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反撃のグラディオスA07

「………」


 わかってはいたけどね。最悪だった。


 地上班が地下から上に移動するための経路として使ったのが、いくつもあるエレベーターだった。破壊され、シャフトやカウンターウェイトが曲がっていても、無重力ならそのまま跳躍して移動ができる。


 まだ稼働していた頃は重力発生装置で床を踏みしめなければならないのだが、今はそれがなくて、かなり便利な反面、放置された廃コロニーゆえ、見たくもないものがたくさんあった。


『我慢しろよ、エース。吐いても宇宙空間じゃバイザー上げたら死ぬから、そのままにするしかねぇからな』


「わかってます………」


 大人たちは率先して、俺を守ってくれた。全員が壁になってくれている。


 そこになにがあるのか。決まっている。死体だ。


 原型があるもの、ないもの。隔てなく漂流しているのである。先遣する数人が払い退けてくれていなければ、今頃俺が硬くなった臓物を被っていた。


 そんな地獄のようなトンネルを抜けて、やっと地上へ。


 最悪な気分は、まだ続く。誰も連れて来なくて正解だった。今の俺のように、延々と吐き気に苛まれるだろう。


 地上だった部分は荒れに荒れ、半分以上が廃墟になっていた。


 襲われた際に死亡した軍人らの死体が、そこらじゅうに浮いている。


 先遣した地上班は、こんな地獄を進んだのだ。もの凄いメンタルである。


「それで、彼らはどこに?」


『待ってな。………こちらブラボー3。アルファ2。応答せよ。こちらはブラボー3。リーダーのカジムだ。地上に出たぞ。とびきりのお宝がなけりゃ、おやっさんがテメェらの尻をローストするだろうよ───』


『こちらアルファ2! リーダーのリド! お宝なんてもんじゃねぇよこれ! いいから来てくれ! 艦長にも繋いでくれよ。それで指示を仰ぐ! こっちはまだ手の出し様がなくて、マジでテンションがイカれちまってるんだよ!』


 地上班はアルファとして分類され、1から5まで、3人で構成されている。その第2小隊のリーダーが、俺たちを呼んだということだ。


『場所を送る!』


 リドという男から座標が送られる。腕の端末で受けて、脳内チップでプロットを制作。3Dマッピングで、簡易的ではあるがざっくりとした場所を割り出し、ブラボー3小隊と砲雷科の兵士たちに腕の端末でマップを見せる。


『………あの建物か。………よし、待ってろアルファ2。ここからなら10分以内で到着する。そんなヤベェお宝なら、艦長だけじゃなく、ここにいるヤベェことしかしねぇ副隊長殿もお喜びになるだろうよ』


『エースが来てるのか!? そりゃいい! どっちかと言えば、エースに見てもらいたかったんだ! すぐ来てくれよ! 待ってるからな、エース!』


 リドは相当興奮しているようだ。言いたいことだけ言って通信を切った。


 俺はブラボー3のリーダー、カジムを顔を見合わせて、首を傾げたあと、危険もないようだし廃墟を進むことにした。


 崩れた建造物が宙を漂う。全員で押し退けて俺の進路を開いてくれた。俺も参加すると進言するも「お前はこれから大勝負があるんだろうが」と叱られた。


 そして目的の───あれだけの攻撃を受けて放棄されたにしては、未だ半分ほど原型を留めている工場に辿り着く。


『エングレルファクトリー社の支部工場か』


 エングレルファクトリー社。それは第六世代ガリウスFの製造を手掛けた会社だ。優秀な製造技術を誇るゆえ、このコロニーで工場を持つことができたのだろう。ロールアウトすれば即受領できるし。つまりハンガーにあったあのブースターも、ここで作られて運ばれたのかもしれない。


 アルファ2がいるのは地下ではなく地上だ。わざわざ入口から入る必要もない。破壊された天井から侵入し、なんとそこにアルファ2の面々がいた。


『おーい! ここだぁ! エース。これを見てくれよぉ!』


 リドが興奮して叫び、手を振る。リドはドレッドヘアが特徴の黒人男性で、とても気が良く、俺だけでなく学徒兵に親切にしてくれた。面倒見の良い男だ。


「………マジか」


 多分、リドが受けたのと同じ衝撃を受けた。


 これがなんであるのかは、詳しく調べてみなければわからない。しかし、その外観から、とてつもない武器であることはわかる。


 なんでそんなものがここにあるのか。考え得る可能性としては、ロールアウト前に襲撃を受けて、廃棄されてしまったのだろうか。


『エングレルファクトリー社もすげぇもん作るよなぁ。多分これ、戦艦に搭載するはずだったものを小型にしたんだぜ? きっと』


『………いやでも、小型化に成功したとしても、この規模じゃなぁ………ガリウスFはもちろん、Gだって無理だろ。レイライトリアクターのエネルギー、ほぼ持って行っちまうぜ?』


『だろうなぁ。だから色々試してたんだろうよ。結局間に合わなかったんだろうけどさ』


 ここにいるのは大半が整備士だ。俺が見解を述べる前に、リドたちにカジムたちが加わって、分析を会社する。腕の端末にケーブルで接続し、情報を読み取っていた。


「リドさん。そのデータ、こっちにもください。艦長たちに送ります」


『ん。いいぞ』


 リドから膨大なデータが送信される。端末を中継してブリッジにいるクスドへ送信。脳内チップを介して、そのデータを読み取る。


「………はは。すげぇや。こんなの原作になかった」


『原作? なに言ってんだお前』


「いえ。こっちの話です」


 俺はこの世界の歴史の一部を知っている。これから流れる時間の先にある出来事がそれだ。


 そこに至るまでの過程も覚えているのだが、世界というのはやはり、俺というちっぽけな存在で推し量れるものではない。


 アニメの世界だろうが、ここも現実なのだ。


 人間は常に成長する。グラディオスやガリウスに歴史があるように。その歴史を作ったのも、また人間だ。


 人間は成長するまでに様々なトライアンドエラーを繰り返す。困難に立ち向かうために。


 だから、このようなイレギュラーなことがあっても、なにも不思議ではないのだ。


『先輩………エー先輩っ! この装備………本当に………』


 ノイズが酷いがクスドの興奮気味な声が聞こえる。


 こちらの声が届くかどうかは不明だが、返さなければ。


「ああ。本当にここにあるよ。すげぇ代物だ。そっちに運ぶから待ってろ。………というわけでカジムさん。パワーローダーをこっちに回して、この武装をグラディオスに運搬することはできますか?」


『うーん。3機ほど迂回させて外から入らせれば、なんとかなるかもしれねぇけどさ。どうすんだこれ? グラディオスにつけるか?』


「いえ、ガリウスに」


『いやいや、それが無理だからこんなところに放置されたんだろ? こんなの、撃てばガリウスGの最新のレイライトリアクターでも一瞬でエネルギーの半分が尽きるぜ? 機動性だって落ちるし。当たるのか………いや、使えるのすら不明だ。おやっさんが面白がるだろうけどよ。そこまで急を要することだとは思えねぇけどな』


「確かにガリウスGの、どのナンバーズでも無理でしょうね。けど、あるじゃないですか。ナンバーズより一回り大きなレイライトリアクターを持ってるガリウス」


『………あっ、ああ! そういうことか!』


 カジムが納得すると、リドたちも一斉に納得して頷いた。


 多分、これでまた大幅な戦術の変更があるだろうが、それはフェイズ、つまり手数が増えるということ。


 クスドとクランドは、喜んで修正に入るだろう。


たくさんのリアクションありがとうございます!

明日から土日ということで、大量更新の準備をしておりました。先週の日曜からペースを上げて書き溜めたので、今週から7回まで増やせそうです。皆様の応援のお陰です。ありがとうございます!

次回は0時頃に更新します! その次は7時頃となります!


作者からのお願いです。

この作品は皆様の温かい応援で成り立っております。ブクマ、評価、感想、リアクションなどのありがたい応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!

誤字脱字報告、ご質問も大歓迎です!

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