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その名はB05

「よく聞け新人ども! まずは3日間のシミュレーションによる訓練ご苦労! しかし、地獄は始まったばかりだ。これより、ついにお前たちが待ち侘びていた機体による模擬戦を───聞いているのかワルステッドォッ!」


「あ、ひゃい! 聞いております! サー!」


 ヒナめ。早速余所見して怒られてやがる。


 俺が一号機からひょこりと顔を出した先に、整列したばかりのヒナと視線が合うんだもんな。タイミングが悪かったに違いない。呑気に笑顔で手なんか振るから目をつけられる。


 シドウに叱られたヒナは、パイロットスーツを窮屈そうに着ながら、ピョンと跳ねて敬礼。しかし勢い余って浮上。隣の少女に足を掴まれて引き戻されなければ、天井まで行ってしまうところだった。


「ったく………俺は気を緩めるなと命じたはずだがな。貴様が女であろうと関係ない! 戦場では男も女もない! 果てしなく平等で、生きるか死ぬかが決まる! 死にたくなければ常に気を張り詰めろ!」


「さ、サーッ」


「米軍か? ここは。………まぁいい。ワルステッドだけではない。お前たちひとりでも油断すれば全員が死ぬと思え。瞬殺だ。それが嫌なら実力で示せ! いいな!」


「了解!」


「サーッ」


「………」


「返事はどうしたデクスタァアッ! 生まれたての子鹿の方がマシな声を出すぞ!」


「お前がくたばれ。タコ」


「このっ………」


 おうおう、やってんなぁ。


 一号機からカイドウと並んで、シドウの教官ぶりを眺める。


 カイドウはニヤニヤしたり、呆れたりしていた。息子が子供たちに振り回されている様が面白いらしい。


 いや振り回されているというより、舐められているような? 特にハーモンから。


 ソータとユリンが従順なのは評価できる。ヒナも厳しくしごかれたからか従順。


 で、シェリーという少女とコウという少年は一応従っている感があり、ハーモンは反発していると。


 全員一年生だ。大人に反抗したくなる年頃ではあるが、軍人になったという自覚がない。


 ずっとシミュレーションばかりだから、ゲーム感覚でしかやれないのも否めない。よって、シドウはついに現実というものを教えるために実演に入ったところ。


「今朝のミーティングで説明したとおり、俺とレビンスが組む。他5名はどちらでもいいのでペイント弾を当てろ。クリアできなければウェイトを付けた状態でドッグを何周も走らせるからな!」


 男女差別もない罰ゲームだ。


 結果など知れている。このあと強制的にドッグを50周させられる。可哀想だが、やらせる他ない。


「一号機、レビンス! 二号機、エルナール! 三号機、ギグス! 四号機、デクスター! 五号機、ダルシャナ! 六号機、ワルステッド! 搭乗始め!」


 シドウの罵声で渋々と6人が動き出す。


 一列に並んだ6色のバリエーションのガリウスGへと跳躍した。


「聞いた? 俺が避けても走らされるんだってさ」


「お前がシドウ少尉のプライドをへし折らないためだろ。あと、手抜きしても走らされるんじゃないか?」


「当たり。鬼教官だよ、あのひと」


 一号機のコクピットに難なく滑り込んだソータがぼやくので、俺も続いてコクピットを覗き込む。


「シドウ少尉も考えがあるんだよ。ただでさえもお前ら、バランス的にもブレてんだ。均等にする方が難しい。シドウ少尉はお前たちの短所をすぐ見抜くだろうけど、長所を伸ばすほうに努力すると思う。ま、やれるだけやってみな?」


「………はーい」


 ソータにしちゃぶっきらぼうな応えだ。罰として、あとでまた頭をグリグリしてやらないとな。


 それからシドウがカタパルトデッキに乗り、射出。ガリウスGは番号順に射出。気密シャッターを降ろし、宇宙空間と艦内を隔ててから、整備士たちは「ふぅ」と安堵し、ドッグの一角に集合した。


「………ま、そうむくれるなって」


「むくれてません!」


 そう言いつつも、面白くない顔をする少女に苦笑する。


 アイリだった。


 彼女はパイロットではない。俺と同じ整備士に配属された。


 アイリの隣に降り立ち、ヘルメットをポンポンと叩くと、俺より身長が低いアイリがバスケットボールのように弾む。5回くらいやってたら「遊ばないでください!」と怒られた。


 アイリはパイロットに志願したが、整備士に配属されてしまい、ソータたちと離れ離れになってしまった。これがクランドの言っていた例によるものだろう。


「ガリウスGは、まだ半分もあるのに………乗せてくれてもいいのに」


「ま、そう言うなって。お前、操縦センスは悪くないけど、いざって時の判断が遅いんだから。戦闘機向けじゃないんだよ。元々、輸送船とかのパイロットに志願してたじゃないか」


「それは………そうですけど」


「けど、面白くないし、寂しいよな。みんなと同じ道を歩けないってさ」


「………はい」


 アイリはずっと、自分だけがパイロットから外されたことを悩んでいた。ソータに相談した頃は、もう彼が壊れ始めていたから、会話が続かなかったので、不満を溜め込んでしまった。


 だから、これは俺の役目だ。


 ソータとゴールインさせたいカプ厨として、ここでアイリの不満を共有し、ストレスを緩和できれば、またソータと会った時に感情的になって怒鳴りはしないだろう。


「不安になるな、なんて言わないさ。でもな、お前はひとりじゃないよ。俺がいるから。なんかあったら俺に言いな。愚痴でもいいから。あ、そうだ。この演習が終わったら、ソータと同じロッカーにでも詰め込んでやるよ。慰めてもらいな?」


「なっ、なんでロッカーなんて狭いところに!?」


「言わせんなよ。アイリはえっちだなぁ」


「エッ………セクハラで訴えますよ!?」


「あっはっは。いいぜ? それでソータとお前が仲良くなれんなら安いもんだ。軍法会議でもなんでも受けてやるよ」


「ッ〜〜〜〜!」


 アイリ、かわええ。


 ヘルメットのバイザー越しでもこんな可愛い。ずっと見ていたいなぁ。



 ああ、推し活最高っ!


ブクマありがとうございます!

今夜中にソータのイラストとハーモンのイラストを完成させ、明日の大量更新でXにて公開する予定です。

明日は朝昼晩と、6回以上は更新しますので、よろしければ読んでくださると嬉しいです。


作者からのお願いです。

この作品は皆様の温かい応援で成り立っております。ブクマ、評価、感想、リアクションなどのありがたい応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!

誤字脱字報告、ご質問も大歓迎です!

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