反撃のグラディオスC01
重力という不可視な檻のなかに囚われたグラディオスとEタイプ。
双方が用いる推進力を総動員し、対面しつつも確実になにかをすり減らし、その瞬間を待っていた。
Eタイプはレイライトブラスターの連続掃射を受けて激しく損害を負っているが、コアにはダメージは達していない。赤熱化している本体は、宇宙空間にいた頃よりもより力強さを増しているように見える。
敵の狙いは、空力加熱が終了し、冷却に転じた瞬間にグラディオスを襲うことだろう。
一方でグラディオスは宇宙空間とは異なり、重力という檻のなかに囚われてしまっては、いつもの機動力も半減してしまう。なんとしてもEタイプが本調子を取り戻す前に討たなければならない。
条件はさらに厳しくなる。もし中途半端にEタイプを討てば、仮に飛翔能力を奪ってしまうと、250メートルほどの巨体が海、あるいは地表に落下してしまう。
海ならまだしも、陸地となると話が違う。今も多くの難民が流れているこの星で、防衛圏を構築していない廃墟に落下するならまだしも、主要都市に落下すれば悲惨なことになる。
ゆえに今、倒し切らなければならないのだ。
『姿勢制御! 相対速度合わせ! 目標、Eタイプ! 奴が反撃に転じる前に叩く! 全砲門、照準合わせ! 砲撃開始!』
クランドの指示によってグラディオスが動く。
大気圏内に突入してもなお戦闘をやめようとしない強行姿勢。少しでも間違えばどこかが壊れて、墜落というのもあり得るのだ。
副砲とリニアキャノンが発砲を開始。熱と空気抵抗を計算した軌道を描く。
ただ、やはり質量も異なるし、直撃したとしてもどうしても推力が減退し、コアには届かない。
『やはり、大気圏に突入するのが早かったんだ。予定ではあと2発、レイライトブラスターを当てるつもりだったけど、Eタイプは地球に逃げてしまった。………こうなったら、艦をぶつけるしかないのか?』
『いや、下手をすればグラディオスまで落ちかねない。オペレーションテンハが前倒しになったことで攻撃方法が限られてしまったが、それでもまだ手段はあるはずだ。諦めるな!』
クスドがミスをした結果ではなかったということか。
Eタイプはレイライトブラスターの直撃を避けるべく、地球に逃げた結果、Eタイプへダメージを与えきれぬまま双方が大気圏突入という、作戦を早める結果になってしまった。
これではEタイプの思うがままだ。
今は双方、ろくに動けない。それどころか試行錯誤をした末に、艦のサイドから伸びていたリニアキャノンが無茶な砲撃で壊れてしまったとオペレーターが叫んでいる。
『それなら………誤れば地上の被害が免れませんが、このままレイライトブラスターを撃つしかないと思われます!』
『それしかあるまいな。Eタイプへの対抗策は、やはりレイライトブラスターしかない。………グラディオス機首のレイライトリアクター、回転数上昇を開始させろ!』
やはり、そうくるか。
もうこの先はどうなるかはわからない。グラディオスも限界だ。ガリウスも同様に出し尽くした。半分以上が艦内に収容されている。
Eタイプに多大なダメージを与えるには主砲しか方法がないのなら、躊躇っている場合ではないのだ。
『レイライトリアクター回転数上昇! 臨界まで20!』
『ま、待ってくだだい! レイライトブラスターで異常発生! 主砲が空力加熱で融解を始めています! このまま撃てば、どんな被害が出るかわかりません! 最悪、グラディオスが爆発しかねません!』
『くっ………こんな時にか!』
アーレスの中止要請に、全員が歯噛みする。
あと一手なのだ。深手を負わせ、動くことができないEタイプをあと少しで倒すことができる。
それなのに可能とする方法が、ことごとく潰えていく。
歯痒い時間が続く。赤熱化が終わればEタイプに反撃されてグラディオスは墜落を免れないだろう。
『っ………やむおえない。一か八か、グラディオスで近接戦を仕掛けるしか………!』
クランドらしからぬ発言。クルー全員の命を捨てるような無謀。
それを回避すべく、艦内では必死に対抗策を全員が探しているだろう。
ソータやアイリは覚醒を終えて動けない。残りのガリウスで、Eタイプに痛烈な一撃を加えられるのかといえば、ジャケットを失っては攻撃力の底上げもできない。捨て身の特攻など、カイドウが許すはずがなかった。
《ハルモニ! 現時点で、Eタイプを落とせる手段はないか!?》
《ノー。グラディオス、ガリウス、タイオンであっても、Eタイプに致命打を与えられる武器はありません》
バスターソードは、傷無しだったEタイプを倒した直後に限界を迎えた。
タキオンの残存装備を確認する。
ヒートナイフ1本。ヘビィガン残弾6。たったこれだけ。
どうする。どうする。どうすればいい? なにをすれば勝利に貢献できる? 全員を導ける?
なにか忘れていないか? 最初から───フェイズ1から思い出す。そこになにかヒントがある気がした。
グラディオスを囮にした。廃コロニーからソータたちが出撃した。挟撃。タキオン発進。コウを救った。Eタイプに廃コロニーをぶつけた。大気圏突入でEタイプと対峙した。
原作とはかけ離れた展開。
全員の装備………例えばガンビッド? ダメだ。あれは大気圏外だからこそ使える。無人誘導兵器は大気圏内では自重を支えきれず、飛ぶこともできない。
ではなにが………なにか………肝心なものを見落としていないか?
なぜか、そんな予感がしてならない。絶望感が色濃くなる。心臓が早鐘のように暴れ狂う。大きく吸い込もうとしても浅く、短くなってしまう呼吸。
それでも、どうかなにか、なんでもいいから、ほんの少しでもいいから、活路を見出したかったのだ。
膝立ちだったタキオンを起こす。周囲を見渡す。なにもない。
それでもなにかと、一歩足を進めようとした、その時。
ガツン───と、つま先がなにかに触れた。
メインカメラを下に向ける。
息を呑む。
「………あった。これだぁ」
それを発見した時、俺は笑わずにはいられなかった。
運命としか思えなかったのだ。
「グラディオス! コントロール! 進路そのままぁ! 姿勢制御を維持しろぉっ!」
『エース? まさか、この劣勢でも、またなにかしようというのかね!?』
「そのまさかですよ艦長ぉ! こんなところで終わってたまるかあっ!」
それはとても困難な所業なのかもしれない。
だからと言って、それで諦めるのかといえば、別の話なんだよな。
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