始まりの日B01
この夢のようで夢ではない世界は、すべてがアニメどおりにスポットが当たるのか───といえば、そうではない。三人称目線ではなく、この俺たる第一人称目線で時間が進む。まるで生きている人間のように。よって第1話でソータとアイリの会話を聞いたあと、俺の目線でストーリーが進行した。第1話で台詞がないヒナとこうして会話できているのが証左している
生存条件は勝利ではない。逃げることだ。
ヒナがどうやって生き残ったのか。その描写はないが、第3話で喋るまで生きていたのだ。
ならヒナはなにがあろうと今は生きる。そんなヒナの近くにいれば、俺も第3話まで生き残れる。
心臓が痛いくらい動悸を早めた。脅威は去ったとはいえ、また戻ってくるかもしれない。このインターバルでヒナの生存ルートのヒントを掴むしかねぇんだ。
「ヒナ。避難所ってどこだっけ?」
「え………あ、あそこ!」
火の手が学園を包む前に外に出てヒナに会った。この頃、カメラがどこで誰を映していたかも覚えている。ソータがアイリの安全を確保すべく、避難所まで走っていた頃だろう。
しかし避難所───仮に大規模バイオ汚染が拡散した場合、サフラビオロスから避難、あるいは放棄するべく用意していた大型救命ポッドに直結している壕は、どれも満員だった。路面の一部が剥離して現れる入り口のランプが赤く、それが満員を意味しているからだ。
襲撃を受けた場所がコロニーの中間だったのがいけなかった。爆発から免れた住民が一挙に近くの避難所に押し寄せたせいで、俺たちまで入れなくなっている。設計ミスではなく、誰しもが自分の命を優先した結果だ。
「ダメだ。ここも満員だ」
「どうしよう。もう近くの避難所、ないよ? あるのって………」
「学園の裏側、だったな………」
緊張と絶望が入り混じる。確かにヒナは生き残るが、どうやって生存したのか、過程を示す描写がなかったためだ。ノーヒントで探るにも時間が足りない。
ヒナが言うように、残りの避難所として希望を託せるのが、半分ほど炎に呑まれた学園の裏側だったのだ。今から走って間に合うか。最悪、途中で発見されて攻撃を受けるか。あるいは火事に巻き込まれるか。運良く辿り着いても避難した学生で埋め尽くされている可能性だってある。
「行こう、先輩。多分ここにいるよりかはずっといいはずだよ」
「………だな」
ヒナは気丈に笑いながら励ましてくれた。さっきまでわんわん泣いていたはずが、焦燥する俺を気遣ってくれた。彼女はそれができる子だった。
ヒナを抱え直す。ヒナもしっかりとしがみ付く。胸の辺りに広がる素晴らしい感触は、あとで思い出せばいい。
迂回すれば時間をロスする。ここは意を決して、火事のなかを突っ切ることにした。まだ完全に燃えていない道路も見えた。そこを通れば時短となる。
おかしいな。俺、この世界の住人ではないのに、窮地に瀕すると学園のこととか、自分のこととかを少しずつ思い出してきた。存在するはずのない記憶なのに。
それと同時に小此木瑛亮としての記憶も鮮明に残っている。
だからかな。足取りもしっかりしている。ヒナも不思議がっている。なぜこんな窮地で、俺が躊躇いもなく火事現場を走れるのだろうと。
答えはひとつ。
もうそろそろだからだ。
ソータはアイリを連れて、どこかの避難所にアイリを収容するが襲撃に遭い、シャッターを閉めるしかなかった。ひとり残されたソータはその場から離れ、学園の地下にあった施設に逃げたところで発見するのだ。
新型のガリウスを。
天破のグラディオスにおいて、第1話から最終回まで共通して敵対するアンノウン。人類はこれに対抗するための兵器製造に着工し、その末に辿り着いた答えがガリウスと呼ばれる7メートルほどの人型兵器だ。その歴史は古く、サフラビオロスで製造された新型に至るまで様々なタイプや過程が存在する。
ソータは学園に在籍するマッドサイエンティストみたいな教授が依頼を受けて生徒には秘密で製造したそれを発見。搭乗し、初陣を飾る。
燃え盛る研究棟が爆発し、俺から見た斜め右からライトブルーの色彩をした一号機が上空へと飛び立ったのを確認した。
「あ、あれって………!」
「喋るな。舌噛むぞ!」
「ひゃあ!?」
いよいよだ。新型ガリウスの離陸音。バーニアやスラスターが火を噴く音。たまらねぇな。ゾクゾクする。
ってことは、もう第1話が終わる頃か。くそ………できるならソータの勇姿を近くで見たかった。
けどそうも言っていられない。こっちだって命懸けだ。
いくつもの棟を抜けた先。学園の裏門に差し掛かる。その先にある避難所に滑り込めればいい。
と、考えていた矢先。
俺の記憶にとあるイメージが浮かんだ。
18話くらい書き溜めたのに、もうこんなに放出してしまいました。
Xの方ではエー先輩の画像をアップしました。AIってすごいですね。ラフ画を載せて、プロンプトを打ち込むだけで要求どおりのイラストを生成してくれるのですから。いずれ全キャラクターを生成したいところですが、私の絵心の無さから挫折するのが先かと不安に思っております。
作者からのお願いです。
皆様の温かい応援が頼りです。ブクマ、評価、感想、いいねなど思いつく限りの応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!
また、誤字脱字などのご指摘もいただければ、是非ともこの機会に勉強させていただきます。




