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反撃のグラディオスB06

 ドボォッ! と四号機の眼前にいたFタイプの胸に、彼がよく知る灰色の腕が生えた。って見えただろうな。



 すべてが計算外だった。


 繰り返す原作破壊行為によって、Fタイプが再び現れるとは思いもしなかった。


 だが、結果的には、まだ運だけは俺に味方している。


 そもそもの話だ。


 いくらタイタンジャケットを脱いで、ネイキッド状態で高機動になったとしてもだよ?


 同じネイキッド状態であっても、スペックが違うし、推進器の数からして、タキオンの方が速いわけだ。


 出遅れたからってなんだ。俺の体が潰れそうになったからってなんだ。


 俺は一切の甘えは捨てるぞ。


 さっきから体内でブチブチとなにかが引きちぎれる音がするけど、気にしている場合ではない。


 Fタイプは特に狡猾だ。仲間意識があるはずのない生命体は、味方陣営だって平気で犠牲にする。捨て駒大好きなイカれた軍勢なのだ。


 そこに狡猾さが加われば、直情的になったコウなんてあっさり釣れる。


 あえて初撃を放ったFタイプを囮として、葬り去った直後。別のFタイプがワープして現れ、勝利を確信した四号機のコクピットに銃口を突きつける。すぐに殺さないのは、なにかを連中なりに学習しているからだろうか?


 でも、その数秒が命取りになると、教えてやる。


「コウ。ジグの顔を思い浮かべるには、ちと速いぜ?」


「エー………先輩」


「お前らしくないミスしやがって」


 タキオンは音もなく四号機を殺そうとしているFタイプの背後に到着すると、勢いに任せて右腕を振り抜いた。


 ビームシールドを変形させて、右腕を防御しているので、アンノウンという高熱の塊のなかに腕を貫通させても数秒なら持ち堪える。


 ヒートナイフで穴を開け、腕で範囲を広げる力技。ビームシールドのコアが傷む前に腕を抜き、ヘビィガンで仕留める。


「来い。この馬鹿野郎! シドウ隊長の命令を聞かないとは良い度胸してんなぁお前」


 残心の構えのまま3体目のFタイプが出現しないことを確認し、ついに四号機の腕を掴んで飛翔する。


『………いつも命令違反してる、エー先輩には言われたく、ない』


 言ってくれるじゃねぇか、可愛いツンデレ猫め。


 けど、これで助けられた。あのタイミングで間に合わなければ、コウが死んでいた。死んでしまっては、もうこんな軽口は叩けない。


 第1クールで死んだり怪我をする人員、すべてを助けられたのだ。


 その実感が込み上げる。叫びたくなるような感慨深さを、ぐっと飲み込んだ。今はその時ではないのだ。


『エー先輩。俺がジグの顔を思い浮かべたって、なんでわかったんだ?』


「お前はジグの死を引き摺ってたからな。どうせ、俺もすぐそっちへ行くよ。とか言ってたんだろ? させねぇけどな。ジグとの約束もある。コウ、お前はジグの分まで幸せになりな。そのためなら協力は惜しまねえから。………間に合ってよかったよ」


『………すまなかった。心配をかけた』


「いいさ。お前が行ってなきゃ、アイリが危なかった」


 事実、そうだった。


 コウがFタイプの注目を集めて、罠に嵌める対象としていなければ、長距離狙撃に晒されていたのはアイリだっただろう。


 そうなれば、ソータは一気に正気を失ってしまうのだ。


「隊を預かるひとりとしちゃ、命令違反をしたお前を褒めるわけにはいかないよ。でもな。お前の先輩としてだったら褒めるさ。コウ、お前ちゃんとやれたじゃねぇか。最後の油断は抜きにしてもよ。お前、チームを守ったんだぜ? 隊の仲間の命を、ちゃんと守ったんだ。もしここにジグがいたら………泣いて喜んだんじゃないかな」


「………」


 返答は無言だった。


 けれど、スピーカーからは揺れる呼吸と、鼻を啜る音が聞こえた。


「俺………守れたよな? ジグみたいな奴を、増やさなかったよな?」


 やっと聞こえたのは再確認を問う言葉。


 それに対し、俺は自信みなぎる言葉で肯定してやれた。


「お前は守ったんだよ。ジグのような犠牲者を出さなかった。誇れ。自分を」


「………ああ。ありがとう。エー先輩」


 なにが、ありがとうだよ。


 こっちこそありがとうだ。コウが生きてくれていること。


 それだけで嬉しい。俺もちゃんと守れたからだ。


 コウの四号機を牽引すること1分。俺たちは戦線に復帰する。


『隊長。独断行動をして済まなかった。この罰は───』


『それはあとだ! 今は目前の敵に集中しろ! お前たちが遠方の敵を片付けたことで狙撃の心配はなくなったが、Eタイプも本気を出してきている!』


 シドウなりの気付であり、そして促す警戒である。


 彼の言うとおり、Eタイプ2体の攻撃パターンに変化があった。


 まだ潰していない角から、電流を放っているのだ。


 それは殺傷力としては、吐く火炎弾よりも低い。直撃してもガリウスの装甲にダメージが入るだけで、パイロットに影響はない。しかしガリウスの内部に支障が出る。電流を受けたガリウスは、数秒ほどシステムがダウンし、まともに動けなくなってしまうのだ。


 電流を受けたヒナの六号機とハーモンの三号機を、ユリンの二号機とシェリーの五号機が庇って下がらせる。結果、ソータとシドウが紙一重で回避しながら戦線を維持している。


 俺とコウが復帰することで、注目を集めるのが目的だ。タキオンと四号機はパッと離れると、電流を避けつつも距離を詰めた。


『クスドォ! 次はまだなのかよぉ!』


 ハーモンが叫ぶ。


 次とはフェイズ6のことだ。本命を叩き込む手筈となっている。


 しかし、支障はここでも発生した。


『待って………すぐに対象する! 整備士たちをパワーローダーで射出して、廃コロニーの修理に向かわせる!』


 クスドは苦渋の決断をした。人命を軽んじる決断だ。Eタイプという尋常ではないモンスターがいる戦線に、戦力にもならないパワーローダーに整備士を詰めて放つという。もし発見されれば即死は免れない。パワーローダーはガリウスほど頑丈ではないのだ。


 八号機が操る廃コロニーが、予定よりも推力を増していなかったのである。


 電流を受けて、メインバーニアがいくつか機能停止していることにあるとハルモニが告げた。


 このままではどちらも落とせない。オペレーションテンハが、こんなところで、やっと敵を追い込む肝心なところで中断を余儀なくされるというのか?


 ここでも原作破壊行為のツケが回る。俺のせいで。俺のせいで、みんなに与えた希望が、儚くも砕け散ろうとしていた。


 きっと、同じチャンスなど二度と訪れない。敵がそれを許すとは思えない。


 口が酷く乾く。


 緊張と焦りが増す。


 どれだけ計算しようが、もうすでに既存の戦力をすべて投入してしまったのでは、Eタイプの片方をも潰せない。


 ゲームオーバー。コンティニューはできない。死、あるのみ───




『………させ、ない………』




 スピーカーが、とある少年声を拾う。


 タキオンがその音源を発した機体を見た。


「ソータ………?」


 一号機は傷無しだったEタイプに接近しつつも、より機動力に冴えが増しているように見えた。




『アンノウン………許さない………よくも、アイリを殺そうとしてくれたな………エー先輩たちが作った作戦も壊して………それで終わり? させない。そんなことは、絶対にさせない。許さない。許さないぞ………アンノウンッ!!』




 ゾクッとした。


 俺は、この状態になったソータを、知っている。


 原作ではコウが死に、ブチギレたソータが、そうなった。


 けど今は、コウは生き延びている。


 つまり………アイリを狙ったアンノウンへの怒り。ある意味でデバフのようなストレスを受けたソータが、新たな能力を強引にこじ開けようとしている瞬間だったのだ。


2回目です!

次回は12時頃に更新します!


作者からのお願いです。

この作品は皆様の温かい応援で成り立っております。ブクマ、評価、感想、リアクションなどのありがたい応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!

誤字脱字報告、ご質問も大歓迎です!

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