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その名はB02

「おやっさん。ケイスマン教授のデータ、どうやって手に入れたんですか?」


 これは通例というか、ロボットアニメのメインメカニックというか、整備士長は多くが「おやっさん」と呼ばれている。たまに女性メカニックもおやっさん呼ばわりされてるアニメもあったかな。


 グラディオスの整備士長であるカイドウも「おやっさん」と多くの部下たちに呼ばれ親しまれていた。


 俺もそう呼ぶことを許されている。というか推奨された。本人に。同級生らはまだ抵抗感があるようで、俺が遠慮なく呼ぶと、カイドウは嬉しそうにしていた。


「気を悪くしねぇでほしいんだがな。お前とソータの奴を引率して、シドウがサフラビオロスに潜ったあの任務よ。シドウはアスクノーツ学園の地下にあるメインサーバーにアクセスして、お前らのプロフィールを持ってきたんだが、同時にケイスマンのガリウスについての情報も引き出させた。だがよ………なんていうかな。奇妙なことがあったらしいんだわ」


「奇妙?」


「ケイスマンが管理しているサーバーにアクセスした途端、シドウがなにもせずに送られてきたんだとよぉ。まるで、ケイスマンが俺らが研究データを欲しがってるのを知ってたみたいにな。欲しけりゃくれてやるって感じでよ」


 ケイスマンなら、やるだろう。


 ここまでくると効率的というか、合理的な思考をしていたひとなんだと理解できる。


「送られてきたのが、印刷したプリントにある設計図ですか」


「まぁな。だが、まだ先があった。それがこれよ」


 整備士たちが四苦八苦しているモニターに表示されている数字や暗号が羅列する、意味不明な怪文書。


 カイドウも目を凝らして見ていたのだが、彼にとっても理解が及ぶ境地ではないらしく、数秒で諦めて眉間の辺りを指圧した。


「俺に解読しろって? いや………確かに去年、ケイスマン教授のところでお世話になってましたけど、暗号の突破の仕方なんて教わっちゃいませんよ」


 小此木瑛亮、エース・ノギともに暗号解読の心得など持ち合わせてはいない。


「そりゃお前、全部やれたぁ言わねえよ。でもな、お前ならわかるかもしれねぇだろ。ケイスマンってやつの………なんだ? 癖とか。口癖とか。そういうのがヒントになるかもしれねぇだろうが」


 当たってるよ、おやっさん。


 ケイスマンの遺産と呼ぶべきものの全容が明らかになるのは第2クールで、そこからも胸熱展開だったのを今も覚えている。


 さて、そろそろかな。


 茶番みたいな会話を続けていると、カイドウがうまくそれっぽい展開にしてくれた。


 俺は「ものは試しだ」なんて演技をしながら、整備士たちが陣取っている作業台の中央に立ち、モニターをタップする。


「癖………口癖………あ、そういえば」


「どしたい?」


 もはや茶番だな。笑うと不信がられるから、あくまで自然に誘導する。


「ケイスマン教授にはお子さんがいるらしいです。俺らよりも年上で、地球にいるらしくて」


「ほう。地球たぁ物好きな」


「長く会えてないけど、達者でやってるならいいって言ってましたけど、やっぱり寂しがってたらしいです。そういえば、クラウドのどこかに写真があるって言ってましたね」


 すべてコピーしているならあるはずだ。


 モニターを操作して暗号文を一端隅へと押しやり、個人クランドにアクセス。パスワードは連合軍の権限で強引に突破。


 さぁ、ここからだ。


 ファンとしての腕の見せどころかな。


「ああ………これだ。数枚だけ写真を保存してるんですって。見せてもらったことはないんですけど」


「ほう。なかなかの野郎じゃねぇか。親父に憧れて学者でもやってんのかねぇ」


「らしいですよ。若くして機械工学の権威だとか」


 そう。天破のグラディオスでもキーとなるポジションにいたんだ。第2クールでは実際に会ってるからな。


 ファイルから写真を羅列する。


 年代ごとに並べられた8枚だ。


 だが、ここにある。


 すべての鍵となるものが。


「少ねえな。息子ならもっと………こう、なんだ? 幼少期の頃から撮ったものをよう、いっぱい並べてえじゃねぇか。離れてんならなおのこと」


「おやっさんみたいに?」


「バッカ野郎! シドウは近くにいるからいいんだよぉ!」


 でも知ってるぜカイドウ。小さい頃のシドウの写真、いっぱい持ってること。


 おっと、脱線した。


「これ、変ですね」


「あん? なにがよ」


「年齢、場所、学校………まぁ、色々あるみたいだけど、関連性がない」


「写真なんてそんなもんだろうが。思い出がそこにあればいいのよ」


「思い出………メモリー。MEMORY。………色?」


「色だぁ?」


「ほら、背景のこれ。テーマパークの床とか。湖とか。夕陽。住居のマッド。息子さんがいる場所だ。例えば、最初のマゼンタにエメラルドグリーンを移動して、マゼンタ、オレンジ、レッド、イエローを重ねて………おっとぉ? なんだぁ、これは」


「お………おおっ!?」


 息子の写真が重要ではない。立っている場所。背景など、画像の半分以上を占める色彩を、メモリーのスペル順に重ねていく。ひとつのフォルダになっていくだけだが、最後の黄色い背景の画像をフォルダに入れると、新たなスクリーンが出現する。


 パスワードを要求された。


 それを見た整備士陣は、これ以上とない歓声を上げたのだった。


隠しフォルダの出現条件は、昨日朝起きたら降りてきました。こういう奇跡ってあるんですね。次のパスワード読解も30分で構築できました。私にしては上出来だったと思います。次は夜に更新します!


作者からのお願いです。

この作品は皆様の温かい応援で成り立っております。ブクマ、評価、感想、リアクションなどのありがたい応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!

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