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反撃のグラディオスB09

 無人誘導兵器が懸架しているビーム機銃やライフルが一斉に火を噴く。もう残弾も心許ないはずだ。


 Eタイプは解体がほぼ終了しているとはコアを貫いていない。コアが無事なら半身を失おうと時間さえあれば修復ができる。人間でいえば心臓さえ無事なら下半身が消し飛ぼうが時間をかければ自己再生するとかいう到底不可能な事象。


 ガンビッドとドローンカメラの援護射撃が俺とソータの道を開く。


 バスターソードの剣尖を、Eタイプの胴体を焼き潰している無人誘導兵器のビームが集弾している場所に叩き込む。


 熱を熱で制する。この果てない戦争が始まって以来、取られてきた有効手段。


 バスターソードの剣尖がEタイプの表面を貫く。


 タキオンは槍と化す。内面に潜り込みさえすれば、アンノウンは脆くなる。


 Eタイプの肉を裂き、その先にある黒い球体に切っ先が触れた。


 次の瞬間、球体に衝撃が走る。対面側に一号機が来ていた。


 俺よりも距離があったはず。しかしそれをものともしない凄まじい破壊力。可能としているのは、やはり覚醒したゆえに。


 今もなお爛々と光芒を放つ瞳が、アンノウンの命を奪わんとして、バスターソードをコアへ叩き込んだ。


 中央へ潜れば潜るほど熱量も増す。ビームシールドを全開にしているとはいえ、このままでは機体がもたない。


 若干の焦りが生じた時、コアに突き立てたバスターソードの手応えが、急に緩くなった。


 あまりの熱量に、ついにバスターソードさえ融解したかと、刀身を分析しようとした時───反対側からバスターソードの剣尖が、にゅっと生えた。


 一号機がコアを貫通させたのだ。


「は、はは………やっぱ勝てねえな。………本当の覚醒者に、追いつけるはずがなかったか」


 スペックではガリウスGを凌駕するのがタキオンであるはず。


 その差を簡単に埋めるどころか凌駕してしまえるのが、作中最強のパイロットであるソータ・レビンスの真価なのである。


 バスターソード同士、あるいは機体同士が接触しないよう擦れ違い、俺たちは対向のルートを進んでEタイプの体内から脱した。


 コアを失ったEタイプは、鈍く軋みながら前傾し、やがて待望の瞬間を迎えた。


 この個体ではないにせよ、一回り小さかろうと連合軍艦隊を単騎で壊滅させられる戦闘力を有する化け物を、初めて撃破した瞬間である。



『うぉぉおおおおおおおおおおおおお!!』



『っしゃぁああああああああああああ!!』



『わぁああああああああああああああ!!』



 ヘルメットのスピーカーから響く大声量。


 それがパイロットによるものなのか、ブリッジにいるオペレーターたちのものなのか、もう判別がつかない。


 俺たちはついにやった。


 イレギュラーの連続で、後れを取るしかなく、そしてろくに戦えないはずだったグラディオスの軍勢が、Eタイプを打ち破った。


 連合軍全体が震撼せしめる事実。


 俺でさえ、震えがとまらなくなった。


 されども、まだ戦いは終わったわけではない。


 後半戦はここから───



『フェイズ7発動! レイライトブラスター、撃てェッ!!』



 クランドの決断は早かった。


 俺たちのように勝利の余韻に浸るわけでもなく、興奮する誰もを叱咤するような指示。


 冴えのある指令は、高まった指揮を停滞させることなく、むしろ加速させる。


 実は俺たちは、少しだけ危ないところだった。


 廃コロニーの爆発で遠くへ突き飛ばされた傷ありだったEタイプが戻ってきた。開いた顎から火炎弾を放とうとしていたのだ。


 そこにグラディオスが横槍を入れる形で、残ったEタイプの顔側面に、巨大なレイライトリアクターの回転数が臨界に達した状態の、フルの出力で放つ一撃を与える。


『全機に告げる! ミチザネ隊はグラディオスと合流せよ! 本艦はフェイズ7発動に従い、Eタイプと()()()、大気圏へ突入する!』


 まだ終わったわけではない。俺たちは気を引き締めてかからなければならない。


 俺たち学徒兵にとって、初となる地球圏。星の重力を侮れば死ぬ。


 グラディオスは再チャージして、レイライトブラスターを放つ。


 カイドウが整備士全員、あるいは砲雷科の人間を助勤させ、突貫で製造した2機のタイタンジャケットを、レイライトブラスターの区画に設置したのが功を奏す。原作でとった改善案だが、第2クールからの対策だったゆえ、こんな序盤から発動すると、Eタイプへのこれ以上とない対抗策となる。


 2機のタイタンジャケットで巨大なレイライトリアクターを挟み込むことで、熱に耐久できなくなった周囲の設備を冷却するのだ。


 その後、3発目もEタイプに直撃。傷ありだったEタイプは、上顎と下顎の半分を失い、主砲の衝撃に耐えられず、遠くへと突き飛ばされていく。


 グラディオスもEタイプを追うように航行した。サッカーのドリブルがごとく、Eタイプを目的地まで誘導する。


 目的地は、クスドの常軌を逸する、原作にはない設定。地球。


 ガリウス部隊はグラディオスと相対速度を合わせ、甲板に着艦する。エレベーターで順番に艦内へと収容された。


『総員に告げる! これより本艦は大気圏へと突入する! その時、艦内は強制的に重力に囚われることとなるだろう! これまでとはまったく異なる環境となり。全クルー、なにがあろうと冷静な判断を心がけよ。大気圏突入シークエンスに入れば、もう中断はできない!』


 後戻りのできない強引な作戦が開始されるのだ。


 前代未聞だよなぁ。もし俺が、テレビの前でこんなのを見れば、確実に齧り付く勢いで全神経を集中させ、呼吸をするのも忘れて没頭していたに違いない。


 6発目のレイライトブラスターがEタイプに直撃し───数十キロのドリブルを終えたところで、Eタイプに異変があった。


 エレベーターで収容される順番を待っていたタキオンは振り返る。


 そこに巨大な青いものが、前方に広がっていた。


 いつしかグラディオスも、地球に迫っていたのだ。


 地球は丸くて、青くて、大きい。Eタイプなんて豆粒くらいだ。


 そんなEタイプが、より赤く染まっている。


 グラディオスが連射した主砲により、ついにEタイプが重力圏に捕まった。


 地表へ向けて降下すると、大気との摩擦で赤熱化するのだ。


 そしてグラディオスも、同様の赤熱化が始まる。


 ブリッジではオペレーターたちが大気圏突入シークエンスを読み上げている。


 俺にとっても初めてとなる経験だ。


 宇宙から地球を見るのも。大気圏に突入するのも。


 グッ………と全身がコクピットのシートに沈んでいく。


『んっだ………こりゃ』


『全身が………重い………』


『落ち着け。これが地球の重力だ。死ぬわけではない。冷静に待機しろ』


 宇宙生まれのハーモンとシェリーが呻く。シドウは何回か経験があるのか、体に発生した重みを受けても、声音が落ち着いていた。


 俺にとっては久々………というよりも、思い知る結果となる。


 生前はなんてこともなかったのだ。これが普通だと思っていた体の重み。それをいざ再体験すると驚いてしまう。こんなに重たいものだったのかと。


 操縦桿を握れたとしても満足に動かすこともままならないかもしれない。


 グラディオスによって直接摩擦熱を受けることはないが、収容のための速度が停滞してしまう。パイロットたちも戸惑いを隠せない。


 しかし、そうであっても戦いは続く。


 クスド式戦術システムによって、大気圏に突入している最中に、ともに落下しているEタイプを撃つ。それがオペレーションテンハの全貌なのだから。


リアクションありがとうございます!

大気圏に突入している最中に戦いをするという発想は、イカれていると思います。実現可能なのか………は別として。

次回は19時に更新します!


作者からのお願いです。

この作品は皆様の温かい応援で成り立っております。ブクマ、評価、感想、リアクションなどのありがたい応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!

誤字脱字報告、ご質問も大歓迎です!

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