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グラディオスC01

 いやはや、参ったものだ。と頭を抱える思いだった。


 なにが最悪って、殴られたシドウと、庇ってくれたソータと、俺は検査するためにメディカルルームに連行されたのだ。レイシアの手によって。


 精密検査とまではいかなかったが、1時間はかかったと思う。


 問題無しと言われて、重たい足で四人部屋に戻れば………予想どおりの総無視から始まり、俺が使っていたベッドが破壊されていたり、デスクが傷だらけになっていたりと、笑ってしまうようないじめを一通り受けた。


 もう、笑うしかない。


 ソータが受けた仕打ちを代わりに受けて大満足しているとはいえ、これでは俺の身がもたないかもしれない。


 ちなみにだが、あのカタブツのシドウが巡回という名目で俺の様子を見にきてくれて、惨状を目の当たりにして表情を一瞬だけ険しくさせ、俺を連れ出してくれた。


「わかってはいたが、これではお前の身が危ない。見に来て正解だったな」


 なんて案じてくれちゃってさ。


 お蔭で、俺はなんと空いている士官室にいた。四人部屋なみの広域を独り占め。特別待遇ゲットだぜっ。なんて浮かれてはいられなかった。


 一度メディカルルームに戻って、シドウが艦長室に通信を入れて許可を得た。艦長も気がかりだったらしく、快諾してくれた。ツンデレどもめ。


 レイシアは俺の再来について「予期していなかった戦闘を行った末、極度の興奮による不眠症に似た症状の現れがあり。薬を処方する」なんてカルテに書いてくれた。


 なんにせよ、これで俺の身の安全は一時期保証されたらしい。ここにいる間は、だけど。


 明日から今朝に行えなかったオリエンテーションが開始される。俺の同席は免除されたが、出ないわけにはいかない。またいじめられるだろうが………お節介ツンデレやチート主人公も同席するのだ。軽微なものだろう。


「とはいえ………これから先の展望が危うくもなるかも、しれないな」


 次のコロニーに到着するまで軟禁されるのかも不明。


 いや、なんとしてもそれだけは回避しよう。


 ソータはそのまま負のスパイラルに囚われて、しかし戦うことで道を示した。


 俺も示すと決めたじゃないか。


 俺がやらずに誰がやる。


 絶対に誰も不幸にはさせない。


 ならば、この引きこもり一歩手前の、強引に作られた平和を自らの手で破り、さらなる苦境に立たなければ。


 いじめがなんだ。


 ソータ、アイリ、ヒナ、ハーモン、シドウ、レイシア、クランド、カイドウ………その他にも魅力的なキャラクターはまだいる。


 いずれ今の状況なんて鼻で笑えるくらいの劣勢に立たされるのだ。なら、悩んでなどいられない。


「よし………うん?」


 やるぞ。と一念発起した直後だった。


 ピーとドアでブザーが鳴る。来客を告げる鐘だ。


 確か、シドウの部屋と近いのだった。


 あのツンデレ少尉め。処方された薬だけじゃ足りないだろうからって、他人とのコミュニケーションがただでさえ苦手なのに、不慣れなりに温かい飲み物でも差し入れに来てくれたのか?


 よし。なら可愛がってやるぞ。


「どうぞ───え? ヒナ?」


 許可を音声入力すると、開錠し、ドアがスライドする。


 来訪者はツンデレ不器用少尉ではなく、後輩のヒナだった。


 いつもの明るくて小動物みたいな愛嬌がない。俯きがちな顔からは、表情を見ることさえ適わない。


「ど、どうした? 消灯時間はもう過ぎてるはずだろ?」


 照明を落とした部屋ゆえ、壁のライトスタンドしか光源がない。


 ヒナは無言のまま入室すると、ドアがスライドして閉まる。薄暗い部屋にふたりが閉じ込められた。


「よくここが、わかったな。俺、移動したなんて言ってないし」


「………シドウってひとが来た時、少し騒ぎになってたから。先輩が連れてかれたって噂になってたよ」


「そっか」


 シドウは四人部屋の俺のスペースが荒らされた惨状を見ても、怒鳴らなかった。


 しかし俺を連れ出す時、他の部屋の連中が数人廊下に出て、俺たちの背中を見ていたものな。それが女子部屋がある区域にも伝播したか。噂っていうのは広がるのが本当に早い。


「でも、だからって俺の部屋を誰が教えた? シドウ少尉のところにでも行ったか?」


「レイシアさんに教えてもらったの」


「ああ、そう」


 レイシアは個人情報をペラペラと喋るタイプではない。賄賂があれば別だが。


 情報通の魁として、女子には大層な人気だった。みんなのお姉さん的ポジションにいたのもある。


 だからって、レイシアがホイホイと俺のことを教えるはずがない。


 ヒナという俺の後輩であっても。


 教えたのは、余程のことがあったか。それともレイシアの直感がそうさせたか。


「………ヒナ?」


「………」


 ヒナは部屋の中央に立つ。


 今朝のように、俺の隣に座ってはくれなかった。


 ………当然だ。あんなことがあった。


 本編では語られなかったが、第1話でヒナは大勢の死を目撃し、それでも気丈に振る舞い、ここにいる。


 すでに限界だったのだ。


 追い打ちとして、俺がヒナも住んでいたサフラビオロスを破壊した。


 恨まれても、仕方ない───


「エー先輩が、手を抜くはず、ないもんね」


「え?」


「ソータくんだって必死だった。先輩を守ってた。シドウさんも。初めてあの怪物の全貌を見たけど、あんなのと戦って………たった3機で相手をしたんだもん。武器だって満足になくて………でも勝つしかなかった。私だって、先輩が死んじゃったら………嫌だもん」


 ヒナは震えながら語った。


 大きな瞳から涙がこぼれ落ちている。


「じゃあ………仕方ない、よね。サフラビオロスが………壊れちゃうのも」


「………ヒナ」


コーヒーと電子煙草を嗜みながら、時折夕陽を見て執筆するのは最高ですね。

パソコンで執筆すると効率が違います。いつもはタブレットなので、早い早い。

今日はもう少し………できれば、あと2話更新できればと思います。チェックしていただけると嬉しいです!



作者からのお願いです。

この作品は皆様の温かい応援で成り立っております。ブクマ、評価、感想、いいねなど思いつく限りの応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!

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