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所詮は子供B11

 翌日。時刻にして正午辺り。


 ついに5回目の戦闘が行われた。


 ドッグも騒がしくなる。ただの敵と遭遇が予想されただけではない。この第5話の初戦と同じく、防衛戦に発展することが予想されたからだ。


 ただの防衛戦ではない。今回は民間のシャトルがアンノウンに追われていたとのこと。


 護衛艦はない。コロニーからコロニーに移動するシャトルだからだ。要人が搭乗していれば別だろうが、どうやらすべて民間人らしい。


「推進剤のチェックを怠るなぁ! 弾薬もありったけ持たせろぃ! エースが出るぞ! プロトタイプの起動急げよぉ!」


「はい!」


「了解っす、おやっさん!」


 グラディオスクルーである整備士たちに続いて、学徒兵である整備士見習いも、なかなか様になっていた。もう誰も、カイドウのことをおやっさん呼ばわりするのに抵抗を持たず、怒鳴り続けるカイドウに劣らず大声で応えを返す。


「エース!」


「あ、はい」


 その横を通過した俺は、ただの整備士としてではなく、パイロットと整備士の中間をウロウロするしかない半端者として、罪悪感を覚えながらプロトタイプガリウスGに向かう途中でカイドウに呼び止められる。


「っ………悪かった。と思ってる。すまねぇ」


「え?」


「考えてみりゃ、お前はまだガキだったよなぁ。シドウがベタ褒めするもんだからよ、俺もお前の半端ねぇ行動力を見てるし、つい大人みてぇに扱っちまった。昨日、倒れたんだろ? 俺の責任だ。すまねぇ」


「は? 倒れた?」


「エー先輩、大丈夫なんすか!?」


 カイドウめ。このタイミングでそれを言うか。


 ほら見たことか。


 ツンデレにして忠犬と忠猫が、聞き逃すはずもなく、シドウの合流の指示がある前の待機状態だったからか、ビュンと飛ぶように駆けつけて来やがった。


「あー、大丈夫。大丈夫だから。ただの過労だよ。最近寝てねぇだけだ。メカニックにはよくあることだよ」


「今のあんたはパイロットも兼ねてんだろうが」


「別に本当に戦場に出て戦うわけじゃないし。ストレスなんてコウの半分以下だよ。俺の体が弱っちいだけさ」


「けど先輩………まさか、戦闘後にすぐに仕事始めてるのって、俺のジャケットのせいなんじゃないんすか!? それで過労になっちまったんじゃ!」


「ま、それも否定はできねぇよ。でもなハーモン。俺がお前のためにやりてぇことなんだよ。言い出しっぺの俺が疲れたからやめまーす、なんて舐めたこと言えるか?」


「それは………っ」


「とは言うが、あんたは働き過ぎだ。経緯は違うが、兄貴のようにはなってほしくはない」


 ははーん。デレてやがるこのふたり。


 犬と猫が耳を垂れて、シュンとなっている。かーわいーいなー。撫で回してやろうか?


 こんな顔が見れたんだ。俺の推し活に一片の悔い無し。冥利に尽きるってもんだ。


「今朝、レイシアからシドウ共々呼び出されてな。ガチで説教されちまった。これから、お前の仕事を減らして負担を軽減するからよ。とりあえずお前、この戦闘が終わったら休め? な?」


「そのとおりだ。………俺も謝罪する。効率重視のため、隊員の負担軽減のために副隊長に推薦したらこれだ。お前はこれで根が真面目で、自分の仕事はしっかりするタイプだったものな。仕事量がいきなり4倍になったようなものだ。我々のような鍛え上げた軍人でも音を上げそうなことをさせて、体が無事なはずがない。詫びる」


 ドッグに急ぎ入ったシドウまで合流して、カイドウとともに頭を下げる。


 本来なら嬉しいことだ。


 前世で考えてみよう。大学生だった小此木瑛亮がどこかの企業に就職するがブラックな環境で、体も精神もぶっ壊して過労で倒れかけるも、砕け散るまで働けというイカれたテーマに踊らされた周囲や上司が過労こそ美徳として、倒れたからって仕事量を軽減する配慮なんてせず、結局は離職することになる。それに比べたら、なんてホワイトな環境なのだと。


 いやはや………でもこの流れ、ちょっとよろしくないぞ?


 だって俺のやってることは半分が趣味の推し活で、しかもあまり時間の残りがない過密なスケジュール。今制限されたら詰むかもしれない。


 ジャケットでやれることは少ない。むしろ肝心となる部分は俺に任されるはずもないし、俺はそれを隠れ蓑に新装備の設計をしていた。それが封じられたとなると、本編にあった悲劇が再現されてしまう。


 そう。せめてあの装備だけは完成させなければならない。


「エー先輩。もし働いたら、狙撃してでもメディカルルームに連行しますからね」


「お、おう。………シェリー。近い近い」


 怖い怖い。の間違いだが、それを言うとシェリーが傷つく。三白眼を歪めニゴォと笑う迫力は、猫を超過して狩りをする雌獅子のそれだ。


 俺への念押しと圧迫はそこまで続かない。これから仕事が始まるのだ。俺に構ってはいられない。シドウはパイロットを集め、すぐにモニターでミーティングをして、搭乗を命じた。


 俺はすでにプロトタイプガリウスGに搭乗して、先んじて射出されたドローンカメラのひとつとリンク。


 普段なら絶対にやらないフルスロットルで加速し、戦場に駆けつけ、戦況を報せる。


「まずい。このままじゃ間に合わない! おやっさん! ドローンの1番と2番で潰して止めて、3番で誘導します! 4番でシャトルに接触するので、回線の接続はお願いします!」


『あいよぉ! ドローンのことは気にすんな! 今回は仕方ねぇ!』


 連合軍は民間の保護と防衛が義務付けられている。それを無くして軍の存続はあり得ない。


 ドローンは歴代のガリウスと比較して安価で、製造も容易い。3機が潰れたとしても、まだ予備機が10機ほどあった。


 遠隔操作を瞬時に切り替える。最近はドローンカメラのシミュレーションをすることもあって、ソータたちほどではないが思ったとおりに動かせるようになった。しかも複数機を同時にだ。


 戦場に駆けつけた4機のドローンカメラのうち、1番と2番を宣言どおり5体いるアンノウンBタイプの先頭にぶつけ注意を引き、3番を敵陣のなかを突っ切らせて誘導。すでにシドウたちは出撃している。接触まであと1分。避け続けていればシャトルは守れる。最後に4番をシャトルに接触させ、カイドウに回線を開かせ、通信をオペレーターに接続する。


 1番と2番は壊れた。4番はすでに俺のコントロールの外にある。残りの3番の操縦に全力を注いだ。


『エー先輩! 右にズレて!』


 この声はシェリーだ。指示どおり右に旋回すると、ドローンカメラ3番がいた場所を弾丸が通過する。狙撃だ。こっちのカメラからでは捉えられない距離から、すぐ背後まで迫っていたアンノウンの頭部を的確に狙撃しやがった。


『よくやったエース! あとはこっちで引き受ける!』


『やるね。エー先輩』


『エー先輩、あとは任せろぉ!』


 先頭が潰れたことで加速中だった敵の群れが散開。速度が緩やかになったので俺は逃げ切った。そこにすれ違うようにシドウのガリウスF・Sカスタムが通過し、ソータたちが続く。


「うっほぁ」


 変な声が、出た。


 だってこんなの本編の描写には無いもんな。


 ロボット好きなファンたちが熱狂したガリウスGとFが、シドウのカスタム機を先頭に、カメラのスレスレを各方面から通過していく。ファンにはたまらないカメラアングル。近いからカメラを中継していても半端ない臨場感。鳥肌がたった。


 たかが5体、いやシェリーが潰したから残り4体のアンノウンBタイプ。交戦経験がもっとも長く、よく知る敵だ。


 日々努力し、技術と連携性を高め、本編より絆を得たミチザネ隊の敵ではなかった。


ブクマ、評価ありがとうございます!

次回は21時頃となります!


作者からのお願いです。

この作品は皆様の温かい応援で成り立っております。ブクマ、評価、感想、リアクションなどのありがたい応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!

誤字脱字報告、ご質問も大歓迎です!

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