再起動B08
パイロットスーツに着替えてから、ハンガーへと突撃する。
第1クール終盤以上の興奮と熱狂の坩堝が俺たちを出迎えた。
ナンバーズと呼ばれる第七世代ガリウスGを全機投入するのは、グラディオス史上、いや本編含めて初めてのことだったのである。
本編ではどうしても戦死や怪我などで欠員が出てしまった。四号機と六号機は宇宙に散ったのだ。八号機でさえパイロットが決まっていなかった。
それは今は、13機すべてが揃っている上に、一から八号機までが改修型。もはや原作を超越した戦力。極め付けにグラディオスに配備、製造されないはずのタキオン。
感無量である。ファンがもしこれを見れば、青天の霹靂以外のなにものでもない。
その甲斐あって、ハンガーでは整備士が出撃前の、自分たちの戦場で戦っていた。
「シドウ! 全機スタンバイ! いつでも出せるぞ!」
「了解した! まず俺が出る! それから番号順に順次出撃させてくれ!」
「あいよおっ!」
ミチザネ親子の声も、いつもより力強い。
「エース!」
「はい!」
「無茶すんじゃねぇぞお!」
「わかってますって」
カイドウの背後を走り抜けようとすると、すれ違いに背中をバシッと叩かれる。カイドウなりの気付けだ。通り過ぎるパイロット全員に声をかけては、男女隔てなく背中を叩いて鼓舞する。整備主任からの激励だ。気合いが入らないはずがない。
『全機、そのまま聞け。ミーティングをする暇がないのでな。一号機から八号機は俺に続け。九号機から十三号機は、イーグルジャケットを装備していたとしても長時間の飛行はできない。ゆえに甲板などに配置し、グラディオスを防衛。タキオンは遊撃で構わん。いいな!』
『了解!』
「了解しました」
俺だけ適当すぎん? なんて質問は野暮だな。タキオンは規模が異なる。ネイキッド状態のまま飛行が可能なのだ。オールラウンダーとして真価を発揮させるなら攻めさせてもいいし守らせてもいい。現場の判断でどうとでもなる。
『カタパルト、システムオールグリーン』
『予想される進路に敵影無し』
『ボルテージ上昇。シドウ隊長、いつでもどうぞ』
『了解した。シドウ・ミチザネ、ガリウスG七号機、出る!』
………くぁあ! シドウの指示について考えていたら、肝心な部分を聞き逃した。
ロボットアニメ好きとしては、この発進シークエンスこそが華だろうがよ。オペレーターがせっかく、難しい専門用語を言い連ねていたというのに。ついうっかりしていた。
カラーリングが豊富なナンバーズは、全機上半身にイーグルジャケットという、第2クール中盤で登場するジャケットシステムを纏っている。
忘れられがちなことだが、それはカイドウがサフラビオロスから得たケイスマンの遺産たるデータを解読したからで、本編ではネイキッド状態のままだったものな。それを俺が第1クール序盤でパスワードを突破した影響で、最序盤から便利なツールをパイロットたちに提供してきた。
イーグルジャケットは黒を主体とするバックパックに、白銀の主翼を取り付けた大気圏内専用の、高機動を実現した強化システムだ。大型ブースター2基からなる加速こそが真骨頂。レイライトリアクターから供給されるエネルギーを遺憾無く推力に回せる。
ハンガーの奥両端にある1番と2番のカタパルトへ通じる隔壁が数十秒おきに開閉する。左右で7機を射出するのだ。すでに改修された一から八号機までは射出済み。ハナたち補充要員たちも順次発進している。
『エース。予想どおり、すでに混戦状態になってやがる。北京を覆うバリアも破られるまで時間の問題だぜ!』
「新型はいますか?」
『最悪な報せだな。Fタイプが5体いやがる』
「なら問題ありません。最優先でFタイプを潰します」
『ほんと………恐ろしいこと言うねぇ、お前。味方で本当によかったと思えるぜ』
俺もグラディオス側でよかったと、本当に思える。
『エース副隊長。シドウ隊長より、作戦変更要請です。新型を最優先で叩いてほしいとのことです。Fタイプは現在、距離を開いて狙撃しています』
「了解。全部潰します」
『っ………お、お願いします』
オペレーターにもFタイプを殲滅すると伝えると、カイドウに似た、引き気味な返答が返った。そんなにおかしいこと言ってないのにね。
「エース・ノギ、タキオン! ブラストオフッ!」
最後の、アレンの十三号機の10秒後にタキオンが出る。すると、やはり新人パイロットに最先端かつピーキーな機体の操縦は難しかったのか、上昇しようにもうまく推力を出せずにいた。
「あちゃー」
アレンを見殺しにはできない。せっかくカタパルトで推力を出すはずが、急制動をかけて減速し、下降。空中でもがくようにしていた十三号機の腕を掴んで、ともに上昇した。
「落ち着きな、アレン。大丈夫だから。冷静にやればできるよ」
『もっ、申し訳ありません副隊長! うまくガリウスGを使いこなせなくて………飛ぼうにも、姿勢制御が』
「いきなりそれで飛べってのが、新人には難しかったんだな。そうだよな。それは改善するよ。謝らなくてもいいから。落ち着いてグラディオスを守ってくれ。いいな?」
『は、はいっ』
相当慌てていたのだろう。自分だけうまく扱えない負い目と、本番の戦場で母艦から離れてひとりだけ下降してしまう恐怖で、泣き喚いて発狂するところだった。接触して回線を開くと、案の定涙声になっていて、苦笑してしまう。多分これは、俺がタキオンの前の、プロトタイプガリウスGに乗っていた頃とほぼ同じ心境なんだろうな。あの頃の俺がアレンと同じ状況になれば、自分が情けなくて、そしていつ殺されるかもわからなくて、母艦からも離れてしまって、半狂乱になるのは明白である。
十三号機を甲板に降ろす。するとハナの九号機から通信が入った。
『な、なにをしているんだ副隊長! そいつに構っていたら、Fタイプがより被害を拡散させるぞ!』
「わーってるって。大丈夫。今から本気出す」
『本気ってなに───おわぁぁああああああ!?』
ヒナたちが悲鳴を上げた。多分、九号機たちの頭上で、バスンと空気が鳴ったからだ。
グッとグラディオスの上で四肢を縮めるようにしたタキオンが、凝縮した力を解放させるように、初速からフルスロットルで飛翔する。発生したソニックブームのせいでナリアの十一号機が甲板から落下するところだった。
数秒の加速で前線に突入しようとしていたソータたちに合流した。
その背後から見ても、圧巻の一言。
なぜかって?
そりゃあ、あんた。
ガリウスGの一号機から八号機まですべて改修され、可変機になったからだよ!!
泣きそうになった。だって戦闘機みたいな形態になるんだよ?
戦闘機モードから人型へトランスフォーム。これ、ロボットアニメ好きなファンからすればロマンの塊。即ち俺の魂ッ!!
素晴らしい。素晴らしすぎる。
かつ、イーグルジャケットが主翼を補助する位置にある。俺もそこまでは考えていなかった。
対応するジャケットは少ないけど、強化パックを装着しながら変形するなんてヤバい。とにかくヤヴァイ。それを大気圏内対応機でやるのが本当にヤッヴァイ!
頭おかしいよケイスマン。あんたサイコパスだけど、天才だ。
たくさんのブクマ、たくさんの評価、とにかくたくさんのリアクションありがとうございます!
特にリアクションの総数が800を超えていたのでビビってます!
可変機は私も大好きです。あとフルアーマーやアーマードも大好きです愛してます! いつかフルスクラッチしたいと考えています。
作者からのお願いです。
この作品は皆様の温かい応援で成り立っております。ブクマ、評価、感想、リアクションなどのありがたい応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!
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