グラディオスC02
「大丈夫だよ、エー先輩。わかってるから。天秤の上にエー先輩とサフラビオロスを乗せてもね、やっぱりエー先輩に傾くよ。エー先輩が生き残るためなら、サフラビオロスに帰れなくたって、平気だもん」
強がっているだけかもしれない。
不安なのはみんな同じだったのだ。
その状況で、ヒナはソータと同じ答えを出せた。
本編ではただ黙って泣いているだけで、第4話でソータを許し、第5話でアイリとともに全員にソータの無実を訴えた。それで全員が形だけであったがソータと和解し、そして第6話であの悲劇が起きた。
けど、泣きはしなかった。
それが今、ヒナは泣きながら俺を許そうとしてくれている。
変化は大きいが、訴えかける感情は、こっちの方が大きい気がした。
「先輩………生きててくれて、よかった」
「………ありがとな、ヒナ」
「違うよ。そうじゃないよエー先輩。私はエー先輩に、怒られに来たの」
「へ?」
それこそ予想外。許しに来てくれただけでも嬉しいのに、俺がヒナのなにを叱ればいいっていうんだ?
「私………エー先輩が悪くないってわかってたのに、殴られそうになったあの時、動けなかった」
ヨロヨロと歩き、やっと俺の隣に座ったヒナ。
「ごめんなさい………せめて、私だけでもエー先輩は悪くないって言えればよかったのに。その勇気がなかったの」
「ば、馬鹿っ」
「うん。私は馬鹿なの」
「いや、そうじゃない。お前………それじゃあ、お前まで村八分になるぞ!?」
ヒナは小動物に似て可愛くて成績も優秀。ガリウスGのパイロットにも選出される。
優等生として印象が強かったのに、そんな愚考をするだなんて思いもしなかった。
「いいよ。それでも」
「よくない」
「いいんだよ!」
語調を強めて断言までしやがった。
正気を失っている可能性もある。ヒナはサフラビオロスの生まれだ。錯乱していても不思議ではない。もしかしたら、本当は俺を完全に許しきってはいないのかもしれない。
俺は内心で焦りを覚えた。
そうだ。愛していたコロニーを奪ったのは俺だ。俺はヒナにとって敵であってもおかしくはないんだ。
「エー先輩は私を助けてくれた! どうすればいいのかわからなかった私を、ケイスマン教授のところまで連れて行ってくれて、みんな無事にここまで送り届けてくれた! なのに………私は、先輩からもらった恩を、仇で返そうとしたんだよ!? 保身にまで走ってさ」
「いや、それ普通だろ」
「普通じゃないよ!」
ヒナは正義感が強い。まだただの学生でいた頃、問題児たるハーモンが誰かに絡んでいた時「やめなよ」と糾弾したことがあるくらいだ。
だから自分のしたことが許せないのか。
俺がヒナから視線を反らすと、ポスッと肩にヒナが頭を押し付けた。
「エー先輩が助けてくれたのは、今日が初めてじゃないんだよ?」
「………え」
「新入生だった頃、道に迷ってた私に声をかけてくれたのが始まり。エー先輩、パイロット科にいたから、講義でわからないことがあったら教えてくれたし。私が使ってた訓練機の故障を直してくれたり。アドバイスも色々くれた」
「………」
「なのに………エー先輩を、助けてあげられなかった」
「………」
「ごめんね。ごめん………先輩」
俺は───声をかけられなかった。
言葉を失っていた。
ヒナと交流があるだろうとは思っていた。ソータと最初に会った時を思い出せば、親し気に名を呼んでくれた。
第1話「始まりの日」の裏側で、爆発に巻き込まれても軽傷だったヒナと会った際、やっぱり彼女は俺を「エー先輩」と呼んだ。初対面であるはずがない。愛称で呼ぶくらいだ。
だから………
ヒナの言う、俺との思い出というのは、俺のものではない。エース・ノギの思い出だ。
確かに今の俺はエース・ノギだ。同時に小此木瑛亮でもある。意識はすべて小此木瑛亮だ。エース・ノギに勝手に憑依していた部外者に等しい。
だから、ヒナの謝罪が俺に向けられたものではないと知った時。
どうしても悔しくて、悲しかった。
なんで俺は、最初からエース・ノギではなかったのだろう。
エース・ノギの人生を勝手に潰した極悪人同然じゃないか。
もし彼の意識がここにあったら、なんて言えばいいのだろう。どう謝罪すればいいのだろう。
もし今、エース・ノギの意識から剥離して、本来あった人格が元に戻ったら、どうなるのだろう。
彼は身に覚えのない罪で一生誰かに恨まれる。俺の身勝手な行為で。
俺は本当に、このままで………いいのだろうか。
本当にこのまま進んでも、いいのだろうか?
「エー先輩?」
「あ………ごめん。うん。ヒナの謝罪を受け入れるよ。俺も、ごめんな。みんなの居場所を壊しちまって」
「それはもういいの。サフラビオロスは元々、敵の襲撃で、もうひとの住める環境じゃなくなったから。割り切れない部分の方が多いけど、今はこうしてエー先輩が近くにいてくれる方が、嬉しいから」
「そっか」
ヒナの肩を抱く。
一瞬だけ邪な念がチラついたが、エース・ノギの葛藤が邪魔をする。
肩を抱き、頭を撫でるだけ。
でも、それだけでも大分、心が楽になっていたことに気が付いた。
そろそろこういう葛藤があってもいいかと思い、エースを曇らせてみました。
ヒナがヒロインっぽくなってきましたね。本編ではアイリこそがヒロインだったのですが。
AIイラストでアイリを生成したんです。
でもヒナのイメージが強すぎて、どうしてもヒナの色違いにしかなりません! 色違いってポケモンじゃレアなのに、色違いしか出ないってどんなバグですか!?
私の作画能力が欠如しているのは認めます。ですがあんな結果なんてあんまりでしょう!?
てなわけで次は色々なアングルから試してみます。今日中に載せらればと思います。
今日はもう一回更新できれはと思います。
作者からのお願いです。
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