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その名はB04

 今日で一番の歓声がぶち上がる。


 きっと、この三日間はどうしても突破できずに悩んでたのだろう。


 パンドラの匣みたいなものだ。それが今、高性能AIを使って、やっとこじ開けられた。


「お、おおっ………ま、待て待て待て! いったいどんだけあんだよこりゃぁ!」


「いや、多すぎだろこれ。パンクしちまわねぇかな?」


 拡大化するモニターに、様々なデータが流れていく。


 先程の暗号文にも似ているが、図面や解説なども共にあるため、すべてがガリウスGのものだとはわかる。


「ハルモニ。こいつぁ………どういうことだ?」


『すべて第七世代機ガリウスGのデータです。武器や装甲などが大半を占めています。また、メカニック・エースが前回の任務で運搬したパーツにすべてが一致しています』


「現段階で実装可能な装備は?」


『1割です』


「………ふーむ」


 まぁ、そうだよな。


 現時点で作れる装備など知れている。


 俺がサフラビオロスから持ち込んだパーツは、第2クールから登場するものが多い。


 ケイスマンの遺産は本当に強力なものが多く、なかにはソータの後継機まで封入している。


 だが、それを今すぐ製造しようにも、グラディオスクルーの実力が伴わないし───なによりソータが覚醒していない。他にも様々な条件があるのだが、悲劇を連続して起こさなければならないので、なんとしても却下したい。


 カイドウは天才のメカニックだが、限度がある。ハルモニもよく理解しているのだろう。


 ゆえに1割。残り9割を作ろうにも、進化していないドッグのなかではほぼ不可能だ。


「………神経………接続………なんだこりゃあ。機械と融合しろってか? ケイスマンも無茶すんぜ」


 おっと………天才メカニックが、ヤベェ代物を見てしまったようだ。


 それを製造するには、ソータがこの上なく曇るほどの痛ましい事故が無ければならない。あの子を犠牲にしてたまるか。


 そんなの嫌だね。お蔵入り確定。


「………とりあえずぁ、その1割ってのの製造に入るかぁ。ハルモニ。残りの9割の分析しとけ。あとでレポートとして提出しな」


『イェス。マスター・カイドウ』


「エース。お前も疲れただろ。あとは見学してな。俺らはこれから、やることがあるからよ」


「あ、はい。え、なにをするんですか?」


「新入りのひよっ子どものお遊戯会だ。それがメインだ。見ていきな」


「お遊戯会?」


 本編ではケイスマンの遺産に触れることはなく、そのまま演習に突入していた。


 お遊戯会とは、その演習のことだろう。


「おうテメェら。ノーマルスーツに着替えたら集合! ガリウスF・Sカスタムならび、ガリウスG一から六号機の発進準備だ! 抜かるんじゃねぇぞ! おい学生ども! 実弾なんて入れたらぶち殺すからなぁ!」


「おう! おやっさん!」


「は、はい!」


 お、おうおう。なんていうコンプライアンス無視なパワハラ発言。


 しかし、これが現場だ。誇りある職人がプロとして働くドッグ。整備士たちの戦場。


 俺たち学生上がりの整備士の卵は、特に厳しく指導を受けた。「パワハラ? なんか文句あんのか?」同然のカイドウの熱烈指導に、女子たちは泣きながら身の丈ほどある工具を操るしかない。男子だって涙目だったもんな。


 アスクノーツ学園の教官も、人間の命を扱う機械を専門としている以上、特に厳しい発言をするのだが、直接「ぶち殺すぞ」なんて言わなかった。「お前の怠慢のせいでパイロットが死んだら、どう責任を取るつもりだ」くらい………いや、大差ないか。語調と剣幕が比較できないだけ。カイドウはおっかない。


 俺たちもノーマルスーツに着替えてドッグに戻る。やはりと言うべきか、周りの大人の整備士たちは倍に近い時間で着替えてドッグに戻り、もう作業を始めている。


「エース。お前はこっちだ。一号機の調整手伝え」


「あ、はい! おやっさん!」


 着替えたのならと、カイドウから休憩返上でお呼びがかかる。


 無重力間において迂闊な行動は命取りだ。特に慎重に動き、周りに配慮しながら直立しているガリウスG一号機の背部スラスターまで跳ぶ。


「あいつ、操縦荒いのかと思ったんだが、案外繊細な扱いしててな。メンテナンスも楽に済む。だが………俺の予想じゃ、ケイスマンの遺産を取り付けるにゃ、まずソータの奴からだと思うんだわ。お前はどう思う?」


 カイドウの補助をしながら会話ができた。どうやら、それを話すためだけに、周りがペイント弾などの簡易的なものしかやらせていないのに、俺だけ機体側に呼んだらしい。


「俺も一瞬だけしか見てないんですけど………スラスターの増強くらいで、いいと思うんですよね」


「追加装甲はいらねぇってか」


「あいつの殺人的な加速を、唯一体験したからですよ。むしろ、ごちゃごちゃした装備なんて邪魔です。ファストパックっていうんですかね。もっと機動性を上げてやれば、ソータの真価が発揮できると思います。………抱えて飛ばれるのは二度とゴメンですけどね」


「だはは。違いねぇ。俺だってゴメンだぜ」


 数あるバリエーション機のなかでも、ソータは後継機が製造されるまで、多くの武器を使えど、高機動型から一切の変更はしなかった。


 唯一行ったのは大型で角度を自在に変えられるバックスラスターのみで、あとは四肢に外付けのスラスターを増設しただけ。


 でも案外、それでクソ強いんだよな。


「確かにあったわな。スラスターの設計図。よし、ハルモニ。今日のお遊戯会の結果を参考に、一号機の追加スラスターを製造するかもしれねぇからな。メンテの他にも製造に人員を回せるようスケジュールを………っとぉ、おいエース。来たみたいだぜ。ひよっ子ちゃんどもがよぅ」


 促されて、ひょこりとスラスターから顔を出す。


 ドッグの中央に集まったのは7人。


 先頭を歩くパイロットリーダーであるシドウが率いる、学徒兵で構成された新生ミチザネ隊だった。


リアクションありがとうございます!

お陰様で更新してから一週間が経過しました。勝負は土日です。今日、どれくらい書けるかにすべてがかかっていると言ってもいいでしょう!

次の更新は夜になります。そろそろソータのイラストも生成したいですね。その次は………ハーモンとか? 見てみたいキャラがいましたら、リクエストなども受け付けておりますので、コメントいただけると嬉しいです。


作者からのお願いです。

この作品は皆様の温かい応援で成り立っております。ブクマ、評価、感想、リアクションなどのありがたい応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!

誤字脱字報告、ご質問も大歓迎です!

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