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その名はA07

 時間が許す限りレクリエーションルームで話し合い、レイシアが解散を促しに来て、部屋に戻る。


 俺はほとぼりが冷めるまで、士官室を使っていいと言われた。


 ちなみにヒナは訪れなかった。来てもいいのに。


 今日こそちょっとだけつまみ食いをしてやろうかとも考えていた。どうやら、1年生に許されたことで、心に余裕が戻ってきたらしい。


 そして翌日早朝。ミーティングルームに集合する。


「では、各自の判断を聞こう。重ねて言うが、諸君らは民間人だ。強制はしない。辞退したからといい、これからの生活に支障を出すようなことはしないと約束する」


 クランドらしい説得だ。


 それに甘んじる生徒が数名出るのだが、それは仕方がない。


「………ところで艦長。お隣の方は?」


「今、紹介しようと思っていたところだ。彼はグラディオスの副艦長、デーテル・グレイ。諸君らのなかで何名が軍属になるかわからんが、志願すれば彼とも顔を合わせることも多いだろう。顔と名前を覚えてほしい」


 なるほど。サプライズで紹介してくれたわけだ。


 本当───サプライズだな。


 デーテル・グレイ。グラディオスの副艦長。


 薄桃色という珍しい色の髪はパーマなのか天然なのか、特殊な形状をしている。あちこちに飛んでいるような。なんか変な形の地図を見ているような。


 そして特徴的な切れ長がの瞳。


 見ろよ。あの眼圧。ハーモンでも臆さないヒナがビビってる。


 ちなみにだが、俺は彼のことを───


「よろしくお願いします。デーテル副官。エース・ノギと申しま………」



「気安く話しかけるなよ民間人がっ。………クランド艦長。先程諫言したとおりです。やはり、やめるべきです。こんな子供を徴兵して、なんになります? グラディオスは精鋭中の精鋭を集めた、エリートのみが乗艦を許された船。であるなら、こんな学生風情、どうせ役に立たないのであれば、最低限の食事だけ与えてコンテナのなかで暮らせば───」



「そこまでだデーテル。その話はもう終わった。………きみは優秀なのだが、差別的な意見を堂々と本人たちの前ですとは。呆れさせてくれるな」


 あのクランドが辛辣に黙らせるほどの、圧倒的に嫌な奴。


 なんともまぁ、典型的な差別主義者だ。独裁者の方がいいのか?


 こいつだけは、どうしても救いようがない。


 敵が人間ではなく未知な生命体、宇宙人ゆえに、どうしてもこういうハーモンを上回ってくるヘイトを集めるキャラクターを作るのは仕方ないんだけど、こいつはスタッフからも嫌われているのか、本当に容赦がなかったんだよなぁ。


 つまり、この艦のなかで数少ない非推しキャラってわけだ。


 小手調べに挨拶しただけで、こうも差別されるんだもんな。ていうか、本編より酷かったぞ? いくらデーテルでも、学生を目前にしながら堂々とディスるなんてことはしなかったはずだ。


 それに登場は次の第5話で、クランドに徴兵を反対しているシーンから始まる。演習が終わった頃、嫌味を言うためにドッグに訪れ、カイドウに摘み出される。


 今もそうだ。顔合わせだったはずが、俺たちがデーテルに嫌悪感を抱くとは思ってもいなかったのだろう。クランドは渋面しつつ、デーテルに退席を命じる。デーテルは不満そうにしていたが、最後は呼び出されたシドウに摘み出された。


「失礼した。勘違いしないでほしいのだが、彼は思い込みが激しいところがあるのが欠点でな。だが彼の言動が我々の総意ではない。志願をした者が差別されることなど一切無いし、しなかった者をコンテナに詰めたりはしないと約束させてもらう。では、仕切り直しだ。志願する者は前へ」


 本編が再開する。


 ソータたちは一歩前に出た。デーテルに挨拶しようと、先に一歩前に出た俺の隣に立つ。


「なるほど。では前に出なかった者はこの場に残ってほしい。これまでは部屋を適当に割り振っていたが、軍属と民間人が共同生活していては肩身も狭かろう。部屋割りを見直す」


 就職と無職を識別するようなものだが、仕方がない。


 確かに、軋轢が生じかねない問題だ。同室に志願もせず、毎日食っては寝てを繰り返す者がいれば、必ず差別されたり、いじめの対象になる。


「だが、軍務とは関係のない簡易的な仕事はしてもらうのでそのつもりでいてほしい。レイシア。彼らを頼む」


「はい。艦長」


 軍務とは関係のない仕事か。なんだろう。料理や洗濯とかかな。無職であっても引き篭もることは許さないのは英断だと思う。24時間、することもなく食べては寝るだけの生活は鬱病に繋がりそうだし。


 レイシアが軍属にならない1年生たちを一角に集め、俺たちはそのままクランドに向き合う。


「すでに先日、2年生たちは個別の面接を終えて、問題なく現場に出ている。流石はアスクノーツの学生だ。ガリウスGのマニュアルを見て、適応し始めた。諸君らも面接をしたいところだが………エース・ノギ。きみは免除とする」


「え、なんでですか?」


「必要があるとは思えない。即、カイドウのところへ向かえ」


「………了解しました」


 まぁ、あれだけのことをすればね。面接をする必要もないか。


 ソータたちは「エー先輩すげぇ」なんて言ってくれているけど、どうにも俺はクランドに避けられているようにしか思えないんだよなぁ。


先日申し上げたとおり、本日は3回更新します。

土曜日に一気に更新するため、一生懸命書き溜めしておりますのでよろしくお願いします!


作者からのお願いです。

この作品は皆様の温かい応援で成り立っております。ブクマ、評価、感想、リアクションなど思いつく限りの応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!

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