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その名はB07

 3人は会話が噛み合わずとも、言いたいことだけを言って、ハーモンが舌打ちし、コウが無言で去る。シドウは追わなかった。どちらを追いかけるべきかもわからないだろう。


 結果的にウェイトを付けずドッグを周回する罰ゲームはお預けとなった。ただ、ハーモンの暴挙は連帯責任だし、指示を出したユリンの責任でもあるから必ず走らせるという。


「チームワーク最悪だよぉ。なんで男の子って、あんな扱い辛いんだろうねぇ」


 半泣きになりながらヒナがアイリに縋る。


「………ちょっとだけ、パイロットにならずに済んで良かったと思ったわ」


「アイリちゃん酷い!」


「冗談よ。でも、うん………あのふたり、学園にいた頃からそうじゃない。喧嘩した回数だって多いし」


 反省文を書かされたり、停学になったこともあったが、退学にはならなかった。


 なぜならハーモンとコウは、実習においては成績は上位だったからだ。不良の風態でいるハーモンもあれでいて筆記試験も中堅どころで、赤点はむしろコウの方が多かったような。


 ともかく、模擬戦の結果は散々だったとしても、ガリウスFは無事に帰ってきた。ペイント弾の被弾もない。整備士としてはより深く分解して整備する必要もなく、俺たち学生上がりの整備士見習いたちは見学を言い渡されていた。


 だが2年生は積極的に先輩たちに付き添い、教えを乞うている。見学とはつまり、こういうことだ。


 俺はカイドウの近くにいる。いつお呼びがかかっても飛んでいけるように───



「ノギ! ノギはいるか!」



 おっと、これは予想外。


 てっきり、レイシアに泣きつくのかと思いきや、シドウが俺を呼び出すとは。


「ここにいます。なにかご用ですか? シドウ少尉」


「ミーティングだ! 主任、ノギを借りるぞ!」


「あいよぅ」


 ミーティングとはうまいことを言う。


 カイドウが快諾すると、シドウは有無も言わさず俺の腕を掴んで連れ出した。言わないけどさ。ふたつ返事で承諾したさ。


 またミーティングルームを使うと思いきや、ドッグを出た先の通路で俺を離す。


「まったく………あのふたりはなんなんだ!」


「はは、苦戦されてますねぇ隊長殿」


 通路の壁に背中を預けて腕を組み、歯噛みするシドウに並ぶ。ここはクルーの往来があるが、それなりの広域があるため、立ち往生しても邪魔にはならない。


「………本来なら、こんな戯言を………少し前までは守るべき市民であったお前に述べるのは、気がひけることなのだが………本当に、苦渋の決断、なんだが!」


「ほうほう」


「相談に………乗って、ほしい」


 ほうほうほうほう。


 ツンデレ少尉め。少しは学習したか!


 高すぎて天井が見えなかったくらいのプライドを、自ら捻じ曲げて俺に頭を下げに来たと! 本当に頭は下げてないけど。


「ハーモンとコウのことですね」


「………ああ。特にデクスターだ」


 扱いに難があるから、アドバイスが欲しいと。


 よしよし。シドウに胡麻擦った甲斐があったじゃないか。少しは信頼してくれたってことだ。


「ああいうタイプは、俺が学生時代の頃にもいた。殴り合いにもなったが、俺が勝って屈服させた。だが………年下にそれをやるというのも、違う気がする」


「そうですねぇ。ハーモンは特にそうですよ。喧嘩相手には絶対負けたくないって性格してますからね。コウは………どうだろう。ハーモンみたく喧嘩っ早いわけじゃないけど、敵と認識したらネチネチと嫌味を言うタイプかも?」


「実力行使で屈服できれば楽だが、子供となるとな。………隊として、機能しなくなる」


 わかってるじゃないの。


 シドウは賢い。


 それに、予定ではシドウが部下にするのは子供ではなく、軍人の大人だったからな。一回り歳が下の子供たちをどう扱えばいいのかと、3日考えた末、こうなった。


 ………ならば。


「少尉。この件、俺に任せてもらえませんか?」


「お前に? いや、これは隊を預かる隊長として、俺が───」


「隊長なら、全体を見なくては。隊員はハーモンとコウだけじゃないですよ。そのケアをソータやヒナたちにしてあげてください。俺もミチザネ隊の副官になったつもりで、問題児たちのケアをしてみますよ」


「………お前がパイロットなら、よかったのにな」


「はい?」


「なんでもない!」


 ははは。聞き逃さなかったぞ。デレたなこいつ。


 どうやら懐柔するまで、あと少しってところかな。


「あ、そうだ少尉殿。このモニターを見てもらえませんか?」


「なん………おい。なにをする。なぜ撮影した?」


「失礼しました。間違えました。はは。じゃ、行ってきます!」


「おい待て! その写真を消せ!」


 ついでとばかりに、俺の腕を覗き込んだシドウを撮影する。素の表情でいたのは珍しい。ちょっと可愛かったな。ウケもいいだろう。あのひとに。


 シドウが騒いでいたが、無視して別の区画に向かう。


 時間的にそろそろだ。シドウの公約もあるし、大っぴらに動いてしまおう。


 意気揚々と向かった先にあったのは食堂だった。


 時間的に仕込みをしている頃だ。


 俺が最初に説得するのはハーモンだと決めていた。


「あいつ、やらかすからなぁ」


 原作では食堂でひと暴れして、営倉にぶち込まれる。


 腹が減ったからなにか食わせろだとか、ここはパイロットを飢えさせる艦なのかとか、身勝手な主張をしながら拘束されてしまう。


 それは暫定で隊長になったシドウへの当てつけだ。連帯責任ならシドウも営倉入りするべきだと訴えるも、当然却下される。


 もちろん暴挙に出たなら反省すべきだ。営倉に監禁される辺りが丁度いい。頭も冷える。しかしハーモンという反骨精神満載な不良は、一度やられたら相手が屈するまで嫌がらせをするタイプだから、営倉入りするのは今後もあるという。筋金入りの反抗期なのだ。


 だからこそ、理解して、宥めてやらなければならない。


 今だけはファンとしてではなく、先輩としてハーモンを説得するのだ。


ブクマありがとうございます!

さて、お昼頃にソータとハーモンのイラストをXで公開しようと思います。

色々と試してはいるのですが、ソータを儚げな中性的な少年にした結果、時としては少女に性変換してしまうミスを連発していたりと、苦戦しています。

なにか誰かと第かの絡みを見てみたいというリクエストがありましたら、遠慮なさらずにコメントください!

次の更新は12時頃を予定しております。今日も書いて書いて、描いて、また書くという素晴らしい日になりそうです。


作者からのお願いです。

この作品は皆様の温かい応援で成り立っております。ブクマ、評価、感想、リアクションなどのありがたい応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!

誤字脱字報告、ご質問も大歓迎です!

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