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反撃のグラディオスC02

 参っちゃうもんだよな。


 本編では、もうとっくに戦闘が終わり、エンディングに入っている頃だろうに。


 なぜ俺はエンディングの余韻にも浸れず、脳内チップのキャパも70パーセントを超えているというのに、必死になっているのだろう。


 神経接続されたタキオンは、足元に設置されたものを、マニュピレーターの繊細な動きで拾い上げる。


 もう、それを身に纏っている暇も余裕もない。地球の重力のなかにいるのでは、背負うこともままならない。


 引きずってでも甲板を進む。


 ブリッジのメインモニターに、甲板にいるタキオンが収容列から離れて、グラディオスの機首へと向かっているところが映ったのだろう。『おお!』と感嘆する声や『エース副隊長ぉ!』と縋る声も聞こえる。


 いいぜ。全部背負ってやるよ。


 今回の俺、見せ場をほとんどソータとアイリに持って行かれてしまったもんな。


 たまにはいいところ、見せたいもんな。


「アーレスさん! 前方のレイライトリアクターで製造したエネルギー、全部こっちにください!」


『なるほど。そう来たか。さすがだよエースくん。判断が早い。そして、その行動がグラディオスの切り札となるのなら、私にもはや躊躇いはない! さぁいくよエースくん! すべて受け取りたまえ!』


 甲板の装甲が跳ねて、伸びるケーブルから、レイライトブラスターを発射するために製造したエネルギーがタキオンが携える砲身に注がれる。


「グラディオス! 絶対にこのポジションを維持しろよ! あと2発、レイライトブラスターをブチ込めば勝てるって言ってたよなぁ。ならその2発、俺がぶち込んでやるよぉっ!」


『お願い、します………エー先輩! グラディオスを、どうか!』


『エース副隊長! この艦の命運を、きみに託す! 私からも頼む。支援は惜しまない! あのEタイプをきみの手で倒してくれ!』


「了解ぃっ!!」


 本来、背部に背負うはずのタンクや排熱機構は甲板に放置する。


 欲しいのは両手で携える、15メートルほどの砲身だけ。


 ブラスタージャケット───廃コロニーで発見した、放置された陽電子砲である。


 宇宙空間でグラディオスを追撃していた小型を迎撃する際に用いた。効果は絶大だが、連射するとオーバーヒートしてしまい、一時的に使用不能になってしまうのだ。使えなくなった陽電子砲をパージし、ケーブルが巻き取られてジャケットごと床に設置されていたのを忘れていたのだ。


 両腕で携える陽電子砲を、タキオンによって再び運用する。


 しかし、いざ構えてみると、落下途中だからかなかなか照準が定まらない。


「ブリッジ! 砲術長! タキオンの照準が定まらない! 補助を!」


『了解だ副隊長! そうか、お前脳内チップのキャパが少ないんだな。システムをグラディオスに同期しろ。俺が誘導する。その後、お前の照準の妨げになってる要素を全部取り除いでやるからな!』


 余裕のない俺を助けんとして、クランドの宣言どおり大勢が俺のために動く。


 脳内チップでグラディオスと接続すると、オペレーターが誘導して、砲術長がタキオンの照準に介入。


 俺の視界が急にクリアとなり、様々な障害が取り除かれる。


 素直に感嘆した。技術の違いで、不安定な環境であっても普段どおりの照準が合わせられる。


 今の俺がこれを撃てるのは、グラディオスが一丸となって、その思いを込めているからだ。


『タキオン、第一射、撃てぇえええええッ!!』


「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


 鳥肌が立つ。クランドの声に鼓舞された。タキオンが陽電子砲を発射。砲術長の神がかった照準で、Eタイプの下顎に直撃。


『第二射、エネルギー装填開始!』


 アーレスが叫ぶ。


 俺のためにアーレスも全力を尽くす。


『エー先輩っ!』


『決めろぉぉおおおおおおお!!』


『信じてるからね、エー先輩!』


『エー先輩なら絶対にやれる!』


 パイロットたちの応援が、耳に届く。


『Eタイプに反応! 雷撃、来ます!』


 Eタイプもただ滅ぼされるのを待つだけではない。抵抗を始めた。


《ハルモニ! サブシステム用意!》


《イェス。メカニック・エース!》


 これから迫るであろう電撃に備えを始める。


『第二射、エネルギー充填完了!』


『副隊長! 第二射、撃てぇええええええええええ!!』


「っしゃぁあああああああああああああ!!」


 この絶叫が重なる瞬間。全員の戦意をも合わせ、電撃をも寄せ付けない放射を開始。


 甲板が軋む。急なエネルギーの充填に砲身がオーバーロードし始める。


 それでも第二射は、Eタイプの急所を隠していた下顎を消し飛ばし、ついに黒い球体───コアが露出したのだった。


 だが、電撃がグラディオスを襲う。甲板にいたタキオンも無傷とはいかなかった。


「ぐぅううううう………ぅぅぅ、ぐぎぃぃいいいい!!」


『エース! まだやれるか!?』


 神経接続型であることが災厄した。電流でそこかしこに異常が発生すると、それを痛みとして全身が錯覚し、叫んでしまうほどの苦痛が生じる。


 だが、そのくらい承知の上だ。


 一時的にタキオンのシステムがダウンするが、飛びそうになる意識をギリギリで繋いで、腕の端末にいるハルモニに、タキオンのサブシステムの起動を促す。一瞬で再起動したタキオンが、陽電子砲を構え直した。


「まだ………まだ、やれます!」


『しかし、そのジャケットでは………』


『待っていろ! すぐに新しいケーブルを出現させる!』


 電撃でタキオンは一時的な機能の停止に陥ったが、陽電子砲とグラディオスを繋ぐケーブルが焼き切れてしまったのだ。


 あと一撃というところで足踏みを強要されるも、タキオンは新しいケーブルを取りに戻るでもなく、飛び上がると飛翔しながら相対速度を合わせ、Eタイプへ照準を合わせる。コツは掴んだ。


『な、なにをしているエース!』


「もう大丈夫です。露出したコアを仕留めるのに、もうエネルギー供給はいらない。ここからはもう、タキオンだけで事足りる!」


 タキオンのレイライトリアクターはガリウスGよりも大きい。60パーセントのエネルギーを消費しようが、問題はない。




「食らえ………これで終わりだぁああああああああああああ!!」




 なぜか、頭のなかがクリアになって、Eタイプがよく見えた。


 俺はその視界を頼りに、陽電子砲のトリガーを押し込んだ。


ブクマ、リアクションありがとうございます!

明日から2回更新に戻させていただきます。

明日から始まるのは………本編では語られなかった物語です!


作者からのお願いです。

この作品は皆様の温かい応援で成り立っております。ブクマ、評価、感想、リアクションなどのありがたい応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!

誤字脱字報告、ご質問も大歓迎です!

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