グラディオスB07
お陰様で日間ランキングに載りました! ありがとうございます!
「で? 堅物息子が取ってきたデータのなかに………ヤツのことはあったかい?」
尋ねるカイドウは一杯だけと言っておきながら、2杯目を注ぐ。クランドもたまらずグラスを突き出すと、無言で注がれた。
「少しだけな。だが、目ぼしいものはなかった」
「ケッ。愚息がしくじったか」
「いや、シドウ少尉はよくやってくれた。短時間で学園のサーバーから、この艦に収容した難民全員のデータを持ってきてくれたよ」
「なら、いいんだがよ」
シドウの評価を改められると、表情を緩めるカイドウ。
クランドは一瞬だけ苦笑し、カイドウを見る。
「ゆえに、お前の分析だけが頼りとなる」
「わーってるよ。………おい、ハルモニ。これを再生しな」
『イェス。マスター・カイドウ』
カイドウは腕の端末からデータを送信すると、受信したハルモニは、備え付けのスピーカーから音声データを再生する。
『だぁっ………くそが! 姿勢制御のプログラムがイカれてんのかぁ!?』
その声は知っている。
クランドとカイドウが、ソータ・レビンスと同等、あるいはそれ以上に着目していた少年の声だ。
これが初陣であるためか、だいぶ切羽詰まっている荒々しい声音と口調だった。
「整備科の生徒ゆえ、異常を検出できたと?」
「こいつ、去年までパイロット科にいたんだろ? だからかもな。ちなみにだが、所々破損してやがんのか、聞き取りづらいところもある。そこは許してくれや」
カイドウが持ち込んだ音声データは、プロトタイプガリウスGのレコーダーだった。通信履歴からヒナが操縦する救命ポッドと通話していたことも知っているが、肝心となる部分を掴むべく、クランドと情報を共有しようと持参したのだ。
『ケイスマンめ! プロトタイプだからって中途半端なプログラムのまま放置しやがったな!? こちとらザザッ、ザ生したチートハーレム勇ビーギャも、ロボットザザザッの天才チート人造人間パイロットでもねぇんだよ! 操縦中にOS書き換えろってかぁ!? 冗談じゃねぇぞ!』
「………彼はなにを言っている? OSを書き換えるだと?」
「いや無理だろ。チートハーレムなんちゃらとか、天才チート人造人間だとか………なにか? こいつアニメ見過ぎなんじゃねぇのか?」
その少年の言動に不安を覚えるふたり。
だが、暴走は未だ衰えず。
『やってやらぁ! できらぁ! なんて言えるのはな、本当にそれができる奴のことで、一流でもなんでもない俺にできるはずがねぇだろうが!』
「この音声はやけにクリアだな」
「いや、問題はここからだぜぇ。マジでわけわかんねぇとこ言い出すからな。そこまでは割愛する。………ここだ。ノイズが酷ぇが、まぁ聞いてくれや」
腕の端末で調節したカイドウ。
彼がもっとも疑問視する時間からの再生が始まる。
『エース・ノギ………スタッズザザザ、ザは無かった名ブッ………にはエー………そうだ。サフラビオロスからの難ザザッ………あと、ソータ以外にも軍………だっけ。俺もそのひとり………こんなザザッ、知ったら、楠木の奴、嫉妬で狂い………』
「よりノイズが酷くなったな。………ハルモニ。彼はなんと言っている?」
『不明です。唯一判明するのはクスノキなる人物が、なんらかの要因を認知した際、嫉妬した末に発狂するかもしれない。という予想のみです』
「だな。だが、問題はそこじゃねぇ。………ここだ。ノイズが少なかった」
また時間が飛ぶ。
『ここは太陽………ザッ、極度に寒い。熱源などありゃしないのに………ああ、やっぱザザッ………サーモに切り替えるとすっげぇピーザザッ………』
「………サーモ? サーモグラフィーのことか?」
「索敵システムのひとつだろ」
「なぜ………そんなものを使う?」
「わからねぇ。確かにアンノウンは熱の塊だ。んなもん調べたところで………待てよ?」
「カイドウ?」
「ハルモニ。そのデータのなかにゃ、プロトタイプガリウスGの交戦記録も入ってるな。読み上げろ」
『イェス、マスター・カイドウ。………プロトタイプガリウスGが最初に交戦したのは、アンノウンと思しきものです』
ふたりは顔を見合わせて首を傾げる。クランドがより明確にするためにハルモニに問う。
「思しきもの、とは? アンノウンではないのか?」
『正確に述べるなら、アンノウンで間違いありません。しかしエンカウントする前に、アンノウンは消滅しました。よって、どのタイプであるのか判別が不能でした』
「出現する前に………消滅した………そんな、馬鹿な」
高性能AIが検出した解答に、クランドは愕然とする。
これまでそんな現象は起きなかった。
「じゃあ、なにか? エース・ノギって野郎は、レビンスやシドウでもできなかった方法でアンノウンを撃破しやがったのか!?」
『イェス。しかし、これを撃破数にカウントするべきかは不明。プロトタイプガリウスGは出力全開でアンノウンに突撃し、衝突する寸前で急制動をかけました。結果、アンノウンは消滅したのです。その際の音声を再生します』
『はは………やっぱ………は、質量をワープ………ザザッ作って………ピーッ、SFチックな設定………でもワープに必要とされ………熱量を超えると………維持できな………すげぇな。掟破り………あ、あれ? 戻れな………』
「質量をワープ。熱量を超える………待てよ? 確か、プロトタイプの右肩のスラスターがとんでもねぇ壊れ方してやがったな。ありゃあ、てっきりとんでもねぇ操縦やらかしたとばかり………」
『プロトタイプガリウスGの損傷は多くありましたが、顕著となるのは頭部と右腕部です。これらの情報を統合し予想すると、エース・ノギはアンノウンの出現を予想し、熱源をサーモグラフィーで察知、スラスターの熱でワープに必要とされる熱量を外部から介入するように上昇させ、アンノウンの出現を阻止した。と考えられます』
「マジか。掟破りって、そういうことかよ………」
「………どうやら我々は、とんでもない人物を迎え入れてしまったようだな」
エース・ノギはソータ・レビンス以上に未知数な男である。
クランドとカイドウは絶句し、前代未聞のアンノウンの攻略法を試した学生の少年に畏怖するしかなかった。
前書きでも述べましたが、日間ランキングにランクインしておりました!
投稿してから5日で載るとは思っておりませんでしたので、雀躍しております。本当にありがとうございます!
ですがこんなものではありません。私は本日、書いて書いて書きまくります。正月なんて返上です。せっかくの休日を執筆に費やすのも理想のひとつ! 本日はまだまだ更新します!
作者からのお願いです。
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