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その名はB06

 なにやってんだあいつら。みたいなカイドウの呆れたような視線を感知。


 苦笑していると、整備士の誰かが叫ぶ。


「ひよっ子が仕掛けるぞ!」


「ああ、馬鹿っ。無駄に加速して推進剤消費してんじゃねぇよ!」


「シドウ少尉にそんなマニューバで追い付けるわけねぇだろ!」


 整備士たちが口々に学生上がりの新兵らに文句を放つ。


 本編では、ずっと演習をしているソータたちをカメラに納めていたからな。


 こうしてドッグで観戦するのは描写にはない裏側にいるってことだ。


 これはこれで、なかなか新鮮。


 ちなみに、ドッグにはいつの間にか巨大なモニターが設置されていた。立体投影されていて、大きさでいえばガリウスほどはある。俺たち整備士は、ここから戦況を見ているというわけだ。


 ちなみにモニターは、その巨大さから四分割されている。自動追跡機能を搭載したカメラを放っているので、そこからリアルタイムで配信されているのだ。


「だぁあっ! なんて撃ち方してやがる!」


「無駄撃ちしてんじゃねぇよガキィッ!」


 あれは………ハーモンか。フルオートでペイント弾を乱射している。猪突猛進な性格をしているしな。銃火器はハーモンの性分には合わないだろう。


「デクスターの野郎、もうマガジン半分も撃ち尽くしやがった」


「なに考えてんだよあいつ」


「あれでパイロット科にいたってっんだから、たまったもんじゃねぇよ」


 2年生の同級生らもハーモンの愚痴り大会を開催していた。


 けど、こいつらは知らないんだ。ハーモンのスペックを。なんならハーモン自身も気付いていない。


 機会はすぐ訪れるだろうし、梃入れするのも悪くはない。


 さて、模擬戦の戦況を4つあるカメラを分析して見てみよう。


「ガッハッハ! おいおい、シドウの奴、追い詰められてんじゃねぇかよぉ! 下手に手ぇ抜くからだ!」


 俺が分析する前に、笑ったカイドウが答えを出してしまった。


 模擬戦の内容は至ってシンプル。反撃有りの鬼ごっこ。ソータとシドウのタッグを、ヒナたち5機が追い掛ける。


 どちらも統制が取れていないが、流石は天才肌のソータというべきか、基本的に単機で逃げるのだが、時折シドウと組んで相手を翻弄していた。


 とはいえ、特に目立ったチューンをしていない素体のままでアンノウンBタイプと高機動戦で渡り合い、シドウさえも追いつけなかったスペックと操縦技術だ。


 今は俺を抱えていないし、ソータは余裕でペイント弾を回避している。弾道が増えたからといっても、読めてしまうのでは掠るはずもないか。


 しかし、このままではソータは落とせないと判断したヤベェ女の代表格、ユリンの判断は早かった。


 ソータを追いかける役目をハーモンとコウに託し、熟練のパイロットであってもスペックで劣るガリウスFを駆るシドウに照準を定め、ユリンがシェリーとヒナを引き連れた。


 男女別になるが、これが案外うまくいく。男女でどうしても思考が違ってくるし、なにより比較してもハーモンとコウが犬猿の仲にあるのに対し、ユリンとシェリーとヒナは仲が悪くはない。即席の連携もユリンが指示を出すことで様になっていた。


 なにより驚くのがユリンの操縦技術だ。荒削りではあるがソータにも匹敵する。整備士連中も「あの子、やるなぁ」なんて舌を巻いた。


 そしてシドウにチェックメイトをかけようとした、次の瞬間。


 シドウが突然、急制動をかけて戦線を離脱。なにごとかと整備士が首を傾げると、ひとつのモニターで映した後継に「あっ」と声を上げる者が続出した。


「デクスターの野郎、なんてことをしやがるっ!」


「全弾撃ち尽くしたからってライフルで殴りかかるやつが………ぁぁああ! マニュピレーターで殴ろうとするんじゃねぇえええええ!」


「あんの、クソガキィッ! 当たったら全取っ替えもあり得るんだぞ!?」


「誰がやると思ってんだぁぁあああ!」


 怒号と悲鳴が続出した。


 原因はハーモンの暴挙だ。


 罵声のなかにもあったように、早々にペイント弾を撃ち尽くしたハーモンはライフルで一号機に殴りかかった。最早、模擬戦のそれではない。


 避けられたなら、左手でフックを放つ。これも避けられたが、さらなる暴挙として体当たりを仕掛けた。


 喧嘩だ。ハーモンはソータに近接戦による喧嘩を仕掛けたのだ。


 もちろんこれは本編どおり。


 ただ、俺は整備士としてドッグにいる。アニメ本編では決して描写が作られることのない舞台の裏側に。


 そこでは整備士ならではの悲嘆を聞くことができた。


 なるほど。だからハーモンは普段の素行からだけでなく、無茶をするから整備士にも嫌われていたんだな。


 シドウは模擬戦を中止し、ハーモンを止める。数分後、強制的に全機帰投した。


 ここから本編と合流するわけだ。


 戦果を上げられず、獲れると思った瞬間に取り上げられたユリンたちは不満げな面持ちをして、とある一角を睨んでいる。


 3人が噛み付く勢いで怒鳴り合っていた現場だ。


「この愚か者が! 装備を粗末に扱うどころか、放棄して殴りに行くとはなにごとか! 爪や牙が伸びただけの畜生か貴様!」


「うるせぇよクソッタレ! ここは戦場なんだろうが! 武器が使えなくなったら丸腰で的になってやれってか? 敵にぶっ殺されるためにテメェは俺らを教えてんのかよ!」


「猿以下の思考か………そういう考えをしているお前は、敵にすぐ殺されるのだろうな。そうなる前にパイロットを降りろ。無駄死にしたくはないだろう?」


 ハーモンはともかく、コウという長身痩躯のイケメンまで饒舌になってる。シドウは熱血教官っぽいところがあるから仕方ないとしても。


 早速仲間割れするか。でも、そうはさせない。梃入れして、次の話まで進めてやらないとな。




ブクマ、リアクションありがとうございます!

今日は複数更新します!

次は朝になります。


ソータのイラストが完成しました。これまで作ってきたなかでも最高の出来でした。AIってすげぇ。

Xの方で公開しますので、よろしければチェックしてみてくださいね!


作者からのお願いです。

この作品は皆様の温かい応援で成り立っております。ブクマ、評価、感想、リアクションなどのありがたい応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!

誤字脱字報告、ご質問も大歓迎です!

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