その名はB10
戦闘は10分で終了することとなる。
結果は初陣にして、完勝。
第4話の終盤を飾るに相応しい戦果だった。
ソータとシドウが組み、ユリンが追従。敵はアンノウンAタイプが2体。分断して討伐。
活かされたのは昼過ぎの模擬戦のアイデアだ。
手加減したとはいえ、ユリンたちに追い詰められたシドウは、自らソータと協力して敵を分断。ソータが単身で敵を引きつけ、シドウらがもう1体を蜂の巣にする。
だが誰しも予想しなかった展開となる。
戦闘ログを見ていた俺さえも瞠目したさ。
『おいソータ! 俺にもやらせろよ!』
『え、ハーモン!?』
『テメェだけにいい格好させるかよ!』
これでもハーモンなりに、言葉を選んだ………つもりなのだろう。
しかしずっと見ていたアイリ曰く、いきなりドッグに現れたハーモンは、赤面しながら大声で謝罪したとか。
珍しいとかそんなレベルではなく、天変地異を疑った全員が唖然とするなかで、ハーモンは「反省してる」とも続け、頭を下げた。整備士たちにもだ。
それで一応、形だけだったが、和解したことに………なったとか?
それからハーモンは1年生同士で会話をしたという。自分の主張を最初に並べず、ソータたちの意見を聞いたとか。コウも戻ってくると謝罪し、驚く彼を座らせミーティングまでやったとか。で、最後に自分の主張をしたところ、みんな真面目に聞いてくれて、ハーモンが笑みを浮かべたとか。
戦場というのは、いつだってそうだ。
絆をより最短で育める。デメリットとして失うものが多すぎるが、戦う者にとっての資質をより高めることができる。
自覚を促し、自発的にチームワークに取り組む姿勢を見せることができれば、周囲により良い影響を発揮する。
本編には無いハーモンの早期覚醒は、第6話でやっと形となったチームワークよりも、ソータたちを刺激する。
『ハーモン。俺が敵を追い込む。銃は苦手だろうけど、仕留められる?』
『いいぜ。乗った』
『エー先輩にいいところ見せたいもんね』
『バッ………そ、そんなの関係ねぇよ!』
ハーモンくんのデレっぷりはたまらねぇな。こりゃあ、明日から食堂でのねだり方も工夫しねぇといけねぇか。
「お前、あの不良になにしやがった? 少なくとも、ここに来る前からハーモンと交流があったわけじゃねぇんだろ?」
「それは俺も聞きたい。いったい、どんな魔法を使った? 模擬戦とは比較できないほどの連携を最短で可能にするなど、到底ありえんことだぞ」
眉根を寄せるカイドウが問うと、近くを通りかかったシドウも問う。親子揃って似た表情をしやがる。
てなわけで、パシャリと。
「………なぜ撮る?」
「すみません。誤作動です」
「消せ」
「あとで消しますよ。………あと、ハーモンのことですけど」
「おい」
「特に、なにもしてませんよ。喧嘩で屈服させたわけじゃありませんし。あいつ、基本的に良い子ですから───」
「誰が良い子だコラァァアアアア!」
「お、噂をすれば、なんとやら。お疲れ、ハーモン」
シドウもここにいるなら、ハーモンもいるか。失念していたわけではない。かなり距離があったから、聞いているとは思わなかっただけだ。
ハーモンは昼過ぎの一件とは違い、赤面しながら俺に突撃した。
ひとつだけ違うのは周囲の目だ。模擬戦でマニュピレーターを台無しにしようとした暴挙を謝罪したハーモンを整備士たちは許し、チームワークの欠片もなかったことを反省した彼をチームは許した。
誰もがニヤニヤしながらハーモンを見ている。いじり半分、面白さ半分。不快感のない笑みで。
「おいエー先輩よぅ、俺のくだらねぇ噂流してんじゃねぇぞ!」
「ははは。くだらなくなんかねぇよ。お前が成長したって、みんな評価してんの。さっきの戦闘、よくやったな。お前があれだけやれるとは俺も思わなかった。嬉しいよ」
「お、おう………ならいいんだけどよぅ………頭撫でんなあ!」
ドッグは無重力区域だから、腕で体を持ち上げればハーモンより目線が高くなる。片手で彼の頭を撫でると、一応の抵抗は受けるが、払い除けはされなかった。
ほら見ておやっさん。ツンデレ少尉。
この従順な忠犬っぷり。すごいでしょ?
カイドウもシドウも驚愕して言葉を失っている。これで写真のことは忘れるだろう。
「けどハーモン。お前、最後にミスしたな? まーた全弾フルオートで撃ち尽くして、ライフルで殴りに行きやがって。そりゃお前が生き残るためなら仕方ないけど、銃を消耗品みたく壊してたら、ストックが無くなって、戦えなくなって困るのはお前だからな?」
「うっ………す、すんません」
「反省しろよ? ってなわけでおやっさん。ロングソードみたいなの製造できません? こいつ、銃より剣とか、ナックルガードみたいなのでぶん殴るのが得意なんです。俺としちゃ、そっちを活かしたいです」
「先輩………っ」
「ナックルガードなぁ。作れなくもねぇけどよ。それよか、ハルモニが解読したなかにあった近接戦向けのパッケージがあるらしくてな。それ急ピッチで製造して、換装させた方が早ぇかもな」
ケイスマン教授が設計した第七世代ガリウスには、これまでにない機能が備わっている。
ジャケットと呼ばれる兵装だ。
これも立体化されていて、互換性があって改造をする際に役に立つ。
具体的には上半身なら両腕を外し、頭から被せるように取り付ける。よりマッシブな外見になるだろう。ハーモンの四号機がその例だ。
実装されるのはまだ先だが、彼らの生存率が大幅に向上するのなら、早期に立体化させてやる。
………いや、最初に設計すべき装備があったな。なんとしてでもアレだけは完成させなければ、あの子が───死ぬ。
同時並行でソータたちの状態も見ておきたい。
よし。なぜかハルモニもまだ取り上げられてないし、高性能AIに助力してもらいつつ、まずはあの大人を懐柔してみよう。
大丈夫。勝算はある。手札も増えた。やれるはずだ。
アニメの脚本を作るって大変なんですね。今のところエース視点でしか進められておりませんが、次の話から色々な視点から進めていこうと思います。
そろそろソータのイラストもXで公開しようと思います。
次回の更新は19時頃を予定しております。夜も何回か更新できればと思います!
作者からのお願いです。
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