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勇者裁判  作者: ワンワールド
勇者裁判 初裁判
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裁判準備①

 「どうしましょう」

 「そうだな。どうするかな」宿屋のとある部屋から聞こえてきた。勇者と賢者が、机の上にある電報を見ながら相談する声であった。

 「分からないが、無視すればいい」勇者はまだ怒っている様子で電報を掃った。賢者は呆れていたが、電報を拾い上げ諭すように語った。

 「分からないようなので、もう一度説明します。原告は田舎村の農民男性と道具屋の男性店主が訴えを勇者に起こしています」椅子の揺れる音が鳴り響く。

 「それで次は」真剣に聞く気がない勇者が椅子を揺すっていた。賢者も勇者が真面目に聞いていないことは分かっていたが話を続けた。

 「え~と。訴えた内容によると、農民男性の場合は、畑を無茶苦茶に荒らされたと言っています」勇者は口を挿んだ。

 「なんだよ。それ、本当に俺か」賢者はすぐに話を戻した。

 「農民男性が言っている内容が、魔物と戦う勇者を昼間見たと」又、勇者が口を挿もうとしたが、賢者が手を勇者の前に出して制した。

 「口を挿まず聞いてください。これから、もう一つの訴えた男性店主の内容を話します。道具屋が爆風に巻き込まれて店の一部が破壊されました。店主が外に出ると勇者と魔物の死体があったそうです。後で調べると昼間農民男性の畑を荒らした魔物だったそうです。それで、農民男性と男性店主が原告団を結成して訴えてきたようです」二人はどうするか考え始めた。賢者が、部屋の中をうろうろしていた。窓の外の景色がゆっくりと暗くなってきた。宿屋の主人がやってきて部屋のランプに灯がともった。しばらくして賢者は何か思いついた顔をした。

 「勇者。いい対策を思いつきましたよ」声を掛けた。反応がない。うす暗くて勇者の顔がよく見えないので近寄った。目を瞑っているので体を揺すった。

 「どん!」椅子が後ろに倒れた。

 「痛いな~」勇者は頭を抱えていた。

 「眠っていましたね」賢者は憮然とした顔で言った。勇者は椅子を直していた。気まずそうに座り姿勢を正した。賢者はそれを見て少し怒る気をなくして対策を話すことにした。

 「まず弁護してくれる人を探さないといけませんが、解決済みです。私がやりましょう」自慢げに言うので、勇者は不安げに賢者の顔を見つめた。

 「大丈夫です。賢者は、多くの知恵を要する人だけがなれる職業です。この知恵で、弁護できます。そのために事件現場の田舎村に弁護材料を見つけてきます。勇者は、黒の森で修業とお金を稼いでください。もしかしたら、賠償金が発生するかもしれません。この前、装備品を買ったばかりでお金がなくなりました。頼みますよ」賢者は力強く拳を握り前に突き出した。

 「勇者」

 「賢者」勇者も拳を握り、賢者の拳と合わした。二人の心は裁判に向け一致した。その心地よい高揚感を勇者が切り裂いた。

 「それにしてもお前。これだけの対策のためにこんなに時間を食う必要があったのか」

 「仕方ないでしょう。いろんなこと考えて結論が遅くなったんです」

 「それで弁護大丈夫か」勇者が不安に襲われて夜が更けていった。


 勇者は黒の森へ、賢者は田舎村に。裁判日の三日前に黒の森の近くの町の宿屋で合流する約束をして旅立った。田舎村に着いた賢者は、最初に農民男性の畑を見に行った。田舎村の中でも村外れの場所にあった。近くには魔物のよく出る有名な草原と畑は隣接していた。魔物の出現する確率が高いことが、弁護の糸口になると考えた。賢者は近くの村人に話を聞くことにした。特に有力な情報をくれたのが農民男性の畑を挟んだ家のおばさんだった。話によると三日に一回は魔物が出現している話と事件当日、魔物と勇者が戦っている姿を発見したと話を聞いた。他の村人も勇者と魔物が戦っている姿を見ていた。賢者も悩んだ。これだけ勇者を見ているし、状況証拠があっているのは痛かった。とりあえす魔物が出やすいことを頼りに現場をまんべんなく調べたが、結論は出なかった。賢者は結論を先送りにし次の事件現場の道具屋に行った。

 現場の道具屋は壁が一部壊れ、近くには焦げた跡が残っていた。その場所は村の中央広場だった。商店が円形に沿って並ぶ中央広場の中心から道具屋の近くに焦げ跡があった。現場を見た瞬間に勇者の炎系呪文だと悟った。炎系呪文の焦げ跡は術者の特徴が出ることが、冒険者教会によって立証されていた。

 「こちらも絶望的だ」思わず賢者はつぶやいてしまった。賢者は弱気になる心を抑えて周りの村人に聞いた。すごい爆発音聞いて、家から出ると焦げた跡と道具屋の壁が壊れていた。その近くで勇者と魔物が倒れていたとを村人から聞いた。こちらも状況証拠が一致していた。賢者は絶望しながら道具屋の前に一時間ほど立って見ているとあることに気付いた。

 「勝つことはできないが、何とか和解には持っていけるかもしれない」決意の顔をした賢者が立っていた。

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