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グラディオスB03

 ところが、押し退けた先が悪かった。


 俺たちがいたのだ。


 本編ではソータだけだが、やはりバルカン砲の砲火を受けたアンノウンBタイプと接近してしまう。


『くっ!』


 俺のプロトタイプガリウスFを牽引しながら、瞬時に軌道を変えるソータ。それでいて俺への負担は軽微。やっぱりソータは本番に強い天才だ。


『エー先輩、ちょっとだけ我慢して!』


「俺に遠慮すんな。全部任せる。信じてるからな」


『………わかった!』


 こういう時、ソータは誰からも期待をされるが、無理難題を押し付けられる。


 もう無理。安全に飛んで。はやく敵をやっつけてよ。などなど。


 笑わせてくれやがる。


 ソータはそんな言葉が欲しいわけじゃない。


 肯定だ。信じる、なんて付け加えれば、返答だって心なしか嬉しそうに弾んで聞こえる。


『待っていろ! 今助ける!』


 ソータとアンノウンBタイプとの縦横無尽の鬼ごっこにシドウが加わる。


 アニメではCGが用いられ、機体ではなくスラスターの軌跡を複雑な軌道で描くことで敏捷性を表現し、しかもバルカンの砲火も付け加え、宇宙空間をイメージした素早いカメラアングルの移動もあいまって、素晴らしい作画となった。


 そんな戦闘シーンに心を奪われたのが、この俺さ。


 でも今、第三者視点ではなく、逃亡真っ只中にいるとなると、全然話が違うんだな。



「ぶぅぇぇええええええええええええっ」



 ソータのハイスペックさを痛感した。


 いったい、どんなペダルの踏み方をすれば、こんな緩急が付けられる?


 どんな操縦桿捌きをすれば、こんな変態的マニューバになる?


 宇宙空間だから大気圏内と違って方向感覚が狂う。


 ミキサーのなかで踊る小粒の豆のような気分だ。


 悲鳴さえも置き去りにする速度。ベルトでシートに全身を固定していても、頭がガックンガックンと揺さぶられる。


 メインカメラなんて酷いもんだ。10倍速で映像を見ている感じ。右に流れたと思ったら、もう左へ。下に降りたと思ったら次の瞬間には上昇している。


 これをコンマ単位で判断しているソータ。追従するアンノウンBタイプ。それを追うシドウのガリウスF。


『無茶をするなレビンス!』


 お、シドウ少尉殿。たまにはいいこと言うじゃねぇの───


『無茶なんかしてない。この敵を撃つためのタイミングを探ってるだけ』


 ぶぅぇぇええええええええ!


『ノギが死ぬぞ!』


『死なないよ。エー先輩だもん』


 いや………ソータくん?


 俺、そろそろ次元の壁が見えてきたよ?


 超えられなかった二次元と現実の壁がさ。田舎で農業やってる両親が笑顔でファックサインをおっ立てて………クソが。


「………ソータ」


『吐きそう? 心配しなくていいよ。吐いたら、あとでヘルメット掃除してあげる───』


「そうじゃない。………聞け。そのタイミング、俺が作ってやる」


『え?』


「サフラビオロスに接近しろ。そこで俺を放して、このピカピカしてる奴を一緒に引きつけるんだ。敵だって、二手に別れればどっちを追うか迷うだろ。………シドウ少尉。その一瞬を見逃さず………うっぷ」


 ヤバい。喋ってたら吐く寸前になった。


 ヘルメットで吐いたら悲惨なことになる。前さえ見えないんじゃ命取りだ。


 とあるロボットアニメのパイロットが胃液を吐いた時、ヘルメット脱ぎ捨てたもんな。正しい判断だよ。


『現状では仕方あるまい。レビンス! サフラビオロスに向かえ!』


『………命令すんなっての』


『なんだと!?』


『なんでもない』


 ソータも苛々してたのね。命令されるの嫌いだもんね。


 でも今、喧嘩しないでくれるかな?


 俺、もうちょっとで死にそうだから。


 ガクンと全身が沈むようなGを噛み締め、ブレーキでフェイントをかけたソータがアンノウンBタイプを途中で置き去りにしてサフラビオロスへ急行する。


「………ここだ! いいぞ!」


『手筈どおりにね。いざって時は、俺が守るから』


 ソータが俺をパージする。相対速度を合わせてサフラビオロスに衝突しないようスラスターを吹き、俺はサフラビオロスを沿うように、ソータは離れる。


 ここでアンノウンBタイプは一瞬迷い、シドウに斬られる───わけもなく。


「………させねぇよ!」


 アンノウンBタイプは迷わずにソータを追尾しようとした。


 だがその頃になれば、俺は目的のポイントである、離れようとしたはずの物資をカタパルトで射出した搬入口に戻っていて、置き去りになったコンテナのひとつをこじ開け、クラッカーと呼ばれる手榴弾をマニュピレーターで絡めとる。


 そしてアンノウンBタイプに投げつけると、偶然にも近くで炸裂した影響で、初めて俺が駆るプロトタイプを認識し、敵対行動に出た。


『なにしてるのエー先輩っ!?』


『余計な手出しをするな馬鹿者!』


 ふたりから非難されるが、これでいい。


 本来、この役目を担うのはソータだった。


 非武装な上、ほぼすべての装備をグラディオスに送ってしまったソータは、クラッカーでアンノウンを倒そうとするが、火力が足りない。


 足りないなら補うしかない。


 なにで補う?


 ………決まっている。


「さぁ来いよ馬鹿野郎。とっておきの火力をお見舞いしてやるぜ………っ」


ロボットの戦闘シーンは、前に書いていたものと違って難しいです。

今日はもう少し更新します。ストックが少なくなってまいりました!


作者からのお願いです。

この作品は皆様の温かい応援で成り立っております。ブクマ、評価、感想、いいねなど思いつく限りの応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!

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