向かずに答える。

「相手はクラーク商会よ? バカ正直にやっていても勝てないわ」

「ウソついたんですね?」

「そうよ」

「うわぁ、見損ないましたよ、ロリータ。僕たちの正々堂々精神はどうしたんですか」

「いままで正々堂々やってきたからこそ、今回のウソが効くんでしょ?」

「まあ、それはそうですけど……」

「優等生欠席理論よ」

「なんですか、それ」

「普段皆勤の優等生がたまにサボっても、説明する前に先生が風邪だったのかって聞いてくれて適当に頷き返してそれで終わっちゃうってやつよ」

「……空からって宣言しているのに地下から行くのは、明らかに卑劣ですよね。理論適用外ですよね」

「うるさいわよ、ハノー。そんなことはどうでもいいのよ」

「どうでもいいならなんでそんな的外れな理論を持ちだしたんですか」

「気分よ」

 気分ですか、と羽野は呟いて、疲れたように背中を丸めた。

 と、羽野は何かにぶつかった。驚いて身を引いた。彼がぶつかったのはロリータだった。彼女は立ち止まって左の壁を見上げていた。羽野は「いつつ……」とおでこを撫でながらロリータを見た。

「どうしたんですか」

「ここよ」

「クラークビルに繋がるところですか」

 羽野は壁を見上げた。汚い灰色のコンクリートで、足元から三メートルほどの高さの所に、鉄のハシゴがある。地上へと繋がっているのだろう。

 ロリータは羽野に懐中電灯を手渡して、ハシゴの方を指差した。

「照らしなさい、ハノー」

 羽野は言われるままに、ハシゴを照らした。するとロリータは身軽にジャンプして、三メートルも上のハシゴにぶら下がった。一つ二つと上って行き、鉄を握り鉄に足を掛け、優雅に羽野を見下ろす。片手で懐中電灯を寄越せと指示し、羽野はそれに従って懐中電灯を投げる。受け取ると、ロリータはさらに上へ進み、足元のハシゴを照らした。

「飛んできなさい、ハノー」

「む、無理ですよ……!」

 ロリータは呆れたように息を吐いた。

「何度同じことを繰り返させるつもりかしら。いやになっちゃう。――あなたの腰にぶら下がっている刀はなんのためにあるの、ハノー。さっさと握って構えなさい」

 羽野は困惑顔をした。

「でも、でもですね、刀持ったくらいで、そんなにジャンプできるもんじゃないですよ。僕は所詮こんなやつで、えっと、その……」

「さっさとしてよね。置いて行くわよ、ハノー」

「わ、分かりましたよ、待ってください」

 羽野は腰の鞘に納めた刀に手をかけた。刀に手をかけると、ふいに力がみなぎるのを感じた。彼はジャンプして、ハシゴを掴んだ。

「ほら行けるじゃない」

「はい。刀を持つと、身体に力がみなぎってくるんです。でも、それも気のせいなんじゃないかなって思えて、よく分からなくて、それでですね――」

「説明が長いのよ、ハノー。これだからあなたって人は嫌になっちゃうわ。そういうときはね、ハノー、一言で言いのよ。爽やかな顔で『飛べましたよ、ロリータ』」

 羽野はたしかにそうだと思って、朗らかな顔でロリータを見上げた。

「飛べましたよ、ロリータ!」

「こっちを見るなハノー!」

「ぶへっ!」

 ロリータは羽野の顔を踏みつぶすようにして蹴っ飛ばし、羽野をハシゴから地面に突き落とした。

「パンツが見えちゃうじゃない、このヘンタイ。さあ行くわよ、しっかり働きなさいよね、ハノー」

 ロリータはそう言って、素早くハシゴを上って行ってしまう。

 羽野は「いてて」と漏らしながらお尻を撫で、ロリータを見上げた。ロリータが遠ざかって行くのを見ると、飛び上がるようにして立ちあがり、泣くような声で言った。

「待ってくださいよぉ、ロリータぁ」

 羽野は再度ジャンプし、ハシゴを掴み、急いでロリータの後を追った。

 ハシゴを上っていくと突き当りに行き着いた。ロリータは少しばかり探るような手つきで天井を押した。それが厚い鉄のフタであることを確信すると、フタの裏に片手を突き、腕を伸ばし、足を踏ん張って、マンホールのフタを押し上げた。音が立たないように慎重に押し上げ、勢いでフタをひっくり返すようなことはせず、フタと地面との隙間から這い出るようにして地上へ出た。

 そこはクラーク本部ビルの裏庭だった。裏庭と言ってもそれなりに広く、よく手入れされた芝生が広がっている。前方はブロックのような木々が並んでいて視界を遮っている。振り返ってみると、魁偉なビルが夜空に向かって竹のように伸びていた。上空をヘリコプターが飛んでいる。バリバリという羽の音に、ロリータは眉をひそめた。彼女はマンホールのフタを外し、臆病な表情でこちらを見る羽野を手招いた。

「急いで。長居はしてられないわ」

 羽野はいそいそするあまり却ってのろまにマンホールから地上に出た。そのまま芝の上に四つん這いになって大きく息を吐く。そんな彼の頭を、ロリータは引っ叩いた。

「長居してられないって言ってるでしょ。ヘリに見つかっちゃうわ」

「うう、ロリータぁ」

「なによ」

「やっぱり、帰りませんか?」

 ロリータはため息を吐いた。

「あなたはいつもいつもそう。嫌になっちゃうわ。ほら、行くわよ」

 そう言って、彼女は背を向けてビルの方へ歩き出す。羽野は何度かロリータとマンホールとを交互に見、やはり泣きそうな顔で「待ってくださいよ、ロリータ」と彼女の後を追った。

 ビルの裏側は人に見られないからか、一階部分は地味なねずみ色のコンクリートの壁で、そこに中へ繋がる黒の鉄扉がついている。ロリータがその扉に手をかけた時、彼女の目は眩しさを感じた。横を向くと、離れたところに、懐中電灯を持った警備員の姿があった。ライトは羽野の顔を照らしていた。羽野はおろおろしていた。

「誰だっ!」

 警備員の声に、ロリータは「しまった」と漏らし、それからすぐに「斬りなさい、ハノー」と言った。すると羽野は平生の彼からは想像出来ないほど素早く男らしく、刀を脇腹のあたりに構え、警備員のほうへ駆けて行った。その速度はまさしく疾風神速だった。目にも止まらぬ速さで疾駆し、男の首に的確な一太刀を浴びせた。峰うちである。警備員は何が起こったのか悟る前に、地面に伏して気絶した。

 ロリータは鉄扉を開けて、身を半ば屋内に入れながら、羽野が戻ってくるのを待った。彼が戻ってくると、ロリータは慎重に屋内を覗きながら、中へ入った。羽野もそれに続いた。

 裏口部屋だからか、照明はなく、暗かった。かなり狭いスペースで、正面のドアの上に非常口を示す緑色に光る看板があり、その脇には階段があって、階段は裏口に向かって上へ伸びている。かなり急な角度の階段だ。非常階段だろうか。ロリータたちの立つ裏口扉前からは、ちょうど階段の裏側が見える。階段下の影の濃いスペースにパンパンになった大きなビニール袋がたくさん積まれている。ひとまず安全であるのを確認すると、ロリータは先程のことを褒めた。

「よくやったわ、ハノー」

「あ、え、ああ、はい」

「あなた無駄に声を出し過ぎよ」

「ええ、はい、すみません」

「もう。もっと自信を持ちなさいよ」

「いえ、自信なんて、僕なんてまだまだですし、ほんと、未熟者ですし」

「はあ。嫌になっちゃうわ。ハノーの謙遜」

「べっ、べつに謙遜してるわけじゃなくて、ほんとにそう思ってるんです、僕は未熟者で、ええと」

 ロリータは辟易して、嘆かわしげに額を触った。

「もういいわ、ハノー。それより、どっちだと思う?」

「階段とドア、ですか? そうですね」

 羽野は顎に手を当て、難しそうな顔で考えた。

「よく分かりません」

「使えないわね」

「すみません」

「いいわ。階段から行きましょう」

「どうしてですか」

「階段の方が安全に上まで行けそうじゃない」

「はあ」

 ロリータは足音を立てぬように素早く歩いて、階段を上り始めた。段の幅が狭く、一つの段が高い、上りにくい階段だ。羽野はそれに続きながら言った。

「でもクラーク商会ですよ。非常階段が無用心とは限りませんよ」

「赤外線でもついているっていうの? なんのための非常階段よ」

「いやあ、よく分かりませんけど、安全に見えるぶん、警備員を多く配置しているとか」

 しばし歩いた。二階の踊り場を通過し、三階へ上がる途中、ロリータはぴたりと立ち止まった。羽野は不思議そうな顔で尋ねた。

「どうしたんですか、ロリータ」

 ロリータは隣の階段――階段は折れ曲がるように四角い螺旋状になっている。隣とはつまり上へ繋がる――をじっと見つめ、それを指差し、答えた。そこにはほとんど目立たないセンサーがついていた。

「ご名答よ、ハノー。センサーがついてるわ」

「やっぱり。いままでもついていたんでしょうか。それじゃ、僕たち、もう見つかって……」

「いえ――作動していないわ、このセンサー」

「えっ。それじゃなんのためのセンサーなんですか。ああ、やっぱり非常口だから消してあるんですかね。逃げる人がセンサーに捕まったら大変ですからね」

「あなたはマヌケね、ハノー。怪盗が来るって分かっているのに、作動させない人があるかしら?」

「あっ、たしかに。じゃあ、なんで」

「分からないわ。けれど――」

 ロリータは四角い螺旋状の中心にある隙間から、上を覗いた。人の気配はない。かすかに空気の流れる音がするだけで、森閑としている。その静けさが、ふいに不気味に感じられた。

「とりあえず、進むわよ」

「はい」

 階をあがるにつれて、二人は無言になった。最上階に近づけば近づくほど、警戒も増すからだった。

 七階の踊り場を通過し、なおも慎重に上って行き、八階の踊り場に着いた時だった。

 ロリータがかすかに声を漏らし、固まった。彼女は足元にじっと目を止めている。

「どうしたんですかロリー……」

 羽野は彼女の背後から顔をのぞかせた。ロリータの足元を見ると、驚きに声を詰まらせた。

「あ、あ……」

 ロリータはゆっくりと振り返って羽野を見た。彼女には珍しく、表情に緊張が走っていた。

「間違いないわね」

「誰か……?」

 と羽野は震える声で問い掛けるように言った。ロリータは小さく頷いた。

「ええ、誰かいるわ」

 八階の踊り場、ロリータの足元に、額を撃ち抜かれた警備員の死体が横たわっていた。非常口を示す緑色のライトが、死体をおぼろに照らしていた。

 警戒心を一層強め、なおも階段を進んだ。それから毎度、踊り場に死体があった。同じように額を撃ち抜かれた死体が。羽野はそれを目にするたびに、臆病な声を漏らした。幸い、暗いから死体の姿ははっきり見えなかったが、血なまぐさい臭いだけはいやでも感覚を刺激した。羽野は吐き気を感じたが、実際に吐くほどでもなかった。

「ロリータ、怖いですよ」

「敵からすればあなたの方がよっぽど怖いわ、ハノー。あなたはニンジャだもの」

「ニンジャじゃないですってば。サムライの子孫です」

「ハノー・ヨシタカだったかしら」

「そうです」

 羽野は誇らしげに続けた。

「偉大な剣豪、羽野義孝の子孫です。歴史上、あんまり有名ではないので、ほとんど知られていませんけど。でも、歴史が全てじゃないんです。僕は思うんです。実は歴史に名前が残っていない人の方がずっとすごくって、頑張っていたんだって」

「どうかしらね。もう過ぎたことよ、歴史なんて。誰がすごかったかなんてわたしたちには分からないわ。過ぎたことは全て文字になってしまうんだもの。ただわたしに分かるのはね、ハノー」

「はい」

「あなたが素晴らしいサムライだってことだけよ」

「――はいっ!」

「大声出さないでくれるかしら」

「あっ、すみません」

 やがて二人は行き止まりにぶつかった。階段は踊り場で途切れ、見上げると目の前に灰色の天井があった。

「最上階かしら」

「それにしては早くないですか」

「そうね。まだ三分の二、少なくとも半分ってとこね」

「それじゃ、帰りますか?」

「なんでそうなるのよ。ここからが勝負よ。気を引き締めて」

「……はい。頑張ります」

 ロリータは太ももに巻いたベルトから拳銃――ワルサーPPKを抜出し、サイレンサーを装着した。そして片手で銃を構えながら、慎重にドアを開けた。隙間から明かりがさし込んできた。ロリータは目を細めた。天井に白い蛍光灯がびっしり並んでいる。それを受けた硬質な床がつややかに光っている。中は静かで、左に廊下が伸びている。等間隔に、高級感のある茶色いドアが並んでいる。ドアを徐々に開けていくと、正面にも廊下が伸びている。その先には休憩スペースと思しき空間がある。観葉植物やソファ、自販機などが整然と並んでいる。

「ハノー」

 とロリータは合図した。羽野は緊張の面持ちで刀を構え、右のほうを向きながら、カニ歩きで、ロリータの脇を通って中へ入った。ロリータは羽野の背後から敵が来ても対応できるように、銃を構える。

「わあっ……」

 中へ入った羽野が声を漏らし、後ずさった。目を丸くして、右側、つまりロリータから見てドアの死角の方を向いたまま、一歩二歩と後退する。ロリータは急いで中へ入った。そして羽野の見ている方を見た。……床に額を撃ち抜かれた警備員が倒れていた。二人はごくりと唾を飲み込んだ。

「気を引き締めて集中よ、ハノー」

「はい……」

 二人はまず上へ繋がる階段を探して歩いた。至る所に死体が転がっていた。中にはスーツ姿の死体もあった。社員が撃たれている……

 早々にエレベーターを見つけたが、二人は階段を探して回った。エレベーターを使ってしまっては、自分たちの存在を相手に知られてしまう。上へ上ってドアがチンと開いたところで蜂の巣あるいはお縄だ。

 やがて階段を発見した。広くて、一段一段が低い、上りやすい階段である。

 幅広の、傾斜の穏やかな階段を上りながら、羽野は尋ねた。

「誰がこんなことしてるんでしょう」

「さあ」

「やっぱり逃げましょうよ。僕たちが犯人扱いされちゃいますよ」

「だめよ。予告したからにはピンクタイガーをいただかなくちゃ、怪盗サイケデリック・ロリータの名に傷がつくわ」

「傷なんていくらついてもいいじゃないですか。殺人犯扱いされたらおしまいですよ」

「大丈夫よ。わたしたちは人を殺さない主義なんだから。今度こそ優等生理論よ」

「そうですけど……」

「少なくとも、ゆっつぁんはわたしたちのことを信じてくれるわ」

「ゆりあ警部ですか」

 羽野はあの幼女警部のことを思い浮かべた。金髪ロングヘアに真っ白いレオタード姿の小さな体。子供みたいに叫びながら、自分たちを執拗に追いかけまわす幼女警部。幼女といっても、実際は年齢不詳で、何歳なのかは誰にも分からない。だが見た目は誰がどう見ても少女、幼女なので、みな彼女のことを幼女警部と呼んでいる。彼女は日本人とドイツ人のハーフで、「ゆりあ」という名前は、本来なら「ユリア」なのだろうが、ひらがなの方が日本っぽいということで「ゆりあ」なのだそうだ。

「あの人、ぽんこつだからなぁ。大事なところで手錠持ってないことに気付いたり」

「ぽんこつでも勘と熱意だけは一流だわ」

 そろそろ最上階に着くころだった。

「そろそろおしゃべりはおしまいよ、ハノー」

 ロリータがそう言う時のお決まり通り、羽野は無言でそれに答えた。

 階段はこの踊り場でおしまいだ。階を示すプレートを見ると、最上階の数字が記されている。先へ進むと、床は臙脂色の布地である。この階は真新しいカーペットのような匂いがする。しかし不穏な感じがし、しばらく進むと、やはり額を撃ち抜かれた男性が倒れていた。ピンクタイガー展示保管室へ歩いて行くと、その道中、誰かの足跡みたいに、死体が点々と横たわっていた。

「ねえ、ロリータ、もしかして……」

 羽野は、ピンクタイガーがすでに何者かに盗まれているのではないかと言おうとした。ロリータもそれを感じていた。保管室の前に立って、それは確信に変わった。厳重なセキュリティのついた堅牢なドアは、かすかに開いていた。ドアを開けて中を覗くと、部屋の中央に防弾ガラスで出来たショーケースがあり、どうやって盗んだのか、ケースはそのままで、中身はきれいさっぱり無くなっていた。ケースの脇にはやはり警備員と社員が倒れていた。これまで同様、監視カメラは破壊され、保管室特有のセキュリティシステムも破壊されていた。

「なにが……なにが起こっているんでしょう」

 ロリータは悔しそうに歯噛みした。屋内に入って不自然さに気付いてからうすうす感じていたことが、実際に起こったのだ。

「わたしたちの犯行予告に乗じて乗り込んできたやつがいる」

「じゃ、じゃあ――」

 その瞬間、唐突に部屋の明かりが消えた。それだけでなく、廊下の明りも消えていた。あたりは忽然暗闇に包まれた。

「て、停電……? なんで今……?」

 ロリータは羽野の腕を掴んで物音を立てぬよう走り出した。

「ハノー、さっきあなたが言おうとしたこと。それに違いないわ」

「さっきって……」

 羽野は走りながら考えた。停電のショックで直前の記憶が飛んでいた。少しして、彼は思い出した。愕然として、彼は言った。

「僕らに罪を被せようとしているやつがいる……?」

 ロリータは苦々しげににやりと笑った。

「その通りよ、ハノー」

 二人は全力で、羽のように軽やかに階段を駆け下りた。

 社内を駆け抜け、非常階段にすべり込み、各々武器を構えながら、迅速に駆け下りる。人の気配はなく、滞りなく中腹部まで下りたときに、停電が復旧し電気照明が回復した。

 外へ出た。裏口の扉を開けて外へ出た先に何かが転がっていた。先頭を行くロリータはそれに躓いて、転びそうになりながらも、身軽にぴょんと飛んで体勢を保った。ロリータに続く羽野はと言うと、見事にそれに躓いてすっ転んだ。転がっているそれを見て、羽野は声を上げた。

「け、刑事さん」

 芝生の上に倒れていたのは、ゆりあ警部の部下の若い刑事だった。仰向けに倒れていて、左手で胸の下あたりを押さえている。顔に脂汗を浮かべ、苦しそうに息を吐いている。腹を押さえている手を見ると、べっとりした赤い血にまみれていた。

 羽野は顔見知りの危機的状態をぶるぶる震えて見ていたが、ロリータは早くも背を向けてマンホールの方へ走っていた。

「ロ、ロリータ!」

「うろたえている暇はないわ、ハノー」

「で、でも!」

「逃げないとわたしたちが捕まってしまうわ」

「だって、苦しんでるんですよ。ほら、まだ息がある。僕たちがこのまま逃げたら、刑事さんは死んじゃうかもしれませんよ」

「早くしなさい、ハノー」

 ロリータはマンホールのフタを開けながら、羽野を振り見て手招いた。

 羽野はおろおろしながらロリータと刑事をと見こう見し、やがて悩ましげに眼を閉じて俯いた。眉根に深いしわが寄っている。――彼はぱっと目を開くと、刑事の肩のあたりを掴んで引きずり始めた。

「何やってるの、ハノー!」

「人目につくところまで運びます」

 頑強な物言いと表情を見て、ロリータは嘆息した。彼女は羽野の方へ小走りし、彼をを手伝い、刑事の太ももの辺りを持ちあげた。

「ロリータ」

 と羽野は嬉しそうな顔をする。ロリータはつんとした感じに答えた。

「これだからハノーは嫌になっちゃう」

「君たち……」

 刑事が苦しげに息を吐くように言った。

「ありがとう……でもすぐ逃げて……」

 刑事の口にした「逃げて」の言葉に、二人は怪訝な顔をする。刑事は説明した。

「警部が、ここはにおうから見張っていろって……そしたら、扉の中から物音がして……中を覗いたら警備員が撃たれているところで……」

 刑事はちょっと息を吸ってから続けた。

「ブロンドの男だ、若くて綺麗な……そいつと目が合って……」

「撃たれたんですね?」

「ああ……でも弾切れだったみたいで、息の根止めずにすぐ逃げた……そいつ、パンツと銃を持っていた……」

「パンツ――嘆きのピンクタイガーね?」

 ロリータの声に、刑事は弱弱しく頷いて「おそらく」と答えた。

「だから、早く逃げて……捕まったら殺人犯だ……」

「いえ、このままあなたと一緒に警察の所へ行けば、僕らの潔白が証明されるじゃないですか」

「あなたはバカね、ハノー。どちらにせよ逮捕されてしまうわ。わたしたち、怪盗だもの」

 刑事はかすかに笑った。

「そうだよ、君たちを捕まえるのは警部なんだ、こんなところで捕まっちゃダメだ、それに……」

「それに?」

「ぼくはもう助からない……そんな気がするんだ……」

 だから、逃げてくれ、と刑事は言った。

 すると羽野は「そんなことありませんよ」と元気づけた。

 もうすぐそこに、ビルの角があって、死角からこちらに眩い光が差し込んでいる。きっと助かる。羽野は、濃い影に覆われた裏庭から、希望を持って光を見つめた。ところがそこへ、ビルの角から、忽然と小さな姿が現れた。

 長い金髪がふわりと揺れ、きらめいて、ふさりと落ちる。すこし間があって――相手の姿を確認するのにしばし時間が要ったのだろう――、先に声をあげたのは、ロリータだった。

「ゆっつぁん……」

「あーっ! みーつけたのだ、ロリータ!」

 八重歯をきらりんと光らせ、ロリータをびしっと指差す。続いてゆりあ警部はレオタードの胸元に手を入れ、指先が敏感な部分に触れてしまったのか、ちょっとくすぐったそうに身をびくっとさせ、それから何かを掴むと、胸から手を抜いた。ゆりあ警部は、得意げな顔で、手錠をロリータたちに見せた。

「ふん、見るのだ。今日こそは手錠をしっかり持って来たのだ」

「そんな場合じゃないんですよ、ゆりあ警部!」

 言うと、羽野はロリータに合図して、抱えていた刑事を芝の上にゆっくり下した。

 ゆりあ警部はそれをぽかんとした表情で見届けてから言った。

「なんなのだ、それは」

 羽野が答えるより先に、ロリータは「逃げるわよ」と羽野の腕を引っ張る。

「あっちょっ、ロリータ。ええと」

「待つのだロリータ!」

 ゆりあ警部が手錠を振り回しながら駆け出そうとする。

 羽野はロリータに続いてマンホールの方へ走りながら、警部の方を振り向いて、大きな声で言った。

「待ってくださいゆりあ警部! その人はゆりあ警部の所の刑事さんです! 危ない状態なんです、すぐに病院へ運んであげてください!」

「なんだと?」

 ゆりあ警部は慌てて芝に伏す部下のもとへ駆け寄った。顔を確認し、撃たれているのを確認すると、警部は顔を上げて逃走者たちを睨んだ。

「まさか、逃げるために撃ったのか? 卑怯なのだ!」

「違いますよ! とにかく、病院へ急いで!」

 ゆりあ警部は追うか追うまいか須臾の間逡巡したが、すぐに部下を抱えて立ち上がった。

「後で覚えているのだ、貴様らは許されないことをしたのだ!」

 ロリータはすでにマンホールのフタを開け、半ば身を隠していた。頭をひっこめる前に、ロリータは叫んだ。

「ゆっつぁん、信じてくれるわね!」

「なにがなのだ!」

 しかしロリータがそれに答えることはなく、彼女はマンホールに姿を消した。続いて、羽野はためらうようにゆりあ警部を見つめてから、マンホールに姿を消した。

 憤るゆりあ警部に、抱きかかえられた刑事は言った。

「ちがいますよ警部……」

 突然の声にゆりあ警部は驚いたように部下を見た。

「なにがなのだ」

「警部、言ってたじゃないですか……やつは正々堂々盗んで行くだけの理想の怪盗だ、だから追いかけ甲斐があるんだって……」

「むむ……」

 ゆりあ警部はしばしその言葉の意味を考えた。答えはすぐに出た。部下を撃ったのはロリータではないということだ。

「ぼく、見たんですよ……」

「何をなのだ」

「パンツと銃を持った、ブロンドの、若い男……」

 そこで刑事は苦しそうに息を吐いた。

 ゆりあ警部は急いで彼をパトカーのところまで運んだ。そして大事に備えてクラークビルの外に待機していた救急車に連絡し、部下を救急隊員に任せ、自分は現場に残った。

 あまりに唐突で意想外な出来事だったからだろうか。今になって、ゆりあ警部は先程のやり取りを眼前に見るように鮮明に思い出した。部下を抱えて光の方へ向かっていたロリータたち、撃たれた部下、「早く病院へ」、「信じてくれ」、そして部下の言ったこと。パンツと拳銃を持ったブロンドの男。パンツというのは嘆きのピンクタイガーのことだろうか。ということはパンツを盗んだのはそのブロンドの男で――

「やられました! ピンクタイガーが盗まれました! 加えて被害者多数名です! 全員額を撃ち抜かれているので被害者と言うより――」

 ビルから出てきたスーツ姿の必死な声が、ゆりあ警部の鼓膜を揺すぶった。ゆりあ警部は愕然として彼の方を振り返った。場が騒然とする中、ゆりあ警部は佇立したまま呟いた。

「被害者、撃ち抜かれ、被害者というより――死亡……」

 どう考えてもロリータと関連しないそれらの言葉に違和感を覚える。

「ロリータじゃない」

 ロリータはそんなことをするやつではない。わずかにけが人が出ることはあるものの、軽傷で済ませるのがロリータだ。そもそもロリータは銃を撃つ必要などない。なぜなら彼女は「サイケデリック・ロリータ」だから。見る者を唖然とさせるほどの素早さで、相手の視界から消え去る……見る者に、いま目にしたのはロリータの幻覚だったのではないかと己の感覚を疑わせるほど敏速に動く。それゆえに、彼女はこう呼ばれる。「サイケデリック・ロリータ」。相手に傷を負わせるのは、決まって、ロリータの敏捷性に劣るハノーだ。彼が刀を振るい、的確な部位に峰うちを決め、相手を気絶させる。むろん、ハノーも超人的な速度で動くのだが。

 人の道を外れない――盗みと暴力を犯してはいるが――、けれども狙った獲物は逃さない。そんなロリータたちだからこそ燃えるのだ。

「ロリータじゃない」

 ゆりあ警部は再びそう呟いた。そして、こう続けた。

「パンツと拳銃を持った、ブロンドの男……?」

 ゆりあ警部は確信した。そいつが犯人だ。

 彼女は怒りに、静かに震えた。そいつはどれだけ道徳に対して冒涜的なことをしていることだろう。人を撃ち、盗みを働き、他人に罪を被せ、ひっそりと逃亡する。

「許せんのだ」

 ゆりあ警部の目は燃えていた。そしてそれから一時間後に、彼女はさらに燃えることになる。――愛する部下の訃報が届いたからだった。




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